不幸の心理 幸福の哲学 - 人はなぜ苦悩するのか

著者 :
  • 唯学書房
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902225044

作品紹介・あらすじ

「神経症的な意味づけをやめれば、世界は信じがたいほどシンプルになる。人生が複雑なのではなく、私が人生を複雑にしているのである」(「第3章 幸福とライフスタイル シンプルなこの世界」より)。
本書は、ギリシア哲学を専攻すると同時に、アドラー心理学をベースとしたカウンセリングを積極的に行ってる著者の記す「幸福論」である。
幸福になることを望まない人はいない。しかし、何をもって幸福かということになると、人によって考え方はさまざまである。「どうしたら幸福になれるのか」「人は何のために生きているのか」という問いには、自動販売機からでてくる飲み物のように簡単には答えることはできない。ただ、人は自分が意味づけした世界に生きていて、過去をも固有の意味づけによって構成している。そのため、不幸なものと思っていた過去が変わるということもありうることである。本書の目的は、これまであまり考えたことのなかった「幸福」について、もう一度ねばり強く考えてもらう契機となることである。

感想・レビュー・書評

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  • 己を知る。これにつきる。

  • アドラー物3冊目。しかも同じ著者だったりする。
    3冊目にしてびっくりな概念に出会ったりしているからすごい。
    自分の心が管理する「範囲=人格」とするならば
    その大きさは人の間で変容するっていうのはびっくり。
    車に乗れば車全体のサイズまで拡張し、自分の位置づけは意思のみになる
    おぉぉ〜。
    だから自分と相手の価値観のぶつかり合いで
    自分も相手も人格の大きさが変わるということもわかった。
    そしてそれは自分が思う自分ではなく「相手が思う自分」に依存する。

    結局、良くも悪くも他人は他人であり、
    「人生はバランス」と言う言葉に終始しちゃった。
    何年も前から言っているけどかなわない目標だなぁ。

    もちろん他にも目から鱗な部分がたくさんあります。
    もちろん今まで読んだ本とかぶっている部分もあります。
    今度は他の著者が書いたアドラー本読んでみたいです。

  • 「嫌われる勇気」以降、この岸見氏の著作を2作続けて読んだが、結果「嫌われる勇気」がいかに名著かわかった。
    この岸見氏単独の著作である本書は、とにかく読みにくい。
    膨大な知識、博識をお持ちなのはわかるが、いかんせん書物として方向性が曖昧で、引用や例えが古臭くてベースの知識が無いと分かりにくくて仕方ない。話もあちこちに飛ぶし、章ごとに分かれてはいてもそれぞれが完結していない。
    読了しても何を言いたかったのかよく分からない。
    まるで、研究書、大学のテキストを読んだような感じ。
    哲学の体系に話が及んでいるが、アドラー心理学だけをメインにしたわけではないので、そこを期待すると外れる。

  • ・やっぱり、「嫌われる勇気」の方が読み物としては断然面白い
    ・既知の情報が多かったからか、得られると思ったことはあまりなかった

    ・甘やかされた子供の原因は母親である、ということはできない。たしかに母親は「起動因」である。しかしそれではそのような母親に育てられた子供が必ず甘やかされた子供になるかといえばそうはいえない。子供が甘やかされた子供になるためには、
    プラトンの言い方に従えば、そのことを子供が「善し」と判断しなければならない。アドラーであれば、甘やかされた子供になる目的は、各人の「創造力」によって創り出されるのであり、そのような選択や行動に先行する出来事や外的な事象は「副原因」であっても「真の意味での原因」ではない。
    ・他人は私の期待を満たすために生きているわけではない
    ・アドラーも、緊張するのは、話をしているときであれば、聴衆が仲間ではなく敵であり、自分より優れていると思うからだ、といっている。緊張したのでうまくいかなかったと考えることは、自分の能力が水準に及ばないことや、技術が稚拙であることの責任を他者に転嫁することである、と考えることができる。
    ・人から受ける自分ついての評価は、自分の価値そのものとは関係がない。「あなたは嫌な人ね」といわれたところで、そのことで自分がいやな人になるわけではない。
    ・ライフスタイルを構成する信念体系を次の三つにわけて考えることができる
     1 自己概念(事故の現状、私は誰かということについてもっている信念)
     2 世界像(世界の現状、世界は私に何を要求しているか)
     3 自己理念(この世界で居場所を得るために私はどうあるべきか)
    ・鷲田清一は、人間が恋愛を好きなのは、恋愛がこの世の中で、自分が代わりがきかない人間だということをわからせてくれる唯一の経験だからである、といっている。
    ・信頼するということのもう一つの意味は、相手の言動には必ず「よい意図」があると信じるということである。

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著者プロフィール

1956年生まれ。共著書に『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)、訳書にプラトン『ティマイオス/クリティアス』(白澤社)ほか。

「2020年 『自然と精神/出会いと決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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