小鳥たち

著者 :
制作 : 中川多理 
  • ステュディオ・パラボリカ
4.31
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本棚登録 : 96
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902916416

作品紹介・あらすじ

降りそそぐ小花、時空はゆらぎ、
小鳥の侍女たちが行き交う庭園と城館。
そこは迷宮?
小説と人形が織りなす奇蹟の幻想譚。

第46回泉鏡花文学賞受賞作家 山尾悠子の最新作!!
あらたな領域に踏み入る記念碑的小説である。


★物語と人形たち
まず山尾悠子による「小鳥たち」という掌篇が書かれ、登場する小鳥たちを人形作家の中川多理が創作した。その人形作品を踏まえて『夜想#中川多理―物語の中の少女』に続編「小鳥たち、その春の廃園の」が書かれ、再び呼応して新たな人形が作られた。
それを受けて、最終章「小鳥の葬送」が書き下ろされ、ついに中川多理の手から大公妃が産み出された。

★摩訶不思議な幻想小説の奇蹟の成立
山尾悠子の幻想譚は、場面が揺らぐように紡がれていき、確かにそこに伽藍はあるのだけれどもこちらの認識が朧になるという快楽性をもっている。構造はあるが、揺らいでグラデーションでずれていく。その揺らぎに現実の人形が参加しているのだ。

母、娘、そして侍女……幻想の物語、幻想の人形そして幻想の本として収斂する『小鳥たち』。

感想・レビュー・書評

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  • 山尾悠子好き。中川多理も好き。このふたりがコラボするなんて俺得。
    予約購入してさて読もうかと思ったタイミングで、パラボリカ・ビスで特装版の通販が始まったと聞いて歯噛みしたものだ。
    悔しさのあまり少し置いていた。
    ところで今度は山尾悠子による豆本「翼と宝冠」がリリースされる、しかも今後短編集などに収録予定はない、と。
    またも会場限定で販売されるとか。いずれ一般販売もあると期待して。

    作者同士のやりとりについては、ありがたい。感謝ばかり。
    さて中身について。
    山尾流の無国籍ファンタジーかと「小鳥たち」で思わせておいて、
    「小鳥たち、この春の廃園の」で、〈さて今は何世紀〉というフレーズとともに時代を超え、その断片の中ではなんと近未来すら舞台になる。
    「小鳥の葬送」では再度時代も舞台も曖昧にされ、つかみどころがわからないままに本は終わる。
    この「つかみどころのなさ」が山尾悠子の肝で、捕まえようとするや、小鳥に姿を変える侍女たちの「怪しからぬ後ろ足」に欲望を抱く伊達男の姿は、読んでいる私自身に見えた。
    このあたり、球体関節人形の温もりや、寝台の残り香に胸ときめかせていた数年前のことを思い出す。
    「最終的にはめきめきと音をたてんばかりの見事な被昇天であった」という強烈なフレーズで、まさに絵画的に終わる。
    いやもう素敵な読書になった。

  • 豆本「翼と宝冠」が欲しいのだけれど(入手できるかなあ)(会期中にパラポリカビスへ行ければいいのだけど)(https://twitter.com/kotoritachi_sp/status/1220612909664878592)とりあえずその前にこちらを読んでおかなくてはお話にならないだろうということでやっと読む。

    中川多里さんの球体関節人形写真とのコラボなので、文章量はあまり多くなく絵本のような味わい。(発売当初ジュンク堂で写真展やってたのは見に行きました)人形+幻想文学の相性が悪いわけがない。なんというか、読み物としてはもとより、本というモノとして所持欲をそそる完璧な1冊。

    水の城館の赤髭公、その母である老大公妃の侍女=小鳥たち。編み上げ靴をはいた彼女らは時に小鳥に変化し窓から飛び立ち人工滝や噴水のある階段庭園の上を舞って沢山の乳房を持つアルテミス女神の像に花を捧げる。

    山尾悠子の真骨頂は、建築物まで詳細なこれらの「世界」の創造だと思う。

    ※収録
    小鳥たち/小鳥たち、その春の廃園の/小鳥の葬送

  • 新作が出ていたことに気づかなくて、慌てて購入。
    人形と文章が相互にイマージュを膨らませ合う変わった合作本。
    山尾氏の、いつものような緻密で錯綜した文体はなりをひそめ、ぐっと読みやすい文章になっている。
    時系列の混乱や視点の頻繁な移動など、特徴的な切り取り方がないので入り込みやすいものの、これはこれで不思議な物足りなさもあった。
    私はいつだって翻弄されたいのかもしれない。

