混成世界のポルトラーノ

  • 左右社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903500690

作品紹介・あらすじ

テクストと写真で描く、現代世界を旅するための航海図。目的地は、北京、南台湾、ボルネオ、大連、モントリオール、パリ、ダッハウ、ネヴァダ、タスマニア、デリー、大東島、洛山、ホノルル、ラハイナ、そしてヒロ。文化と文化が出合う地を、旅人の視線で歩き、研究者として捉え直す。紀行×批評の読書体験。あたらしい紀行文のかたち!

感想・レビュー・書評

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  • 五人の著者が三つずつの都市の紀行を寄せた一冊。北京、南台湾、ボルネオ、あるいは、モントリーオル、パリのようにつながりが感じられるのも、ハワイとして一つなぎに書かれたヒロ、ラハイナ、ホノルル。デリー、大東島、洛山という全く別個に思えるものと様々。食を通してみた国際色、地元の人ですらあんなところへ行くと死ぬぞという長城のもっとも険しい箇所、そして円明園が描かれる北京。南台湾の恒春半島で語られる台湾の原住民、それもオランダが来る前の文書に残らない時代の原住民への眼差し。そして「海角七号」という映画の舞台に。ボルネオではラクサと白人ラジャの物語が印象に。モントリオールとパリは、ハイチでつながり。またルワンダ出身でカナダで人気のあるコルネイユという歌手のこと。大連の尻切れとんぼ具合は、抜粋だからだと納得し。ネヴァダには荒地と馬の風景が読み込まれ。/舞台公演のために冬の霧のデリーに降り立った倉石さん/マン・レイの初期絵画「ロープダンサーは彼女自身の影を伴う」1916/日本では近代以降に限っても文学は暇な金持ちかあるいは高等遊民のレジャーの時間ばかりが描かれる長い伝統がありそれが不満だった/そして大東島の壁で囲まれたような特異な植生、八丈島と沖縄出身者によるクレオール文化、製糖事業の隆盛、北海道開拓写真と大東島開拓写真の対比。仲里効さんという大東島について書いてる方の文章には興味が湧く。/高橋悠治がパーセルを波の音と創造的に組み合わせたピアノ曲/ハワイの紀行を読むと、片岡義男「ラハイナに来た理由」「頬寄せてホノルル」が読みたくなる。

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著者プロフィール

1958年生まれ。詩人、批評家。明治大学理工学部教授。詩集『Agend'Ars』『島の水、島の火』『海に降る雨』『時制論』『数と夕方』『狂狗集 Mad Dog Riprap』(いずれも左右社)、『犬探し/犬のパピルス』『PARADISE TEMPLE』(いずれもTombac)、英文詩集にTransit Blues(University of Canberra)がある。紀行文集『斜線の旅』(インスクリプト)により読売文学賞受賞(2011年)。エドゥアール・グリッサン『〈関係〉の詩学』『第四世紀』(いずれもインスクリプト)をはじめ、翻訳書多数。2021年、多和田葉子、レイ・マゴサキらによる管啓次郎論を集めた研究書Wild Lines and Poetic Travels(Doug Slaymaker ed., Lexington Books)が出版された。

「2023年 『一週間、その他の小さな旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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