立身出世と下半身: 男子学生の性的身体の管理の歴史

著者 :
  • 洛北出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (605ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903127187

作品紹介・あらすじ

大人たちは、どのようにして少年たちの性を、管理しようとしたのか?
大人たちは、少年ひいては男性の性や身体を、どのように見ていたのか?
この疑問を解明するため、過去の、教師や医師による発言、学校や軍隊、同窓会関連の書類、受験雑誌、性雑誌を渉猟し、当事者へのインタビューを敢行する。
探究をつづけて10年――
その成果をまとめたのが、この本である。

感想・レビュー・書評

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  • 実に着実な仕事ぶり。

    こんなに論理展開の型が分かりやすい論文ってそうそうない。問いの展開、個々(各章)の実証・小括、全体としての統一性が明快。

    問い自体も面白い。なぜ学生にセックスを教え勧めないのか、どうして大人達は学生にセックスを禁じるのか…問いの立て方が面白いから、そこから展開される内容も必然的に面白い。

    終章のまとめと考察の部分…男性の性的身体についての考察も、鮮やかに感じられた。少し頭の中がクリアになった様な気がする。

    当初M検に興味があって第4章から読み始めたのだが、各章遡ってあっという間に全部読んで、すっかりハマってしまった。

    だから分厚くても問題ないと思う。装丁も綺麗で、手元に置いときたくなる。

    読後は学校のM検よりも徴兵検査の方が気になってきた…。他を当たりたい。

    あと装丁も美しい。

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  • 重たい本だ。内容ではなく本そのもの。あつさが45mmmもある。持って歩くには不便だ。ということは電車や屋外で本を読む人には不向きである。ブックカバーの絵がいい。本棚に飾っておくのと映える。
    本書は高校生ぐらいの少年にたいして、なぜ大人はセックスを奨励しないかという疑問から出発している。作者の疑問は新鮮だ。今まで何とは無しに見過ごしてきた問いだと思った。性は人間にとって大事な行為である。もっと、きっちりと教えるべき問題だ。彼女に言われて気づいた。
    本書は、その疑問に直接は答えていないが背景は描いてくれている。

  • めっちゃ分厚い。

  • とりあえず、大作である。丁寧に調べられていて読むのも大変だった。論文なので仕方が無いとは思われるが、もう少し平易な文であればと思った。内容はごく当たり前の事で、恐らくみんなが感じていた事を文章にしたものと思われるので、、

  • 澁谷知美『立身出世と下半身』洛北出版、読了。なぜ少年は性から遠ざけられるのか。その起源は明治中葉に存在する。国家に有益な立身出世を目指す刻苦勉励のために性的品行は慎むべし。少年を取り巻く性的環境は学校、警察、社会を挙げて一元化されてゆく。本書は豊富なエピソードでその軌跡を辿る。

    性的エネルギーは「男らしさ」の表象であるにもかかわらず学生に対しては封印の対象となったが、それは国家にとって「性」が有害な場合の禁忌。しかし、国や企業に役に立つとあれば性的行為が逆に公認され、奨励されることにもなる。

    「生産する身体」に対して「性的な身体」が従属させられて来たのが近代社会の「~らしさ」という幻想であり、国家がそれを構想する。常に矛盾にさらされてきた男性の性的身体に関する言説を材料に、生-権力の動態を明らかにする好著。

  • 「性的充溢=男らしさ」の矛盾(評者:三浦しをん=作家) BOOK.asahi.com
    http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013060900011.html

    「抑圧の実情 精緻に分析」(評者:武田徹=ジャーナリスト)本の森 北海道新聞
    http://www5.hokkaido-np.co.jp/books/

    『立身出世と下半身』「はじめに」を公開します――広報その1: お知らせ
    http://shibuya.txt-nifty.com/blog/2013/03/post-15f2.html

    洛北出版のPR
    「少年たちを管理した大人と、
    管理された少年たちの世界へ

    大人たちは、どのようにして少年たちの性を
    管理しようとしたのか?
    大人たちは、少年ひいては男性の性や身体を、
    どのように見ていたのか?
    この疑問を解明するため、過去の、教師や医師による発言、
    学校や軍隊、同窓会関連の書類、受験雑誌、性雑誌を渉猟し、
    当事者へのインタビューを敢行する。
    探究をつづけて10年――
    その成果をまとめたのが、この本である。」

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著者プロフィール

澁谷知美(しぶや・ともみ)
1972年、大阪市生まれ。東京大学大学院教育学研究科で教育社会学を専攻。現在、東京経済大学全学共通教育センター教授。博士(教育学・東京大学)。ジェンダーおよび男性のセクシュアリティの歴史を研究。共著に『性的なことば』 (講談社現代新書)など、単著に『日本の童貞』(河出文庫)、『平成オトコ塾――悩める男子のための全6章』『日本の包茎――男の体の200年史』(以上、筑摩書房)、『立身出世と下半身――男子学生の性的身体の管理の歴史』(洛北出版)がある。

「2022年 『どうして男はそうなんだろうか会議』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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