包摂と排除の教育学―戦後日本社会とマイノリティへの視座

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  • 生活書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903690476

作品紹介・あらすじ

「包摂」がはらんでしまう「排除」を鋭く射抜く注目の論考!戦後の学歴社会的価値体系と、かつてマイノリティの生活世界に息づいていたそれらを相対化するオルタナティヴ。その葛藤と相剋の歴史を跡付け、歴史的眺望をはじめから欠いているかのような現状の研究のありかたに一石を投じる。

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  • 【書誌情報と内容紹介】
    46判上製 344頁 
    ISBN978-4-903690-47-6 C0036 
    本体3200円

     一九七〇年頃をメルクマールとして姿をはっきりさせる〈包摂〉=関心の埒外においやっていた存在に「今さらながら」教育が関心のまなざしを向け、それに対して何らかのはたらきかけを開始すること。本書は、その<包摂>そのものではなく、ある水ぎわから〈包摂〉が立ち上がってくる動きに関心を向け、包摂という事象をとりまく「界隈」への関心を表現せんとしている。
     現在のマイノリティ教育研究が、自明のこととして問わなくなって久しいテーマ、戦後築かれた学校を中心とした価値秩序そのもの学歴社会的価値体系と、かつてマイノリティの生活世界に息づいていた、それらを相対化するオルタナティヴとの葛藤や相剋の歴史をあらためて跡付け、歴史的眺望をはじめから欠いているかのような研究のありかたに一石を投じる意欲作。
    http://www.seikatsushoin.com/bk/047%20housetsutohaijo.html



    【目次】 
    目次 [003-008]

    序章 戦後日本社会と〈包摂〉への視座 009

    第1部 〈包摂〉のフロンティア――在日朝鮮人教育を通して
    第1章 「包摂=教育の語り」の成立――1970年前後の大阪市における在日朝鮮人教育の「言説の交代劇」から 026
    1  本章の問題設定 026
    2  本章で扱う事例の概要と背景:大阪市の「市外教」の性格 029
    3  在日朝鮮人教育における〈排除〉の語り:「問題生徒児童の指導事例」から 031
      (1)  前書き・主人公の家庭背景の語り
      (2)  「問題児」との格闘の日々の語り
      (3)  〈排除〉の語りのレイシズムと語りの揺らぎ
    4  在日朝鮮人教育における〈包摂〉の語り:「切断」を経ても継承されたもの 042
      (1)  「考える会」周辺の教育実践者による〈排除〉言説否定
      (2)  〈包摂〉の語りの実際:「荒れ」という用法を中心に
    5  考察と結論 052

    第2章 「包摂=教育の語り」の展開――『全国在日朝鮮人教育研究集会』資料を手がかりに 059
    1  本章の問題設定 059
    2  本章で使用する資料の概要 062
    3  教育実践記録のテクストにおける「人間」理念の転倒と〈外部〉の発生 063
    4  「包摂=教育の語り」における対話的テクストの事例 072
      (1)  言説空間内の相互作用による「転倒」の可視化
      (2)  「肩を並べる構図」・「子どもの肩越しにのぞかれる世界」
    5  「生成の自伝」から「生成する自伝」へ:ある記録に見る「呼称の変更」を手がかりに 088
    6  本章のむすび 103

    第3章 「包摂=教育の語り」の前史――1950-60年代の大阪市における「朝問協」、玉津中学校における展開を中心に 107
    1  序論 107
      (1)  問題の設定 
      (2)  時代背景・地域事情 
      (3)  本章の構成 
    2  草創期の「公立学校における在日朝鮮人教育」の論理:玉津中学校の視点から 111
      (1)  「行政/運動」あるいは「権力/民衆」二元論からの脱却、学校文化論の地平へ 
      (2)  玉津中学校が追求した教育の「公共性」:不自由から自由への転換 
      (3)  本節のまとめ 
    3  「公立学校における在日朝鮮人教育」への教育界のまなざし:日教組全国教研集会から 136
      (1)  分科会の名称から浮かび上がる「まなざし」
      (2)  大阪からの報告をとりまく状況
    4  結論 142

    補章 マイノリティ教育の「語り」に走る断層――小沢有作『在日朝鮮人教育歴史篇』によせて 147
    1  はじめに 147
    2  高志明の『歴史篇』批判 148
    3  七〇年前・後を分かつ断絶 150
      (1)  実態としての変動・再論 
      (2)  言説空間における変動 
    4  テクスト内在的な検討 156
      (1)  二項対立的叙述とそこからの翻身 
      (2)  「教育的」世界への安息から回帰へ 
    5  おわりに 169

    第2部 〈包摂〉の古層――高知県の「福祉教員」の事例を手がかりに
    第4章 〈社会〉と教壇のはざまに立つ教員たち――境界上の「ゲートキーパー」という視点から 174
    1 視点 175
    2 福祉教育制度の発足と活動の展開 178
      (1) 県当局の長欠・不就学確認 
      (2) 福祉教員配置の「原点」 
      (3) 精度の裏づけおよび概要 
      (4) 研究交流団体「高知県福祉教育協議会」の発足とその雑居性 
    3 〈社会〉というフィールドでのアクターとしての福祉教員 187
      (1) 『高知新聞』紙面から読み取った福祉教員の肖像 
      (2) 実践のなかでの福祉教員像 
      (3) 山間部におけるアクターとしての福祉教員 
      (4) 地域因習の打破をめざして 
    4 福祉教員における閉鎖的側面の再検討 202
    5 二面性をめぐる考察:結論にかえて 207

    第5章  三つの実践記録を結ぶもの・隔てるもの――福祉教員が経験した「歴史的断層」に関する考察 216
    1 本章の目的 216
    2 『きょうも机にあの子がいない』 217
    3 『子らをみつめて』 224
    4 『あさかぜ』 249
    5 おわりに 267

    第6章 紙の世界の向こうを張ろうとする〈声〉をきく――草創期福祉教員へのインタビュー経験から 272
    1 本章の目的 272
    2 予期せぬ出会い 274
    3 インタビュー過程のなかから (1):「矜持の語り」をめぐって 276
    4 インタビュー過程のなかから (2):部落出身者としての語りの顕現 285
    5 紙の世界の向こうを張ろうとする〈声〉をきくこと 291
    6 後日譚 294

    第7章 戦後初期同和教育におけるハイブリディティ――日教組教研集会報告における〈特殊〉の用語法を手がかりに 301
    1 問題と方法 301
    2 全国教研における「三頭立て構造」の俯瞰と複数の語りのチャンネルの存在 303
    3 「特殊教育」のスコープの拡大 306
    4 基本エッセンスの胚胎:第1次教研資料に注目して 309
    5 「局地化=中央化する力」の制度への定着:第3次教研資料から 315
    6 〈特殊〉の終焉:「純化」の果てにあるもの 323

    終章にかえて 327

    謝辞(二〇〇九年秋の日に 倉石一郎) [335-337]
    初出一覧 [339]

  • レポート書いた。むずかった。教育現場において、必然的に伴われてる問題が論じられています。

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