映画を撮りながら考えたこと

著者 :
  • ミシマ社
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  • レビュー :15
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908762

作品紹介・あらすじ

『誰も知らない』『そして父になる』『海街diary』『海よりもまだ深く』…

全作品を振り返り、探った、
「この時代に表現しつづける」
その方法と技術、困難、そして可能性。

構想8年の決定版

感想・レビュー・書評

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  • レビュー『映画を撮りながら考えたこと』(是枝裕和)
    ここ数年映画を観るようになった自分ではあるけど、本当に、「観る側の世界の広さによって見えてくるその映画の世界の広さも違ってくるのだなぁ」ということを考えさせられることが多くなってなかで、手にとった一冊。
    この本を読む(‘読む’という感覚じゃなくて、是枝監督が上映し終えた映画のスクリーンの前で語っているのを聴いていたという感じのほうが適切かもしれない)ことによって、映像の作り手側の姿に触れることができた、きっとこれから映画を観るときは、無意識のうちに作り手側の想いや意志を感じる感性が疼いてくれることだろう。

    さて、もう少し具体的にこの本で印象に残ったことを挙げておこうと思う。まずは‘日本の映画産業’を‘世界の映画文化’との比較のなかで見つめていた箇所、しかもそれを映画監督の目を通して眺められたこと。世界各都市で開催されている‘映画祭’、今までは、何となく映画作品の箔をつけるためのイベントくらいにしかとらえていなかったけど、世界各都市のマイナーなものから、メジャーなものまで多くの映画祭を巡ってきた監督の経験から、眺めた‘日本という国が映画に向き合う姿’が、時間軸でいうものすごく近いところ、文化の深度でいうと本当に浅いところに置かれているように語っていた。
    是枝監督が巡って眺めた各都市での映画ファンとの触れ合いや映画関係者を受け入れる街の人々のもてなしのここち良さは読んでいる私にも伝わってきた。

    そして「悪いのはみんな萩本欽一である」という強烈な番組タイトルで、テレビ番組の制作経験と、その可能性を語った箇所は、
    「欽ちゃんはそんなことをしでかしていたのか」という驚きと、「そういう見方をすれば確かに欽ちゃんはテレビを素人化し、「芸がなくても出られらる場所」に変えてしまったという、エンターテイメントとしてのテレビ変遷の謎解きをしてくれる。

    是枝監督が制作した、ドキュメンタリー、テレビ番組、映画を時系列に並べ、制作のエピソードを添えながら、映画の面白さ、可能性を‘作り手’の側から語る後半部分。それらをとおして、もう一度観てみようと思った映画は
    『歩いても、歩いても』(安倍寛)
    『奇跡』(前田前田)
    『海よりもまだ深く』(安倍寛)

    まだ観ていないのだが是非観たいのが
    『幻の光』(江角マキコ のデビュー作)
    『DISTANCE』(伊勢谷友介)

  • 好きだと思ってた是枝監督、持論をみて少しさめちやった

  • 2017/12/20

  • 是枝監督のそれぞれの作品の裏話が興味深かった。まだ見ていない映画はぜひ見てみたい。


    "僕がドキュメンタリーで描く対象の多くはパブリックな部分です。だから何かを誰かを批判してもそれが個人攻撃に終始するのではなく、そのような個人を生んでしまう社会の構造自体を捉える視野の広さと深さを大切にします。" 69ページ


    "胸のうちの悲しみについて誰かに話せたということが、人間のたくましさであり、美しさなのではないでしょうか。"73ページ

    "「インターネットを漂っている人がなぜ右翼というかナショナリストになるのか?」。この問いを考えていくと、人とつながっている実感がない人がネットへこぼれ落ちたときに、彼らを回収するいちばんわかりやすい唯一の価値観が「国家」でしかなかったのだということに、気づかされるのです。" 329ページ

  •  あとがきによると8年という歳月をかけて完成されたと記されています。テレビのドキュメンタリー番組演出時代から、映画製作の裏話など興味深い。
     観た映画作品は、宮本輝原作『幻の光』『歩いても 歩いても』『そして父になる』『海街diary』『海よりもまだ深く』
      次回作品も楽しみにしたい!

  • 2016年11月17日

  • 是枝監督の歴史。こんなに話してしまっていいのかな、というほどたくさんの事を語られている。こんなに客観的に?振り返る事が出来るのも監督ならではの視点なのだろうか。恥ずかしながら最近の映画しか知らないし、ちょっと裏話が読めたら楽しいかなぐらいの気持ちだったのだが、テレビへの熱い思いにも驚き、そんな軽い感じじゃないなと思いつつ引き込まれて読んだ。元々ドキュメンタリー畑なのですね。そして、作品を作る時にはこんなにも細かく明確に考えているんだ!と驚きました。もっと感性!なのかなと思ったら感性ももちろんなんだけれど、それを明確に言葉で説明する事が出来る事が自分では考えられなくて驚きとともにとても興味深かったです。映画やテレビに対する考えからナショナリズムに流れがちな現代、成熟した社会への考えまで、最近なんだか変に気を遣ったり色々気にし過ぎたり、そんな自分が疲れるな…と思っていた事もあり、とても興味深かった。
    映画には全く詳しくないですが、これだけのボリューム、読み応えがありました。

  • 是枝監督が好きなら必読の書。
    デビュー作の”幻の光”から最新作の”海よりもまだ深く”までの各作品の裏話しが満載。
    以前、読んで感銘を受けた”しかし…ある高級官僚の死の奇跡”のことにも触れられている。
    是枝監督は、この奥様にとても恩義を感じているのがよくわかる。
    また、”歩いても、歩いても”が観たくなった。

  • エッセイ。映画。是枝さんの二十年間。当たり前だけど、作品には自分の歴史やその時に感じたことが色濃く反映されるんだなぁ。そして思っていることすべてを形に出来ている(している)わけではないんだな。映画監督だと思っていたので、テレビマンとしてのドキュメンタリーを撮る是枝さんの仕事論に驚きながら読んだ。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784903908762

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