未来への周遊券

  • ミシマ社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908175

作品紹介・あらすじ

●内容
この切符の終着駅はどこだろう?
「瀬名さん、準備はよろしいですか?」
「最相さん、切符は手にしました」
こうして始まった、1年半にわたる往復書簡。
「未来を考えるということは、私たちひとりひとりが今と未来の間に「ひとつの装置」を見いだすことなのかもしれない。―― 瀬名」
「星新一もまた、暗闇と希望を知る人だったのだろう。……暗闇と希望をつなぐのは物語る力だろうか ―― 最相」
…手紙が行き交うたびに紡がれる、未来へ語り継ぐべき言葉の数々。
二人の「物語る力」が暗闇と希望をつないでいく。

未来を周遊するブックガイド付

●書店員さんの言葉
一回見開き二ページ読みきりの往復書簡という形式もあって、文章がきりりと引き締まっていて、立ち姿がとても美しく凛々しい。十年に一度の傑作。
(ジュンク堂書店池袋本店 大内達也氏)

科学を柱にノンフィクション作家と小説家が融合した魂の往復書簡。トークショーでも対談集でも味わえない思考の連鎖反応。二人によって私の未来が広がった。
(萬松堂、中山英氏)

感想・レビュー・書評

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  • ノンフィクション作家の最相葉月さんと博士号を持つサイエンス系作家の瀬名秀明さんが往復書簡形式でエッセイを綴る。
    私にはちょっと難しいところもあったけれど、とても良かったです。
    未来、というものに希望と光が注がれていく。
    そんなイメージ。
    過去・現代・未来の科学者達の熱い情熱を知るにつけ、世の中にはこんなに世界のことを考えてくれている人がいるんだ、と感動しきり。
    それを書かれる最相さん、瀬名さんの文章もなんだかとてもロマンティックで読了後は少し浮遊感を感じました。(特に瀬名さんのラストエッセイ!)

    俳優マイケル・J・フォックスがパーキンソン病を発症してから唱えているというお祈りの言葉「神様、自分には変えられられないことを受け入れる平静さと、自分に変えることは変える勇気と、そしてその違いがわかるだけの知恵をお与えください」という言葉には胸打たれました。

    • やまさん
      5552さん
      こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      5552さん、「神様、自分には変えられられないことを受け入れる平静さと、自分に...
      5552さん
      こんばんは。
      いいね!有難う御座います。
      5552さん、「神様、自分には変えられられないことを受け入れる平静さと、自分に変えることは変える勇気と、そしてその違いがわかるだけの知恵をお与えください」いいですね。
      感謝します。
      やま
      2019/11/08
    • 5552さん
      やまさん、こんばんは。
      いいね!とコメントありがとうございました♪
      マイケルの言葉、いいですよね。
      私もこの本でこの言葉を知ることがで...
      やまさん、こんばんは。
      いいね!とコメントありがとうございました♪
      マイケルの言葉、いいですよね。
      私もこの本でこの言葉を知ることができてよかったと思っています。
      今一度噛み締めたいと思います。
      2019/11/08
  • この本もレビューで知りました。

    科学をめぐる往復書簡。タイトルそのものの内容。
    暑い日に冷房の効いた部屋の中で、ビートルズを聞きつつ、ビールを飲みながら読むのにピッタリの本。

    今見ている星が、とてつもなく昔の光であることを父に言うと、
    「なるほど、見る場合はそうかもしれないな。しかし、考える場合はどうだ。今地球のことを考えている。次に遠い星のことを考える。これはなんら時間を要しない。人間の思考は光より速いということになるぞ」と父から返される星新一の話とか。

