今この世界を生きているあなたのためのサイエンス (I)

  • 楽工社 (2010年9月1日発売)
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感想 : 88
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  • 本 ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903063454

感想・レビュー・書評

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  • 私の中で疑問だった、原爆と原発はどう違うのか、分かりやすく書いてあった。高速増殖炉は、原爆の様に爆発する危険があるが、多くの原子炉は、原爆の様に爆発はしないのだと知り、安心した。私は原発には反対だったが、思い違いも多かったのだと知った。事実を知ることが必要だと思う。

  • 石炭、石油、原子力等、現代世界のエネルギー事情について、詳しく解説している良書。こんな講義を受けられる大学生が羨ましいなあ。この本を読むまで石炭から石油が抽出できるって知らなかった。広島、長崎の原子力爆弾や原子力発電についても取り上げられている。チェルノブイリで多くの住民が避難したが、それは正しかったのかどうか。この著者は否定寄りの考え方なのかな。この本が書かれたのは2011年3月以前なので、次は福島のことも取り上げられるのだろうか。日本ばかりが事例に上がるのは悲しい。

  • 終盤までは、ある程度以上の権力を行使する人間には必読といって良い内容。
    原子力関連について、今となってはリスク関連の想定に甘さが見られるのは惜しい。アメリカ人には日本の巨大地震、津波、リスク管理意識の低さといった要素は流石に予想できなかったのだろう。

  • 今もこの世界も変わってしまったけれど、読んでみた。
    UCBの物理学教授による、文系学生向け講義録、日本語訳本。
    高校で物理とってなかった人は読んでみたら?と思う。
    とってた人は物足りないかもしれないし、ちょっとはしょりすぎじゃないの?というとこもあるけど。(原著から割愛してるとこもあるみたい)

    アメリカの大学では、政治や経済、経営に関わろうという人は、
    この程度の科学知識は20歳前後で身に付けてて当然ってことですかね。
    (下記P3の引用文参照)

    Ⅰ巻は、テロリストが持ち得る科学技術の可能性とエネルギー問題、原子力について。放射性物質のことも、核兵器のことも、核分裂炉、核融合炉のことも、事故のことも、核廃棄物のことも。

    Ⅱ巻は、衛星と宇宙、二酸化炭素と温暖化、新テクノロジーの可能性について。なぜかNASAとスペースシャトルに手厳しい。

    どちらにも通底している価値観は「エネルギー」と「効率」。

    ガソリンと食べ物のエネルギー比較なんて見てしまうと、
    人類は地球に生まれた時からずっと、
    狩猟にしても農耕にしても、漁業や開拓、干拓にしても、
    もっともっとと、高いエネルギーを求めてきただけなんじゃないかと思ったりする。

    で、もっともっとの先に、今(出版は2010年)何があるのかというと、

    なんと

    省エネ。

    エネルギー効率のいい機器や電球を使うとか赤外線を反射するペンキを建物とか車とか街路に塗るとか。

    ハイブリッド車の性能アップと軽量化、電池の改良。


    新テクノロジー。

    バイオエタノール⇒トウモロコシ以外。サトウキビ有望。

    太陽光電池⇒
    ボーイング社の最近の製品だと入射太陽光の45%を電力に変換できるらしい。ただ、30×30cmで1万ドル(84万円)、発電量は41W。扇風機も動かない?http://www.eco-taisaku.net/denki/denkidai_list.html
    の代わりに、レンズなどで太陽光を集める「太陽集光技術」だとコストダウンできるとか。
    あと、安く作れる太陽電池の発電効率を上げる。

    でもこういうの作るのに工場必要だし電気も必要。

    ペブルヘッド原子炉⇒
    ウランを熱にとても強い素材(熱分解黒鉛。もちろんチェルノブイリのやつとは違う。)で包んで、さらに炭化ケイ素セラミックスで包む。原子炉の最高温度に耐えられるらしい。原子炉の温度が上がりすぎても、中性子とウラン238の性質から連鎖反応が低下。炉心が過熱する可能性がないので制御棒を抜いたり、冷却材が出ちゃっても危険ないらしい。
    でもウランも有限。

    石炭⇒出てきた二酸化炭素は埋める。ガスにして有害物質と分離して発電。フィッシャー・トロプシュ法で石油にする。

    あと地熱とか風力とか。これも得られるエネルギーに対するコストの話。

    基本的に、3.11以前の話なので、石油をいかに使わず、二酸化炭素出さずに高エネルギーを得るか、というのが軸。

    アメリカの話なので、石油使いたくないというのは、
    二酸化炭素とか温暖化以前に、中東からの獲得リスクがあるからじゃないか、とか思ったり。

    二酸化炭素とか温暖化に楽観は許されないけど、悲観的になりすぎるのもよくない、という結びだったのだけど、さて、日本はどうするか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      すーーーごく興味深いです!(春からNHKで放映されるそうだし)
      http://cgi2.nhk.or.jp/navi/detail/inde...
      すーーーごく興味深いです!(春からNHKで放映されるそうだし)
      http://cgi2.nhk.or.jp/navi/detail/index.cgi?id=13h3920130405
      良い本をご紹介ありがとうございます!
      2013/03/26
  • 最新の科学について理解できる本

