いのちのレッスン (seisouノンフィクション)

著者 :
  • 青草書房
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本棚登録 : 23
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903735030

作品紹介・あらすじ

夫婦は同時には死ねない。95歳、独り残った私は、今、20億円欲しい!すべての日本人に問う-「人間はどう生きるべきか」。95歳の「遺言」。

感想・レビュー・書評

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  •  新藤兼人氏(1912.4.22~2012.5。29)「いのちのレッスン」2007.5発行、著者95歳の時の自伝エッセイです。明治45年生まれですから、明治44年生まれの父のひとつ下、父は69歳で死亡、著者の強靭さはすごいなと思います。「ヨク」と「トク」にまみれて生きているとのことですが、長生きのコツの一つでしょうか~w。吉行淳之介の愛人の数には驚きましたが、新藤監督が3人の妻に先立たれたことにも驚きを禁じえませんでした。2番目の奥様(2人の子供が成人して離婚、数年後死去)は辛かったことと思います。
     父の一つ年下です。新藤兼人さん、1912.4.22~2012.5.29。死別、離別、死別、3人の妻を失ったエッセイ風自伝記でしょうか。「いのちのレッスン」、2007.5発行、再読。1939年、27歳の時、最初の妻、久慈孝子23歳と結婚。31歳の時、妻孝子結核で没(27歳)。1946年、34歳で美代24歳と見合いし再婚。長男次郎、長女ぎんこ。39歳で乙羽信子と出会う。60歳の時、50歳の妻美代は家を出る(離婚)。1人で戸籍を立て、5年後55歳で没。66歳で、54歳の乙羽信子と結婚。信子、肝臓癌で没、70歳 

  • NHKBSの週刊ブックレビューで絶賛されていた本。
     買おうかどうしようか迷ったのだけど、アマゾンで品切れしていたので
     図書館に予約したら意外に早く順番が来た。
     95歳の新藤さんの直筆ではなくて聞き取りで、エッセーという感じだが
     評判どおり読んで良かったと思える本だった。
     同じようなことを書いた本はほかにもあるけれど、95歳の新藤さんが
     言うと「本当にそうだなあ」と心から納得できるのだ。
     50代半ばになってかなり疲れて弱気になってしまうことが多い私だが、
     95歳までこんなに生々しくいろんな欲を持って生きていられる新藤監督
     本当にすごいと思う。
     人生訓のようなこともたくさん書かれているが、死別した3人の妻との
     思い出や、親兄弟との思い出、映画監督たちとの思い出など、読んでて
     涙が出そうになるエピソードも多い。
     長く生きるってこういうことなんだなとしみじみ思った。

     生きるとは、その過程が大事なのだと、つくづく思う。いかに生きるか、
     今、そのときに心をこめて生きていたら、老いは怖くない。
     肉体は急降下で衰えても、それに反比例するように、老いは心に、
     わが人生のすばらしい思い出を運んでくれる。
     思いきりその輝きに酔うのも悪くない。魂は衰えないのだ。

     明日をも知れぬ命と思えば、ヨクとトクは、さらに増殖する。
     私のヨクは私らしく生きたい、という一点にしぼられている。

     人間は真面目に生きること。これが何よりも大切だと思っている。
     ところが、効率的に物事を運び、要領よく生きることがかっこいいと
     思われるようになってきたのは、いつからのことだろうか。
     時代がどう変わっても絶対にそんなことはない。
     人間としていかに生きるか。その第一条件は、平凡のようだが、
     一歩、一歩、真面目に生きることである。
     中略・・・人の心には、さまざまな弱さや醜さが渦巻いている。
     それを認めたうえで、真面目に純粋に生きたい。
     九十五歳になった現在でも、私はそうつとめている。
     向上心を失いたくない。

  • 年齢で人は錆びない。
    人生を燃やし続ける事を教えてもらいました。

  • 今年95歳の現役映画監督のエッセー。三人の妻を送り、現在はひとり暮らし。思索の時間は誰にもじゃまされたくない。同志である妻の乙羽信子さんの肉体は亡くなったが新藤監督の中で「よいお仕事をしてくださいね」と励ましてくれる。人間は真面目に生きること。人間としていかに生きるか、それには強い心が必要だと・・。「人の心には弱さや醜さが渦巻いている。それを認めたうえで真面目に純粋に生きたい。95歳になった現在でも、わたしはそうつとめている。向上心を失いたくない」。なんと凄い言葉を吐く人なんだろう。これからも長生きで仕事してくださいと祈る気持ち。

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