ある広告人の告白[新版]

  • 海と月社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903212036

感想・レビュー・書評

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  • 広告ははたして善なのか悪なのか、というむつかしい問いがありますが、本書でも最後の方でそこについての考察が述べられる。欲望を刺激し、消費を高めるという意味での広告は、資本主義の世の中では経済を回す活力になり、善とされるものだと思います。しかしそれは、人々を堕落へいざなっているのではないか。人々を、浪費の道へ背中を押しているのではないか。まず、オグルヴィは、商品やサービスを広告する際に、それらの「情報を与えるための広告」ならば、消費者に役立ち、かつ広告業も広告主も儲ける、WinWinの関係になる、というようなことを述べている。それでもって、当時の経済学者などから害悪だと言われた「攻撃的な広告」については、実は儲かるものではない、と教えてくれる。「攻撃的な広告」とは、たとえば、こっちの石鹸はこうだ、あっちの石鹸はこうだ、などと同じ種類の商品同士の広告でパイを奪い合う種類のもの。だから、広告が真に力を発揮し社会貢献する、つまり美徳と自己利益が合致するのは、新製品の広告だし、そういった広告こそ、「情報を与えるための広告」になっていることを示します。まあでも、そういった論旨をつかむのにもちょっと骨が折れるような、カフェで長時間、相手に話をし続けているような、オグルヴィ氏のエッセイになっています。どちらかといえば、あんまり論理的にまとめられていないし、話がその時その時でいろいろな方向を向きます。ですが、さきほど書いたように、それが豊かでもあると思うんです。そういう文章から、各々が各々なりに解読しあるいは都合のいいように誤読し、それぞれがそれぞれなりに本書からエッセンスを自分のものにする。試されるのはクリエイティブな読み方でしょうか。

  • 「犬を飼っているのに自分で吠える奴がいるか?」
    クリエイティブな面で広告会社の敵になるな。

    【若者たちへ、休暇のすごし方】p249
    ・家でぶらぶら過ごさないこと。君には気分転換が必要だ。
    ・奥さんは一緒に、しかし子どもたちは近所に預けてでかける。休暇中は子どもたちはイライラの原因になる。広告はまったく見ないように。
    ・最初の三日間は、毎晩睡眠導入剤を一錠飲む。新鮮な空気をたっぷり吸い、よく体を動かす。
    ・毎日一冊本を読む。三週間で二十一冊になる。
    ・貧乏旅行でもいいから、外国に行って見聞を広める。しかし、旅行しすぎて帰って来たときに苛立ったりくたびれ果てるようではいけない。

    【オグルヴィ自信のゴールデン・ルール】
    「家族に見せたくないような広告は絶対につくるな」p266

  • 時代がかなり違うため、矛盾が生じる箇所もあったが、広告に対する向き合い方、基礎中の基礎は変わらない部分であり、学ぶべき部分であると感じた。

    ところどころ自慢が入るが、それほどの結果を出している人なので何も言えない。

  • おもしろい本だった。
    広告の プロになる前の過程が 実におもしろい。
    優秀だったけど 学校教育にはなじまなかったようだ。
    それにしても、人脈の作り方、そして アプローチ、
    志が 実に高く 何が必要なのかを よく知っている。

    沢山の人の名前がでて、それに対する辛辣な評価。
    言葉使いが 実に巧みで こんな風に語ることができるのは
    やはり、なみなみならぬ チカラ をもっている人だ。

    5章以降の 成功する広告キャンペーンとは。
    からは、実に具体的で、まさに王道的だ。
    広告、キャンペーン、コピー、イラストレーター
    コマーシャル、そして 広告人の心構え。

    とにかく、徹底的に仕事をして
    誠実であることが なによりも 一流にするのだ。
    人を育てるのも うまそうな人だ。

    『犬を飼っているのに、自分で吠えるヤツがいるか?』
    (つまりは、よけいな口出しはせず 専門家に任せろ)
    という表現は 気に入った。

    広告のバイブル と言われるだけの 本である。

  • 現代広告の父・デイヴィッドオグルヴィーの著作。
    業界のスーパーバイブル本ですよね。
    今さら…

    なんせ、50年ほど前の本なので、
    今はもう当てはまらないんだろうなあ…ということも多々あり、
    その辺を自分で取捨選択しながら本質の部分のみ
    すくいとる必要があるかと。

    徹底的なリサーチで、売りにつながる広告をつくる。
    この彼の基本スタイルは、今でも十分学びがあるかと。
    本当、徹底してるので。マーケティングから効果測定から。
    リサーチに基づいたクリエイティブ。
    今の日本の広告でないがしろにされがちな
    部分ではある気がしたので、現業で意識できたらなあと。

    ただ、そこまで理屈の積み立てで売れる広告が
    つくれる時代でもない気がするので、
    ある程度は仕方がないことだとは思いますが。
    今の、ダイレクトマーケの手法に近いものを感じました。
    全体的に。

    トップに登りつめる広告人の共通点、
    受け持った取引先については社内で誰よりも詳しくなろうと
    決意すること。
    というのは納得でしたが。
    そういう愚直な努力をできている人が、
    一体どれだけいるかという。
    少なくとも私はできてないんで、
    休み明けから気持ちを入れ替えてがんばりたいです〜…(希望)

  • Vol.202 そのうちすべての分析業務が自動化する!?本当のマーケティング予算の測り方。
    サブ本として紹介http://www.shirayu.com/letter/2013/000408.html

  • ある広告人の告白[新版]

  • 序文
    本書の裏話新版のためのまえがき
    まえがき
    1 広告会社の経営手法
    2 クライアント獲得の秘訣
    3 クライアントとの関係を持続させるには
    4 クライアントに贈る「15のルール」
    5 成功する「広告キャンペーン」とは?
    6 「強烈なコピー」作成法
    7 人を惹きつけるイラストレート法
    8 視聴者の心を動かすTV・CMの条件
    9 「食品」「観光地」「医薬品」キャンペーンのポイント
    10 一流の広告人への道案内
    11 広告への批判に対する私の回答

  • 前回読んだ、Ogilvy on Advertising と内容がかなり重複している。特に前書は、写真入りの解説が入っているため、著者の過去の経験を具体的な事例を以って解説している部分では圧倒的に理解度が高い。

    しかし、オグルヴィ氏の真骨頂は、やはりプロのコピーライターであるが故に、書中で出てくる数々の比喩を始めとする抜群の表現力であろう。最近の、とは言っても本書が書かれた1950年代の話ではあるが、経営者達はリサーチにあまりにも依存しすぎて自ら意思決定することを放棄している状況についてこう述べている。街灯が暗闇を照らすものであるはずなのに、今や酔っぱらいが倒れないように寄りかかる単なる柱になっている。言い得て妙にも程がある。

    また、広告費をケチることによって大した結果が得られない事をこう表現している。ピーナツをまき散らしても、寄ってくるのはせいぜいサルくらいだ。もうここまでくればブラックユーモアだろう。

    学んだ語句: Split ran test
    KLMの広告で、飛行機の写真と行き先の写真のどちらが反応が良いかを同時に試してみたところ、行き先の方が圧倒的に良かったという。

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