    本書はカリフォルニア大学バークレー校で人気のある講義を紙面化したものです。

    将来、大統領(総理大臣)になるべき人が最低限理解しておくべき科学・技術を解説するというコンセプトは非常にユニークで面白い。(自分が学生でも、思わずのぞきに行きたくなりますね笑)

    たとえその分野の専門家ではなくても概要をおさえる必要はあります。恐ろしいのは何も知らないのにイメージだけで議論をしてしまうこと。分かった気になっていることではないだろうか。

    数式や数字を使わずに、本質を解説してあるので非常に勉強になります。いわゆる文系学部向けという位置づけでしょうが、自分にはとっても有用でした。

    特に原子力の章は非常に勉強になった。
    核兵器の原理(ウラン型とプルトニウム型の原理、技術的な違い)、核兵器と原子力発電の違いなどが明確に理解できた。
    核については日本人として最低限理解しておく必要があるのではないだろうか?

    上巻 テロリズム、エネルギー問題、原子力

    最近、アメリカの大学の講義を紙面化した本が売れています。日本人は決して勉強嫌いではなく、学びたい意思があるのだと思います。問題は訳の分からん講義をする先生なのか、忍耐力がない学生なのか…

  • 原本が悪いのか、翻訳が悪いのか読みづらかった。(歯切れの悪い文章)

    内容自体はメディアにより歪曲されて伝えられる情報を事実により正すというものがよかった。

    特に、テロリズムの章にある、911テロのツインタワー崩壊は衝突が直接原因ではなく、ジェット燃料による火災による柱の溶解と・・・のあたりは放送されない裏側の部分。

    原子力についても核兵器に対する誤解、原子力発電への過剰反応。基礎物理により、あり得ないと断言したあたりは気持ちいい。

  • 石油と太陽エネルギー、放射線と核兵器や核廃棄物など今まで知らなかった知識、知見に触れられた。
    正確な知識が身に付いた訳ではないが、今後、適正な判断に繋がって行くはす。
    同書のⅡを読んで行こうと思う。

  • 第3講 原子力
    10 核兵器を知る(1)

    p.162
    ウラン型(広島型)核爆弾--構造は単純。比較的簡単につくれる

    p.164
    ウラン型(広島型)核爆弾--難しいのは高純度のウラン235の精製・入手

    11 核兵器を知る(2)

    p.171
    プルトニウム型(長崎型)核爆弾--プルトニウムの抽出・入手は比較的簡単

    p.173
    「早すぎる爆発」の解決策「爆縮」には、著しく高度な技術が必要

  • 第一講 テロリズム
    1 九・一一事件──何が起きたのか?
    2 テロリストと核兵器
    3 バイオ・テロ
    第二講 エネルギー問題
    4 エネルギー問題の知られざる真実�
    5 エネルギー問題の知られざる真実�
    6 太陽エネルギー
    7 石油の終焉?
    第三講 原子力
    8 放射線の基礎知識
    9 放射性物質の基礎知識
    10 核兵器を知る�
    11 核兵器を知る�
    12 原子力�
    13 原子力�
    14 核廃棄物
    15 核融合制御

    TNT火薬のエネルギーが少ないこと。 火薬はエネルギーの放出スピードが速いことによる
    核兵器の連続爆発を誘発するための技術は困難。 すべてのネネルギーを短時間に放出させる技術に実験が必要

  • 竹内・科学ブックガイドから。図説もふんだんに利用されていて、全体を通して読みやすい本。科学リテラシーが低くても、それなりについていける内容。まず前半の本書では、テロとエネルギーで語り起こされ、戦争と原爆を経て、現代の原発問題へと論が展開する。東日本大震災より前に書かれたものだけど、ここに挙げられる最悪の事態になった、ということか。あり得ないだろ、と思うようなミスは起こるものだし、その想定無しに振りかざされる安全論には、やはり賛成し兼ねる。理論上は、本書の通りなんだろうけど。

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著者プロフィール

カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)物理学教授。バークレー校で行っている科学入門講義は「学生が投票で選ぶベスト講義」に選出された。その後同講義がYoutubeで公開されるや評判は世界に広がり、87ヵ国の人々から称賛と感謝の声が著者の元に寄せられた。本書は同講義をベースに、テーマをエネルギー問題に絞って制作されたもの。著者はまた30年以上にわたり米国政府機関(エネルギー省、NASA、国防省)の顧問を務めており、米国国会の要請で行われた地球温暖化の証拠見直し作業においては審査官も務めた。現在、ノーベル物理学賞受賞者ソール・パールマッターらとともに、地球温暖化に関する独立研究機関「バークレーアース」を運営している。日本では、NHK「バークレー白熱教室」の講師としても知られる。

「2014年 『エネルギー問題入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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