街場の教育論

著者 :
  • ミシマ社
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レビュー : 150
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908106

感想・レビュー・書評

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  • 教師というのは、生徒をみつめてはいけない。生徒を操作しようとしてはいけない。そうではなくて、教師自身が「学ぶ」とはどういうことかを身を以って示す。それしかないと私は思います。

  •  内田樹さんのことはネット仲間に教えてもらったのが最初だったか。『寝ながら学べる構造主義』でソシュールやら構造主義についてわかったつもりにさせてくれたのがウチダ先生だった。以来、好評(たまに物議を醸すが)ブログもほぼ毎日チェックしている。本業は神戸女学院大学文学部総合文化学科教授。この本は大学院での授業を元に書かれたウチダ流教育論。
    (続きはブログで)http://syousanokioku.at.webry.info/200904/article_2.html

  • 2010.12.23

    しばらく積ん読してた本を卒論をきっかけに出してきた。
    目から鱗、そんな考え方もあるんだなぁと思いながら読めた。
    非常に現在の高等教育界隈の話としては的を得た議論だったと思います。

    内田さんの書く文章が好き。

  • P174 われわれ全員が犯人

     目に見える大きな変化は、中等学校における校内暴力の頻発と師弟関係の崩壊から始まりました。そこから学校の機能不全が始まり、効果的な手が打たれないままに三十年が経過しました。その三十年の成果として、教育の現状がある。ですから、これに取り組むには三十年がかりで解決するぐらいの気構えがいる。私はそう思っています。
     教育再生会議に私が批判的なのは、「一気に解決できる方法」を必死に探しているからです。教育のような惰性の強い制度が不調になっているときに、短期的な解決などありえない。長期にわたる忍耐強い継続的、多角的な努力がなければどうにもならない。そのためには「誰が犯人だ」というような他責的な議論は有害無益なのです。
     そういうと、「では、あなたはどうすればいいと思うのか?」とみんな訊いてくる。私はこう答えました。「私は私の仕事をする。あなたはあなたの仕事をする。それしかないでしょう」。
     「自分がいなくても何とかなる」というのは、危機の評価が低いということと同時に、自分が貢献できることについても極めて低い評価をしているということです。(ただし、これは意識化されてはいません)。被害評価の低さ〈無根拠な楽観)と自己卑下(無根拠な悲観)、この二つが「犯人捜し」に熱中する他責的な人々の特徴なのです。

  • 思弁に長けたお方だなーと唸った。

    教育活動と高等教育が中心テーマだけど、教育って社会的なアレコレをふまえたうえでの超社会的な活動なわけであって、だから現代社会っていうストーリーを内田樹が読んでみた感想文みたいだった。

    一貫して「教育は外へ向かっていくべき」ってことを主張してて、それに対して裏付け的に事例を引っぱって解説していくスタンス。

    言葉にできないという感覚については、よくぞ言葉でスッキリまとめてくださいました、という感動があった。
    受験勉強の構造とロスジェネに関する云々、論理的思考についての説明は、軽快妙味であっさり納得できた。多分正しい。
    ただ、音楽に関する節で、もう消えてしまった音がまだ聞こえて、まだ聞こえない音がもう聞こえているというところに身を置き、豊かな時間意識を持たないと鑑賞できないっていうことはちょっと謎すぎてまだ理解できず。

  • 何気に読み応えがあります。文章はそのわりにわかりやすいです。

  • <今度はウチダが教育を斬る!>
    信者か言うぐらい内田の文章に陶酔してます。もう少し中道にならねばなりませんな。例えノンポリと呼ばれようとも。
    5章は内田さんの思想が全開ですね。


    ・教育は成果が検証できるのが大分先。だからみんな好き勝手言える

    ・教育制度改革は、故障している自動車に乗ったまま故障を修理するようなアクロバシー

    ・義務教育の意義は「親から子を守ること」というのが歴史的事実

    ・教育の本質は時間的空間的「外部」との通路を開くこと

    ・一単位=45時間のワーク

    ・学びは過去の価値観からの上方離脱

    ☆教養―東洋六芸(礼楽射御書数)、西洋七科。
    礼:死者とのコミュニケーション
    楽:音楽を通じての時間意識の涵養
    射:弓道で身体意識の向上
    御:馬術によって他者とのコミュニケーション
    書数:読み書きそろばん「浮世の勧行場」でのやりとりの技術

