こんにちは、昔話です (小澤俊夫の昔話講座)

著者 :
  • 小澤昔ばなし研究所
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902875317

感想・レビュー・書評

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  • 昔話論の肝が、分かりやすく披露されている。ディズニーや本当は怖いグリム童話への怒りももっともだと思える。

    はて、いかに自分がディズニーによって固定された昔話しか知らないかを思い知らせれ、愕然とした。テレビやテレビ絵本の影響だろうな。昔話に込められた人間の知恵がいとも簡単に失われしまった実例だ。

    また、子どもを持つ親として、身につまされる部分があった。子どもに「大丈夫だよ」というメッセージを送れていなかったのだ。子どもの成長にかんして、短期的な見方しかいかにできていなかったか。

    ・子どもにとっては、途中に怖いことが色々起こっても、最後に主人公が幸せになれば万歳。子どもの感受性と大人の感受性は違う。
    ・3年寝太郎:昔話は道徳は気にしていない。それよりも強く生きろ、というメッセージを発信している。
    ・突き詰めていえば、反抗の理由は親子であることだけ。
    ・育て方ではなく、育ち方。
    ・「人はみんな一度は末っ子だった」
    ・「方言」という言葉自体が差別語。日本語に中央も地方もない。「土地言葉」「お国言葉」というのがいい。

  • 口承文芸学者を自負する著者による講演録+昔話講座(入門編)。

    「昔話とは?」

    その定義から性質を語るわけですが、例に挙げられるグリム童話の意外な裏話、日本民話の黄金パターンなど、雑学として楽しめる程度のことが書いてある本、という認識でいいです。
    そんな大したことは書かれてません。
    コペルニクス的新発見とか、コロンブス的発想の転換とか。この本とは無縁です。

    そのかわり、昔話とは何なのかがよくわかります。
    歌舞伎だって落語だって、演者と客の間には呼吸があります。お約束ともいいますが。それを身につけるための第一歩になるような、そんな本です。

    我が子から演者になることを強制される方、自分一人でニヤニヤ怪しいお話に浸りたい方。
    コッチでもソッチでも、さぁどうぞ。昔話は面白いよ。

    つまり、胡散臭いエンタメ本でもありませんよって言いたかったのです。

  • 昔話とはいったい何なのか。
    子どもの成長にとって昔話はどんな意味があるのか。
    知識として知っておきたいうんちくが、簡単に書いてある。
    講演録のため、何度も同じ内容が出てくるので、
    途中少し間延びしてしまったが、この本に出会えてよかったと思える1冊。
    「私たちは昔話の伝承の終点にいるのではない。
    伝承の途中にいるのだ。」
    という著者の言葉が印象的だ。

  • 昔話とは何かわかりやすく解説していました。
    昔話Q&Aコーナーで「末っ子ばかり成功してずるい」という声に「人はみんな一度は末っ子だった」という答えに感銘を受けました。
    第4章で残酷な内容の昔話の改編について記されていましたが、とても共感できる内容でした。
    昔話を語れる老人が減ってきているようで、私は好きになった昔話を自分の子や孫に伝えられるようになれたらいいなと強く思いました。

  • 昔話を、具体例を交えながら、論理的にその構造を紐解いていく作品。「孤立的に語る」、「極端に語る」、「ハッピーエンドの終わり方」など、昔話には子供の想像力を育む為にある種のフォーマットがあるのはなるほどだと思った。また、読み手である親側にも、「子供が育つってこういうことだよ、こんな育ち方、あんな育ち方もあるよ」と、育つ例を伝えている側面がある、という点も面白かった。
    とはいえ、論理的な飛躍がある部分も目立ったため星3。
    畢竟、ディズニー許すまじ。

  • 2022/02/17

  • 123のリズム 3が長い
    白雪姫もシンデレラも3つのリズム

    ・三年寝太郎---ずっと寝ているわけではない
    ・シンデレラ---本当の姿に戻ってみたくなる
    それが認められるとまたダーティに
    本当の姿に戻りたい気持ちは誰にもある

    お勉強的な本かと思えばそうでもなくて
    お話を聞いたような充実感
    昔話は文化ですね!

  • 昔話のお勉強、購入して読んだ。

    昔話に関するいろいろ。
    「語り口」、「文法」、大切である理由など。

    2016年こどものとも60周年記念フェスタの小澤さんの講演「昔話が語る子どもの姿」とほぼ同じことが書かれていた。(もちろんほかのことがらもたくさんありました!)
    そのときの小澤さんの語り「馬方とやまんば」で、「昔話は残酷だが残虐ではない」という言葉が新鮮で、納得したことをよく覚えている。
    去年「ねずみじょうど」を語って、昔話は語れば語るほど(練習すればするほど)おもしろい、昔話ってすごい!と思った。
    昔話とは何か、なぜ大切なのか、よい語り口とはどのようなものか、がわかりやすく述べられている。
    昔話と伝説の違いなど、基本的なことが確認できるのもいい。
    今度は、ただおもしろい話や、子どもが成長する昔話を語ってみたいと思った。

  • ◆きっかけ
    ブクログ。脇明子さんの著作を検索している時、『物語が生きる力を育てる』のはこちゃんさんのレビューで、本書の方が納得できると書かれていて気になって。2017/3/29

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著者プロフィール

1930 年生まれ。口承文芸学者。
筑波大学名誉教授。小澤昔ばなし研究所所長。
日本や世界の昔話の研究を続け、1992 年から全国各地で「昔ばなし大学」を開講、
昔話の魅力を広く伝え、語りの普及に努める。

「2022年 『昔話の扉をひらこう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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