- Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
- / ISBN・EAN: 9784902122169
作品紹介・あらすじ
本書は、性同一性障害の理解を深めることを通じて、今日、日本のジェンダー・ケアが進んでいる方向に疑問を呈し、新たな視点から性別違和感に苦しむ人々に対する心理・社会的支援の重要性を訴えようとするものである。また、本書は、これまで議論されることの少なかったジェンダー・アイデンティティの形成/再形成課程に目を向けることで、ジェンダーをより動的なものとしてとらえなおそうと試みる。
感想・レビュー・書評
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これは副題に「性同一性障害のよりよい理解とケアのために」とあるように、主に性同一性障害に焦点を当てて書かれた本だが、要するに著者が言いたかったのは「性別適合手術を受けたら性同一性障害は治るわけではないのだ」ということが一番言いたかったのだと思う。
中心的な部分は15人の「性別違和感を持つ人」のインタビューなのだが、これを読むと、わたしはとても複雑な気分になる。というのは、わたしは性別違和感は持たないけれど、ジェンダー・アイデンティティというものがよく分かんないんだよね。
「男とか女とかになんでそんなに拘ってしまうのか?」という疑問がある一方、わたし自身は他人から男性とは思われたくない。だからといって「女らしく」なりたいわけでもない。そして「男らしさ」とか「女らしさ」について、わたしは全くと言っていいほど考えてこなかった。考えてこなかったと言うより最初からそういう概念がなかった。だから「悩まなかった」。でもわたしも一応、幼稚園から大学院まで通ったわけで、その中で「男」とか「女」を意識することがなかったのか、と言われると、実はこれまた思い出せないのだ。。ということは、わたしの中では「男」とか「女」ってあんまり重要視してなかったってことなのかなと思ったりする。
その一方、インタビューに答えている人の中には「そうそう、この感覚、すっごくよく分かる!」と言う箇所もたくさん出てきて、そうなるとわたしは自分自身、大変混乱するのだ。。「全く違うようで似てる?」とかね。
わたしとトランスジェンダーの人にある「境目」というのは、ただそこに「性別違和があるかないか」のそれだけなように思えるのだ。そこで「じゃあわたしは一体何者?」と思ってしまう、、
「心に性別はあるのか?」という問いに対して著者は明確に「No」と言っている。「心に性別があるのではなく、心が性別を生み出しているのだ」と言う。でも元々ジェンダー・アイデンティティが「よく分かんない」わたしには、実はこの言葉はよく分かんないんだよね。。多分わたしには元々心の性別ってないから、ある状態が分かんないんだと思う。
というわけで、トランス系の本を読むと、性別違和感はないのに、共感するところがあったりして、それで自分自身が混乱してしまったりもするのだ。。詳細をみるコメント0件をすべて表示