    ともあれ、山尾氏の文章の良さは少しも損なわれていないので、何度もショート・トリップを楽しめる作品。

  • 余り過ぎる光たち。

  • 文章力によってのみ幻想を生む作家と、造形によってのみ幻想を生む人形作家との見事な競作。

  • 細い四肢、小さな囀り。
    庭園に舞う小さな小鳥。
    そこだけ切り取られたような退廃的で逃げ場のない世界。
    画によるイメージと文章によるイメージが脳内で溶け込む。
    本を手に取り、装丁を愛でる。
    決してデジタルでは味わえない醍醐味。

  • パラボリカ・ビスに人形を見に行って購入。小さな空間が別世界だった。老大公妃の赤毛に西陽が照り映えて、葬礼の鐘の音が聞こえるかと……。
    眠りにつく老大公妃を見てつい、別の地の女王の生きて囀る髪飾りになったという小鳥を思い出したのは内緒。
    作中では絵画だけど、あの女王と侍女達も人形の形で見てみたいなあ。小姓姿もきっとかわいいと思う。

    復刊された『角砂糖の日』の付録の掌編から、『夜想#中川多理―物語の中の少女』に収録の続編を経て、人形写真と終わりの物語へ。2人の作家が互いから刺激を受けることで生まれた芸術がこの1冊だと思うと胸が熱い。本当によく生まれてきてくれたと思う。
    小鳥の侍女達の描写の、ざっくりとしたシーンの連続のような感じがとても好き。カメラのフレームに全身が収まることは常になくて、露台に降り立つ時や廊下を曲がる時、その編み上げ靴やドレスの裾ばかりを印象に残していくような。軽やかで少し不思議。

  • 読んだ、というより見て、感じて幻想の世界にどっぷりと浸った。中川多理の人形の写真が相乗効果をあげ、つかの間別世界に入れた。この山尾悠子の独特の空気は好き。

  • 山尾悠子と人形作家・中川多理のコラボレーション。
    画があるとイメージが固定されてしまうこともあるが、本書においてはどちらもイマジネーションを膨らませるようになっていた。人形というものに特別な思い入れはないのだが、81ページ以降の、喪服姿の人形は綺麗だと思う。

  • 山尾悠子+中川多理『小鳥たち』出版記念展
    http://www.yaso-peyotl.com/archives/2019/07/tari_kotoritachi_bis.html

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    ★物語と人形たち
    まず山尾悠子による「小鳥たち」という掌篇が書かれ、登場する小鳥たちを人形作家の中川多理が創作した。その人形作品を踏まえて『夜想#中川多理―物語の中の少女』に続編「小鳥たち、その春の廃園の」が書かれ、再び呼応して新たな人形が作られた。
    さらに、最終章「小鳥の葬送」が書き下ろされ………。

    ★摩訶不思議な幻想小説の奇蹟の成立
    山尾悠子の幻想譚は、場面が揺らぐように紡がれていき、確かにそこに伽藍はあるのだけれどもこちらの認識が朧になるという快楽性をもっている。構造はあるが、揺らいでグラデーションでずれていく。その揺らぎに現実の人形が参加しているのだ。

    母、娘、そして侍女……風景も時間も
    揺らぎながら紡がれていく、芳しく神々しい幻想譚。
    http://www.yaso-peyotl.com/archives/2019/07/kotoritati_book.html

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著者プロフィール

山尾悠子(やまお ゆうこ)
1955年、岡山市生まれの小説家、歌人。寡作ながらその幻想文学は極めて高い評価を受けており、執筆中断期間もあったことから「幻の作家」「伝説の作家」と言われることもある。
同志社大学文学部国文科に入学し、高校までに読んできていた泉鏡花を専攻(のちに泉鏡花文学賞受賞という機縁もある)。大学在学中の1973年、「仮面舞踏会」が『S-Fマガジン』SF三大コンテスト小説部門の選外優秀作に選ばれたことをきっかけに、1975年11月号の「女流作家特集」で同作を掲載し20歳でデビュー。
1980年に書き下ろし長編『仮面物語』、1982年歌集『角砂糖の日』を刊行。1985年以降は出産・育児で発表が途絶えていたが、1999年に復活、2000年に国書刊行会から『山尾悠子作品集成』を、2003年には2作目の書き下ろし長編『ラピスラズリ』を刊行。
2018年刊行、15年ぶりの長編となった『飛ぶ孔雀』が第46回泉鏡花文学賞を受賞した。日本文藝家協会会員。

山尾悠子の作品

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