- Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903500867
作品紹介・あらすじ
プリツカー賞やアメリカ建築学会賞を受賞、建築におけるモダニズムを体現し続けて来た世界的建築家・槇文彦氏(1928~)の半世紀を超える思索の軌跡を集大成する。
『記憶の形象』(筑摩書房、1992)以来の20年間に発表されたもののなかから、数々の作家論、作品論をはじめ、自身の交遊や修業時代の回想、また、代官山ヒルサイドテラスなど自作を論じた重要論文を収録。建築史の貴重な証言であるとともに、建築の未来をも論じた「漂うモダニズム」(書き下ろし、2012年度日本建築学会記念特別講演にて発表、その後大幅加筆)は近年の建築界における最重要テキストといえよう。幾多の進行中のプロジェクトとともに、世界の建築界を代表する作家として一層の存在感をます氏の注目すべき1冊。
感想・レビュー・書評
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槇文彦氏は、建築家でありながら著作には都市や公共空間について語ったものが多い印象があった。
本書でも、建築のみならず都市と人間の関わりについて語る文章が多く、都市との関係性のなかで建築を作ってきた氏の姿勢が表れているように感じた。
建築自身が都市とどのように関わっていくかという観点からは、時間をかけて段階的につくられていったことによって建築群が一つの街路の風景を作っていったヒルサイドテラスの例が分かりやすいものだった。
また、都市の側からそのパブリックスペースの新しい類型として日本の駅に着目したエッセイもあり、都市というものが本質的に人間が一人になることができる場であるという観点からパブリックスペースの在り方を論じているという点で面白い視点だった。
一方、この本のなかにはコミュニティについて論じたものも多くあり、軽井沢の南原地区を取り上げたエッセイでは、建築ではなく別荘地の「原っぱ」が世代を超えてコミュニティをつなぐ役割をはたしてきたことが、氏の実体験を交えながら生き生きと語られている。
もちろん、氏は建築家であることから、建築の持続性やディテールといったテーマについて掘り下げられたエッセイも含まれている。しかし、むしろ全体を通じて感じたのは、そのような良質な建築をつくるというある意味で建築家の「技術的」な問題だけで我々の暮らす空間が出来上がっているのではなく、我々が何らかの方法でその空間を自らのものにしたときに、初めてその空間や建築が社会的な資産として都市の中に位置づけられるということではないかという点である。
「建築はどこで人間と関わり合うか」という問いを立てて「空間化」→「建築家」→「社会化」というステップで建築の創造と人間社会への受容のプロセスを語った表題の文章が非常に印象的だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても読みやかったです。
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学生購入希望で購入した図書(2021年度)
【所在】図・3F開架
【請求記号】520.4||MA
【OPACへのリンク】
https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/454650 -
どうして読んでみようと思ったのか思い出せないが、図書館で予約して借りた。本の同じタイトルの書き下ろしエッセイの部分だけ読んだ。眠くて読み進められないので、もう図書館へ返却しよう。