    「明日さえわからないのに未来など考えられないとうそぶくのではなく、明日生きることをまず考える」との最相さんの文章とか。

    未来に少し勇気が持てる。

    久しぶりに星新一のショートショートが読みたくなった。

  • 流星群が流れ落ちる夜。静寂がひろがるテントの中でランタンの灯りを頼りに、ひとりページをめくりたい。そんな気持ちになる素敵な本でした。
    まるで文章が旋律となって夜空を駆けめぐり又流星となって落ちてくる・・・ロマンティックな科学の往復書簡です。
    科学と聞くだけで難しそうと敬遠してしまっていたわたしが、科学って面白そうだな・・・と興味を持つことが出来たきっかけ本です。瀬名さんと最相さんのお手紙交換は小難しい文言は一切なく、科学の門扉を誰にでもおいでおいでと開いてくれる愛情に溢れています。

    読み終えた余韻に浸っていると、つい空想してしまいました。わたしが飛ばした紙飛行機がロケットになって漆黒の宇宙へ飛び出していき、勢いに放り出されたわたしは弾けて原子となって再び地球へ舞い戻る。気づけば黄砂となって海をわたり、更に人畜の体内でやっかいもののウイルスとなったと思えば、ロウソクの灯火となって揺れている。吹き消されたわたしは風となって地球儀をくるくる回し世界の地図上を吹き荒ぶ。いつのまにか鳥となったわたしは南極に佇むもう1人のわたしを見ている。急降下してわたしにぶつかれば実はそれはリアルな人間のロボットで、航海中のダーウィンとともに星空の下でマレーの女性のスプーンを使った精霊の踊りをみつめている。いつの間にか昼間となった空に輝く太陽は、ゆっくりと欠けてゆき天の岩屋戸の前では神々が踊り酒を酌み交わしている。日光東照宮を中心に星々が巡れば、その後方には火星や月、衛星や探索機、ロケットが浮かぶ。いつの間にか胎児となっていたわたしは、赤ちゃん赤ちゃんと呼ぶ優しい声に導かれるようにこの世に誕生した。その右手には未来への周遊券をしっかりと握りしめながら。。。なぁんてね。

    • 5552さん
      地球っこさん、こんにちは♪
      こちらの本、ブクログにレビューを上げられていたのですね。
      地球っこさんのレビューを読んで時空がトリップするよ...
      地球っこさん、こんにちは♪
      こちらの本、ブクログにレビューを上げられていたのですね。
      地球っこさんのレビューを読んで時空がトリップするようなそんな気分になりました。
      昨日終えた旅を高速で追体験しているような(^_^)
      すてきなレビューです♥
      2019/07/24
    • 地球っこさん
      5552さん、こんにちは。
      最近読書がなかなか出来ない地球っこです。
      5552さんをはじめブク友さんの素敵なレビューを読んで、まためくる...
      5552さん、こんにちは。
      最近読書がなかなか出来ない地球っこです。
      5552さんをはじめブク友さんの素敵なレビューを読んで、まためくるめく読書の世界に戻りたいなと思ってます♪

      5552さんのレビューを拝見して、3年ぶりかしら?懐かしい友に会えたような気持ちになりました(*^^*)
      そんな気持ちにさせていただいて感謝♪です!
      2019/07/24
  • 科学とは未来の預言者である。この本は2008年から2009年に渡って、瀬名秀明さんと最相葉月さんの往復書簡で、今、起こっている現象を冷静に客観的に観察、考えてみる。

    そこでは、10年後に起こったウィルスについて警鐘を鳴らしている。2009年に数年前に雲南省やベトナムで鳥インフルエンザの感染が確認され、その時動物を宿主とするウイルスはインフルエンザだけではなく、果物を食べるコウモリを宿主するニパウィルス感染症は、その当時小規模な流行を繰り返していると。しかし「先進国の人も感染するインフルエンザには多額のお金が投資されるのに、75%という高い致死率でも、発生地が途上国で、しかも犠牲者が少ないとなれば、興味を持ってもらえない。このまま見て見ぬふりをするのでしょうか」と・・・コロナが中国で起こったことが悲劇、また自分たちに降りかかってこなければ何も動かない。ここで「新型ウィルスは私たちの世界を映す」と瀬名さんは預言している。

    それと、前半ではロボットと人との関わりについて述べている。AIロボットの自主判断の範囲をいかに限定するのか、また科学の情報は、発明・発見者をほごしつつ、いかに多くの人がその果実を享受できるために、話し合いと協力を厭うのは、未来に逆行すると・・・。

