- 本 ・本 (110ページ)
- / ISBN・EAN: 9784903908632
感想・レビュー・書評
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筆者の北野新太は、本書発行当時、報知新聞の文化社会部で将棋を担当している新聞記者であった。本書は、彼が色々な雑誌に掲載していた、将棋、あるいは、棋士に関してのエッセイ・コラムを集め、加筆・修正し、更に書き下ろしを加えたもの。
2015年の発行。
本文中に、電王戦の記載がある。電王戦は、プロ棋士が将棋ソフトと戦う棋戦。本書では、2013年の第二回電王戦で戦った、三浦弘之についてのエッセイが記載されている。2013年の電王戦は、プロ棋士5人が将棋ソフトを相手に1勝3敗1分という惨敗を喫した年だ。将棋というゲームに対して、人間とコンピュータの、どちらが強いかということに決着がついた年と言っても良い。しかし本書で、筆者の北野新太は、三浦の、あるいは、プロ棋士全体の奮起を促している。人間が将棋でコンピュータに負けるのは納得が出来ない、という考えで。そこに時代を感じる。
上記したが、人間とコンピュータの戦いには決着が既についており、電王戦も既に行われなくなっている。それでも、藤井聡太の出現などにより、将棋は人気を保っているというか、当時よりも現在の方が将棋人気は高い。それは、結局のところ、人間とコンピュータの、どちらが将棋が強いかということに、将棋ファンはあまり興味がなく、「人間の中で」誰が将棋が強いのかに興味がある、ということである。例が適切かどうかは分からないが、人間とクレーンのどちらが重量挙げで重いものを持てるか、あるいは、人間とオートバイのどちらが100mが早いか、ということに興味を持つ人はいないだろう。それと同じことだと思う。
2013年から8年が経過している。8年という期間の長さを感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
棋士の気持ちに寄り添った取材ありきの文章がとてもよい。ここまで感情移入して読みふけったのは将棋界の情報を短い間に調べで吸収してきたからかな。
藤井聡太さん登場のちょい前からの棋界のエピソードなど、新たな情報にワクワクしかなくて。例えば、本田女流はたまに見かける聞き手のイメージしかなかったけど、彼女が経てきた苦悩の一端をこの本から知ることができて良かった。 -
プロの将棋棋士たちへの取材とインタビューをもとにしたノンフィクションです。
扱われるのは1章がサラリーマンから棋士へ挑戦した瀬川晶司、年齢規定がせまる中でプロへの昇段を目指すアマチュア棋士、女流棋士、2章がAI将棋と戦った棋士たち、3章が羽生善治に挑む中村太一、4章が羽生善治と羽生についてのインタビューに答える棋士たち、5章が再び瀬川晶司についてです。大きくは5章に構成されたうえで、各章が数ページごとの短い節に分かれています。
ノンフィクション作品のなかでも淡々と調査を進めるなかで事実を浮き彫りにするといったスタイルではなく、取材者が尊敬する棋士たちへの思い入れを語る抒情的なタイプの作品で、各章のタイトルや文章の端々からも著者の熱量を伺うことができます。 -
羽生善治棋聖の里見さんへの気遣いとか感動した。
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将棋記者の北野新太の一冊。
棋士の素顔に迫っており、どれも面白かった。 -
面白かった。
ブックレットと言いたくなるような、大変うすい本である。
将棋という知的な営みと、人間の悲喜こもごものドラマが対照をなす。そして、著者は地味にセンチメンタルである(笑)。
単純に内容が面白いので読む、という読書は久しぶりな気がする。 -
筆者が出会ったプロ棋士の素顔。ちょっとカッコよすぎかな、短くてすぐ読める。やっぱ羽生さんすごい。
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棋士の話が好き
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2018/09/16 14:11:49
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全編を通して、著者は自分が書く記事、自分の仕事のことを、棋士の立場からみたら、小さなこと、と捉えているような雰囲気がある。
棋士が取材のために時間を割いてくれることに対して、「何の得にもならない」とか、「申し訳ない」とか、そんな言葉がちょくちょく見られる。
でも多分、書かれる側としては、それはとても大きなことのように私は思う。良きにつけ悪きにつけ、とても大きなことではないかと思う。
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