- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903500591
作品紹介・あらすじ
「管啓次郎は、批評を紀行にしてしまう思想の一匹狼、もしくは詩的なコヨーテだ」堀江敏幸。本と旅をめぐる話題の本が早くも新装版で登場。青山ブックセンター2010年エッセイ・紀行部門売上1位!
感想・レビュー・書評
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いったい私は何のためにこんなに本を読むのだろう?とたまに考えないことはないけれど、それよりも読んでいる一瞬一瞬の得も知れぬ触感、切れ間にふと見上げた空がいつもと少し違って見えるその広がりがたまらなくて私は読むことをやめられない。想念があちらこちらに張り巡る。「読書の目的は内容の記憶ではない。そのときその場で本との接合面に生じた一回きりのよろこびを、これからやってくる未来の別のよろこび(読書によるものとはかぎらない、生のいろいろな局面でのよろこび)へとつなげてゆくことだ。」正に私の読書を肯定してくれる力強い言葉に後押しされて、私は読み続けるだろう。いつまでもどこまでも。
私が敬愛するル・クレジオをこんなふうに表現しているのがうれしい。「根っからのアウトサイダーだ、たしかに。その文学は、現行の世界の縁(へり)にある。やがて新たな大洪水が人間社会を滅ぼそうとするとき、われわれに最後の希望を与えるのは彼の文学だと、ぼくは思う。」私もそう感じている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読むのにかなり時間がかかった一冊。
時間がかかった理由は二つ。ひとつは、本から本へ旅してゆく著者の感性が独特で、それをしっかり味わいたいために、読み終えたエッセーをもう一度読むことがあったから。そして、もうひとつは、その独特な感性はさらっと読むことでは理解できなくて、行きつ戻りつしなければいけなかったから。
この独特な感性は本のスタイルにも表出していて、例えば目次がないとか、見開きの左ページ上部隅に本文中のキーセンテンスを抜き書きしているとか。
こんな雰囲気のあるエッセーを読み終えた感想は、まさにこの本のタイトルに押されたかのような「もっと本が読みたい」というもの。
ハードルが少し高い本ではあるけれど、手元に置いておいていつか再読したい。 -
熱が、尋常じゃない。大好きなものを語るのに、大好きすぎるがゆえにかえって努めて落ち着いて話しているかのような、それとも、本の楽しみを知り尽くし誘いこむような、蠱惑的な文章。それは、幼い頃から身につけてきていたらしい「無意識下での本との距離の取り方」を意識させるくらいにこちらの心にどんどん踏み込んでくるのだった。この熱に浮かされて一気に読むのも最高だと思うのだけど、深呼吸しながら時間をかけて拾い読み。読みたい本、読み返したい本も増える。本棚に置いて、好きなときに手に取れるのが幸福な、読書人生の友人のような本。
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この本と出会ったことは、ぼくの中の読書観を変えた。ぼくはそれまでせっせと貧乏性を発揮して読むことで何かを得ること、血肉化することを目論んでいたのだと思う。だけど肝心なのはその「本を読むこと」と「生きること」を渾然一体と成して、いわばぼく自身が(相当にこむずかしい、カッコつけたレトリックを駆使してしまうが)流動体となって世界に参加することなのだと思う。そう捉えていくとこの本を読むことは新しい生き方や在り方を見出すことにもつながるのではないか。とりわけ(精神面において)若い人にこそ薦めうる啓発書だと受け取った
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本は読めないものだから心配するな。あらゆる読書論の真実はこれにつきるんじゃないだろうか。話題の書評集が新装版に。(e-honより)
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旅と詩。
小刻みよい文章で心地よいが、もう少し歳をとってから読みたい内容。時を忘れたときに触れたい。 -
文学
思索
ことば -
借り物。最初は装飾的な文に戸惑い、読みにくく感じたが、慣れてくると文の美しさが心地よく感じるように。タイトルに励まされる。何度も読み直したい本なので、購入した。
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B&Bで購入。
つい最近、何かほかのもので「本は読めないものだから心配するな」というこの一文が紹介されていて、B&Bの書棚で背表紙を見た途端に「あ!」と思ったのだ。
いちおう読み終えたことにしているけれど、そばに置いて気が向いたら手にとってひろい読みしたい本。
こういう本に出会えてよかったなぁと本当に思える一冊。