新編 夢の棲む街

著者 :
  • ステュディオ・パラボリカ
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本棚登録 : 175
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (123ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784902916461

作品紹介・あらすじ

当時二十歳の学生が書いた伝説の作、山尾悠子のプロトタイプとしての才能がもっとも高密度に結晶した「夢の棲む街」。その作品世界を現在の作者が再訪する問題作「漏斗と螺旋」を初収録。あわせて読めば山尾悠子の今と過去の文章や創作へのスタンスの違いがよくわかる。
山尾悠子作品をリスペクトし、読み込み、自らの創作の糧にしてきた中川多理と川野芽生が挿人形と解説を担当する。
若い女性の才に頌されて『夢の棲む街』は、新たな命を輝きをもつ。

+++

「夢の棲む街」は長い間〈薔薇色の脚〉を夢見ながら待っていた。
そう思えるほどの[新編]――まさに新たに編集された『夢の棲む街』――

この本のために作りおろし、この本でしか見ることのできない中川多理の未発表〈薔薇色の脚〉を載せて『新編・夢の棲む街』を読者にお届けします。

2020年1月に『群像』に書き下ろした山尾悠子の「漏斗と螺旋」を合わせ収録しています。この短編はある意味、40年ほど前に書かれた「夢の棲む街」を今、山尾悠子がアプローチするという要素をもっています。それは別の言い方をすると、山尾悠子の自作[読書論]になると思います。
山尾悠子自身の読み、中川多理の新作人形、そしてその人形を秘密の部屋に込めたようなデザインを施したミルキィ・イソベ、山尾悠子作品を読み続け、中川多理を見続けた、新進の歌人・川野芽生がその二人のコラボレーションを含めて解説をしています。

今という地点から、様々なクリエイターが「夢の棲む街」を[読んで]いる――そういう編み方になっています。
手にした読者が、より自由に、より深く、より愉しく読んでもらえるように…山尾悠子の魅力にダイレクトに近づけるように…新たに編集してあります。新編の意味はそういうことです。

あたなたにしかできない、新たな読み方を体験していただきたいものです。

感想・レビュー・書評

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  • 猫には、、、

    『新編 夢の棲む街』山尾悠子:parabolica-bis
    https://www.parabolica-bis.com/SHOP/books_106.html

    【新刊】『新編 夢の棲む街』山尾悠子
    http://www.yaso-peyotl.com/archives/2022/02/yumeno_sumu_machi.html

    お足がありません。。。

  • 山尾悠子と中川多理は2019年「小鳥たち」で素晴らしいタッグを組んでいたが、その続き。
    なんと45年前の「夢の棲む街」を蘇らせるという、俄か読者でもこれだけ嬉しいから往年のファンにとっては悶絶ものだろうな。

    最近の山尾悠子、断章の最初の一文ないし2,3文でその章の概要を予告した上で、茫洋と書き連ねることが多いなと感じていた。
    よく考えればデビュー作にしてすでに、断章名が的確で過不足ないので、見え方は違っても語り口は同じなのだと気づいた。
    考えてみればセルバンテス「ドン・キホーテ」なんかも章のタイトルがあらすじになっていたりするし。

    内容的にはもう、好き。
    しかもヌーボーロマンもかくやという、作者自身による自己言及も加わって、もう山尾悠子はどこへ行くのだろうか。

    川野芽生の解説はやや個人的すぎるかなと感じたが、それも「夜想♯山尾悠子」の「ラピスラズリ」評が凄まじかったので期待度を勝手に上げていただけで、本来なら充分な文章なのだ。

    あとはこのピンクの装丁……ずっと耽っていたい。

    ■薔薇色の脚のオード (展覧会用に。後、「夜想♯山尾悠子」2021年に収録)
    ■夢の棲む街 (1976年。作者21歳)
    1 〈夢喰い虫〉のバクが登場する
    2 〈薔薇色の脚〉の逃走と帰還及びその変身
    3 嗜眠症の侏儒はどんな夢を見るか
    4 屋根裏部屋の天使の群に異変が起きること
    5 街の噂・星の話
    6 街の噂・海の話
    7 〈禁断(あかず)の部屋〉の女
    8 浮遊生物の下降と羽根の沈殿
    9 地下室の人魚の話
    10 カタストロフ・崩壊と飛翔
    ■漏斗と螺旋 (「群像」2020年1月号)
    ◆解説 薔薇色の、言葉と肉 川野芽生
    ◆『新編 夢の棲む街』後記
    ※人形制作:中川多理 発行人:ミルキィ・イソベ 編集:今野裕一

  • 初の山尾悠子、うーんしっくりこなかった。ほかの作品も読んでみようと思っているが、もしかして合わないのかもしれない。よく見に行く幻想文学の棚には必ずある山尾悠子、カルト的人気もあると聞いていたので楽しみにしていたのだが、書かれているものに美しさをあまり感じず、終始ノレなかった。

    天使がグロテスクに増殖し繋がっていく様は、不気味ながら好きだった。

    解説にある「絶対的な美への没入、言葉を放棄しての忘我の陶酔をゆるさない」のだとすると、まさにそれを求めている私とは相性が良くないのも仕方がない。もう少しチャレンジ

  • 漏斗状の街、舞台で踊る薔薇色の脚たち、街の噂を集める夢喰い虫、怪しげな娼館……妖艶で幻想的な物語に只只、うっとりするだけ。山尾悠子さんの魔術的な美しい文章に溜息しか出ません。中川多理さんの人形がまた素敵。山尾悠子さんと中川多理さんは最強タッグでは。解説の川野芽生さんもとても良かったです。本の造りも豪華で、眺めてるだけでも至福。ずっと手元に置いておきたい大好きな1冊。

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著者プロフィール

山尾悠子(やまお・ゆうこ)
1955年、岡山県生まれ。75年に「仮面舞踏会」(『SFマガジン』早川書房)でデビュー。2018年『飛ぶ孔雀』で泉鏡花賞受賞・芸術選奨文部科学大臣・日本SF大賞を受賞。

「2021年 『須永朝彦小説選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山尾悠子の作品

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