    ・教養教育は突き詰めたら他者とのコミュニケーション。「自分に出来ないこと」をきちんと理解して「自分の出来ること」にリンケージさせる。

    ・先生は建前でいい。葛藤が成熟を促すから。

    ・どう振舞っていいか分からん時に適切に振舞う能力が教養

    ・「祖述者」になることで信用される

    ・問題を一気に解決できる方法などないと心得よ

    ・問題解決のオーバーアチーブはトップダウンでは成立しない

    ・「モジュール化」

    ☆集団形成をすることに対する忌避と「集団を作らなければならない」強制が絡まりあって、非常に不安定な心理状態になっている。その均衡が崩れると集団になじまないor過剰適応している個体いずれかがいじめの標的になる

    ☆共感力の喪失は消費拡大のための「自分らしさ」礼賛で繁盛したグローバリズムのつけ

    ・「会って五秒」で合格者は決まるby大手出版会社

    ・ファシリテイトする人間が受ける

    ・能の基本はエイトビート

    ・表意文字と表音文字は記号を処理する脳の部位が違う。失読症で、片方だけ読めなくなる日本人の例

  • 教育の話のみならず、組織の話など興味深い。何度も読んでみたい本。途中から3色ボールペンで線を引きながら読んでみた。

  •  フランス現代思想などを専門とする著者による教育論です。著者による『下流志向』でも教育については論じられていますが、本書ではまるまる1冊、テーマが教育に絞られています。具体的には、2007年度の神戸女学院大学の大学院「比較文化・文学」の講義録がもとになっているとのことです。11回にわたって、教育に関する様々なトピックについて、受講生の報告(この部分は未収録)に対するコメントのかたちで、著者の教育論が縦横無尽に語られています。
     読後感としては、「なるほど論理一貫した鋭い指摘だ」と首肯できる箇所と、教育学者の端くれ(一応の専門家)としてはとうてい首肯できない(したくない)箇所と、その両方があります。また、もともと録音された講義録に加筆修正したものなので、当然ながら話の流れや勢いが重視されていおり、典拠やネタ本を丁寧にあげたりはしていません。読者の側に予備知識がないと、オリジナル(ユニークな主張)な部分と定説(オーソドックスな主張)の部分とが判別できません。ただし、これは本書の欠点として言っているのではなく、講義録なのでその点に注意して読みましょう、ということです。舌足らずな部分や、論理的な整合性にやや欠ける部分も、ある程度は仕方のないことでしょう。自分の講義を振り返ると、とても人のことはいえません・・・。
     いずれにせよ、ストレートに教育に関する自説を提示しているので(専門家ほどそうしたことには躊躇します)、賛否いずれに感じるにせよ、自分の考えを深めたり議論の素材としたりするのには、なかなか良い本であると思いました。

  • 世の中はヤバい!
    みんながみんなそう思っているのに、誰も解決策を出してくれない。
    混乱した問題が複雑に絡み合っていて、我々は思考停止状態。問題を先送りして、とりあえず働いたり遊んだり。

    そんな世の中に一石を投じる内田樹氏。

    複雑化した世の中を、「教育」をテーマに分かりやすくほどいて解説してくれる。最高の指南書であると思う。

    教育までもがビジネスの一環としてとらえられている、そのために若者の非正規雇用や早期離職などが起こりえる。子供たちの行動が理解できなくなっている。
    これらの解決策は、「現場」の先生方にお任せすること。完璧ではない、一人の人間としての先生が子供たちに体当たりでぶつかって、「葛藤」を与えることで、子供たちは人間的に成熟する。
    「メンター」と出会うことの必然性。
    「個性を伸ばす教育」が教育現場で近年主なテーマとなっていた。
    しかし、教育とは、コミュニケーション能力を高めること。他の専門家とのコラボレーションを実現させる能力の涵養である。

    こんな世の中を作ってきた責任は、政治家たちだけではなく、まぎれもない「私たち」にある、という、厳しくも当たり前の提言が盛り込まれている。

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著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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