日本手話とろう文化: ろう者はストレンジャ-

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  • 生活書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903690070

作品紹介・あらすじ

日本語と日本手話は全く違う言語です!日本語対応手話じゃだめな理由!ろうの子どもたちに日本手話での教育を保障して!ユーモアと、時には怒りをこめてNHK手話ニュースのキャスターにして、「ろう文化宣言」の中心人物、木村晴美さんが語りかけます。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズとして3冊出ているのですね。
    「ろうの両親から生まれ育ったろう者。」の著者のメルマガを集めて再構成した一冊。
    正直、さくさくと読むというより、「読むぞ」と気合を入れて読んだ感じ。前半がやや固い印象。
    今までの自分の(聴者的な)手話に対する認識を改められただけでも貴重な一冊でした。多分、自分の中では今まで「日本手話を第一言語とする文化」を頭では理解していても実感では日本語ありきで、手話は日本語に付随するもの、という認識があったのだと思います。以下、目が留まった箇所の羅列。って引用になっちゃったな。

    *ろう者は「合理優先」の文化、聴者は「場・関係優先」の文化
    *手話に声をつけて話せば、その場にいるろう者も手話の分らない聴者も、同時に分ることができるというのは「幻想」でしかない。
    *手話の語源にこだわる聴者は、手話が日本語に付随するもの、という感覚があるからか。語源に依存した手話学習は×
    *ろう者の会話では、イエス・ノー疑問文で何かを聞かれたら、必ずイエスかノーで答え、相手の反応を見てから発話を続けるかどうかを決める。
    *日本手話には「目が高い」と「目が安い」の慣用句がある
    *腕を組む、という行為の意味基準の違い
    *フリクショナル・ムービー(見ていて何か不快を感じさせる映画)~「オレンジデイズ」、「愛しているといってくれ」

    続編も読みたい。

  • 『デフ・ヴォイス』の登場人物(先生)のモデルが木村晴美さん、と書いてあったので、さっそく読んでみました。前回読んだ『手話でいこう』と同じく、読み進むほど「自分、わかってないわ~……」と、くじけそうになりました。バシバシ打たれて、半歩くらい「ろう文化」の理解に近づいたでしょうか。この本の続編や、紹介されていた本など、さらに読みたいものが増えました。が、本ばかりでなく、人にもぶつかって(打たれて)行かねば!

    こちらの本、図書館にリクエストしたら新しく購入して下さいました。感謝。

  • DVDと共に読んだ。
    手話は言語であると言われるようになってきた。
    今後は手話を勉強しようと思う健聴者が多く出てくるだろう。
    そのときにろう者と健聴者の文化の違い、
    あるいは生活習慣の違いなど知っておいたほうが良いだろうと思われる。

  • ろう文化と聴者の文化が交わる場所に身を置く著者が
    日常生活で気づいたことをつづったエッセイ。

    知識として、日本手話は一つの自然言語である、ろう文化は一つの文化であるという発想を理解したつもりでも、それが実際には、どういう摩擦や驚きにつながるのかは想像がつきにくいだろう。

    それが、この本の一つ一つのエピソードで具現化され、
    目からうろこの体験ができる。

    言語学、言語習得、異文化理解に興味を持つ人にとっても
    おもしろい一冊。

  • 聴者優先の社会の中で、聾者は誤解されている部分が本当に多いです。著者はもっと聾者のことを知ってほしいと書いておられるし、もちろん聾文化を知ることがお互いのために良いことはわかるのだけど、??と思う部分ももちろんありました。お互いの歩み寄りのためにはもちろん聾者にもっと声をあげてもらわなくてはならないし、私たちの考えもわかってもらって相互にいい社会を作っていけるといいなと思いました。

  • 自分の本だから★5つ(笑)。

  • これから手話を学ぼうと思い、ろう文化を知るために読んだ。

    かなり本音で書かれており、手話は単に日本語を手で表しているものではないことがわかった。

    用法、慣用句など、日本語とは違うのだ。

    ろう文化を知るためには良書。

  • 「日本手話」と「日本語対応手話」はどういう違いがあるの? という疑問を抱いたところに目にして手に取った本。
    読んでみた結果、日本手話と日本語対応手話の違いだけでなく、日本手話と日本語が根本的に別の言語であることや、必然的に存在する文化の違い、にも関わらずその違いが認識されづらい事から生じている齟齬など、日本社会を生きるろう者の方の視点がわかり興味深かった。
    手話を学んだことがなく、聴者であり、これまでにろう者の方との関わりもなかった、という人間(私)にとっては想像以上に異文化なので、読むと視点が広がると思う。

    ただ、ひとりの聴者としてこの本を読むにあたり、大前提として、著者の方はひとりの日本社会のなかで生活されているろう者であり、この方の意見がろう者全体の総意であると読み取れるわけではない。という認識は持っておいた方がよいと思う。個人的に著者の方以外のろう者の方のご意見もうかがいたいなと感じる部分もあった。
    その上で自分は、手話は日本語とは根本的に異なる言語であるにも関わらず、あたかも日本語の文字の代わりに身振りをあてはめたバージョン違い言語(?)みたいな認識をされてしまっていることがある、という社会の実情になんとも言えない気分になってしまった。言語が異なると必然とその背景文化も異なるのだけれど、その部分にも理解が追いついていないのか、著者の方が体験されたコミュニケーションの齟齬やネイティヴの手話話者に対する視線には、ひどいなあ…と感じてしまうものがしばしばある。自分がもしろう者の方や手話話者と関わる機会があれば、その際はこのようなことのないよう心がけたい。
    刊行時期が古く、元になったメルマガの発行時期はさらに以前とのことなので、今はもう少し社会の状況も変わっているのだと期待したい…のだけれど、どうなんだろう。

    折良く先日のオリンピック閉会式にてろう者の手話通訳つきの放送がされたという話題を目にしたので、個人の方のツイートの引用で恐縮だけれど、わかりやすくまとめられていたツリーのURLを記載しておく。
    https://twitter.com/c_ssk/status/1424584101319774208

  • ろう者の正直な気持ちがわかり、通訳者として、改めて考えることができた

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784903690070

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著者プロフィール

一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了、同博士課程単位取得退学。現在、国立障害者リハビリテーションセンター学院手話通訳学科教官、NHK手話ニュース845キャスター。主な著書に『[改訂新版]初めての手話――初歩からやさしく学べる手話の本』、『日本手話と日本語対応手話(手指日本語)――間にある「深い谷」』、『ろう者の世界――続・日本手話とろう文化』、『日本手話とろう文化――ろう者はストレンジャー』(以上、生活書院)など。

「2019年 『手話通訳者になろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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