チマ・チョゴリ制服の民族誌—その誕生と朝鮮学校の女性たち

  • 双風舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902465082

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  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000758449

  • 最初の1章はエスニシティとかナショナリティとか、あと服を「着る」ことの意味とか、なんか普段考えたことがないようなことが書いてあったんで、正直、読んでも理解できてないところが多いと思う。こういう社会学系の話は普段ほとんど読まないので読みにくかった(ジェンダー関係のところはまだしも)。

    ただ、2章からは面白かった。「なぜ女性だけが民族服を着ることになるのか」の考察は、今まで「民族の中での女性差別」と捉えられがちなんだけど、一概にそうとは言えない、ということが分かるし、実際、3章で「自発的にチマ・チョゴリを着て学校に行き始めた学生や先生」たちの話を読むと、「押しつけられた」ものではなかったんだなと思う。

    インタビューした人の話を4章でまとめてあるんだけど、主観的エスニシティ(帰属意識)が先にきて、それから客観的エスニシティ(外面的・文化的特徴)に移行し、そして客観的エスニシティがさらに主観的エスニシティを補強していく、そういうまとめを読んだのだが、わたし、これってエスニシティじゃなくても、例えば性的少数者におけるレインボーカラーなんかもそうじゃないかと思うのだ。3章でインタビュー受けてる人たちの「民族服を着る、誇らしい気持ち」というのが、わたしがレインボーのものを身につけて外に出てた気持ちととてもよく似てたんだよね。


    もちろん、レインボーは一般的にそんなに認知されてるわけじゃないから知らない人は反応しない。それがチマ・チョゴリとは大きく掛け離れている部分ではあると思うんだけど、少なくとも、レインボーカラーの意味を知って、自分がレインボーのものを身につけて歩くときの気分は「みんなにカミングアウトしている気持ち」だったし、それによって「プライド」というものも多少感じたりしてた。で、それって「自分は性的少数者である」という帰属意識ができてから、やっぱりレインボーのものを身につけるわけで。こういう現象ってエスニシティだけじゃないよなって思った。

    ただ、わたしはもう自分自身、レインボーのものは一切、身につけてません。それは多分、いろいろ理由があると思うけど。。まぁアピールする必要性を感じなくなったと言えばいいのかな。もちろん差別がなくなって付ける必要性を感じなくなったわけじゃなく、そういうものを身につけてなくても自分は自分で生きてるって思えるようになったからかな。でも、やっぱりレインボーフラッグを街中で見たりすると嬉しくなったり、開放的な気分にはなります。

    あと、最後にちょっとだけ男子学生のことについても触れてたけど、これについての詳しい分析が読みたいなーって思った。

    それと話は戻るけど第3章でのインタビュー、結構インタビューする方がバシバシ意見言って突っ込んで聞いてたんで、それが頼もしくもあったり、ちょっと胸が痛くなってしまったり。だって当時、力も何もなかった下っ端の女性教員や学生たちに「女性が民族服を着ることに当時疑問を感じなかったのか」とか、結構厳しく聞いてるのよ。まぁ著者も書いてるが、本来この質問を受けるべき、制服をチマ・チョゴリに決めたであろう人などが覚えていない・文献を探してもない、ってところが一番問題なんだと思うんだけどね。。

    あとは本を読みながら「服に詳しくないんだから、写真とかイラストとかちょっとは付けてよ-」って思ったんだが、これは最後に「残念なこと」として載せてある。著作権が複雑になってしまうだろうとのことで、修論(この本は修論を元にして構成されている)では豊富に使った写真などは一切使わなかったとのこと。このため「チマ・チョゴリ制服は民族服とは違ってかなり改良されている」って書かれても、そのどちらも実物をほとんど見たことがないわたしには、今でもよく分からない。。付け衿がどーとか言われても、なんじゃそれ、、って感じ。そこはわたしも残念でした。

  • 新女性スタイルが継承されたのかどうかは不明なままか。父も東京中高の教員だったので、聞いてみるかな

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