    ほんと、科学や世の中の動きが早くなりすぎて、全ての面で人間を追い越し、主人公不在、人間不在の世の中になっていくようで・・危惧されますな。

  • すごい本に巡り合えた。
    図書館で借りた本だが、買って娘の本棚にそっと忍ばせておこう。

    未来を語る旅を続ける2人の思いは、日本各地にとどまらず、南極にも宇宙にも、自由自在に飛び回る。もちろん、時空を超えて古代から未来にも。そして、恐竜からウイルスまで。

    1か月ほど前から読み始め、敢えて一時休止していた。そして、いま、読み終えた。少し気分が落ちているときに、終着駅に着きたかったからである。それは未来を期待したからだ。科学は万能ではないかもしれない。手に余る科学もある。自然は厳しい。でも未来のために科学はある。

    巻末にはブックガイドもある。
    文系科学オタクにはたまらない。
    ミシマ社っていい本作っているなぁ。

  • 作家 最相葉月氏。初めて読んだ氏の「絶対音感」で、その高い取材能力とテーマに真摯に取り組む姿勢に感銘を受けました。そして、何より、その無駄がなく、真実に率直に迫る文体、それでいて温かみのある文章に強く惹かれ、ファンになりました。
    本書は、その最相葉月氏が自ら指名した小説家 瀬名秀明氏との「往復書簡」をおさめた作品です。
    お互いが直接対談するのではなく、あくまで「往復書簡」の形で進められる「未来」への思考。読み進むうちに、両氏が書簡を通して繰り広げつくり上げる「マインドマップ」に触れ、私自らがその「マインドマップ」を書き足す・・・そんな錯覚に陥りました。
    「未来への周遊券」、その名の通り、本書は決して未来への答えを読者に与えてくれる訳ではありません。それどころか、それよりも貴重な財産、「未来を思考するとはどういうことか」を我々読者に思考させる、そんな一冊です。
    「「運命への平静さと勇気と知恵」を持ちたいと願うとき、少なくとも、他社の息づかいを感じとる無線機だけは手放さずにいたい」(本書P173 最相葉月)
    生涯の書の一冊として、手元に・体内に入れさせて頂ければ幸いです。

  • 知的な会話。

  • 未来に向けての往復書簡。それぞれが出すテーマを重ね合わせる二人のシンクロした文章が心地よい。その時々の情勢や、個々の状況が反映される。2009年頃の話で、2011年以降だと、どのような展開になっただろうと思いつつ読み流す。自らの思考や感情が、2011で変わっている事を改めて実感する。

  • 書簡集という体裁の本で、ゆったりとした対談的なもの、《科学》というモノをキーワードにして、《未来》をテーマに書き連ねられている。
    未来について悲観的な部分について目を背けることなく、楽観的な展開を見せる。根拠のない楽観性ではなく、信念的なものもあり前向きではあるが、その反面発行は2010年であり、未曾有の震災が起きる前とあって、現在の感覚で読むと多少の違和感は生じる。
    とはいえ、良い本であり、他の良書への窓口となる本でもある。

  • 無駄がなく強く美しい文章に魅せられる。

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著者プロフィール

1963年、東京生まれの神戸育ち。関西学院大学法学部卒業。科学技術と人間の関係性、スポーツ、精神医療、信仰などをテーマに執筆活動を展開。著書に『絶対音感』(小学館ノンフィクション大賞)、『星新一 一〇〇一話をつくった人』(大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞ほか)、『青いバラ』『セラピスト』『れるられる』『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』『証し 日本のキリスト者』『中井久夫 人と仕事』ほか、エッセイ集に『なんといふ空』『最相葉月のさいとび』『最相葉月 仕事の手帳』など多数。ミシマ社では『辛口サイショーの人生案内』『辛口サイショーの人生案内DX』『未来への周遊券』(瀬名秀明との共著)『胎児のはなし』(増﨑英明との共著)を刊行。

「2024年 『母の最終講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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