うしろめたさの人類学

著者 :
  • ミシマ社
3.82
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本棚登録 : 421
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903908984

作品紹介・あらすじ

市場、国家、社会…
断絶した世界が、「つながり」を取り戻す。

その可能性を、「構築人類学」という新たな学問手法で追求。
強固な制度のなかにスキマをつくる力は、「うしろめたさ」にある!
「批判」ではなく「再構築」をすることで、新たな時代の可能性が生まれる。

京都大学総長・山極壽一氏推薦!


世の中どこかおかしい。なんだか窮屈だ。そう感じる人は多いと思う。でも、どうしたらなにかが変わるのか、どこから手をつけたらいいのか、さっぱりわからない。国家とか、市場とか、巨大なシステムを前に、ただ立ちつくすしかないのか。(略)この本では、ぼくらの生きる世界がどうやって成り立っているのか、その見取り図を描きながら、その「もやもや」に向き合ってみようと思う。
――「はじめに」より

感想・レビュー・書評

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  • エチオピアから日本を眺めてみる。そうすると日常当たり前にしていることが当たり前ではないのではと思えてくる。日本から世界を観ると僕たちの日常は日本でしか通じない習慣で成り立っている。
    作者がいう「うしろめたさ」とは「公正」でない行為にぶつかった時、気づかないふりをする事で生じる感情だ。
    社会とは公正でないのだと嘯く事で精神を均衡させてはいるが、例えば電車の中で老人や妊婦の人が立っているのに元気な者が座っている現場を見た時何も感じないのか!気づかないふりをしようとしても「うしろめたさ」が生じる。これを感じることが大事なのだ。社会はやはり公正に向けて進まなければならないのだ。

  • [あれば読む] ★★★☆☆
    作者なりの答えや「ではどうしたらいいか」がぼんやりしていてピンとこない部分が多かった。
    若い頃のエチオピア滞在の日記をエピソードとして挟みながら考察を進めていくやりかたが面白かった。穏やかな口調が心地よかった。

  • 記録

  • ジュンク堂で見て

  • 2019年1冊目。

    ずっと気になっていた本をようやく。「うしろめたさ」という概念は、近年自分の中でもすごく気になっているものだった。だけどそれは、うしろめたさが「いかに人の生産性を奪うか」というネガティブな方向性の意識だった。なので、うしろめたさが「世界とのつながりを取り戻す鍵」というポジティブな打ち出しにまず驚いた。

    大前提として、著者は「構築主義」という考え方に立脚している。それは、どんなことにも最初から本質的な性質が固定的に備わっているのではなく、周囲の環境含めた様々な作用によって性質が意味付けされていく、というような考え方。

    著者がフィールドワークの現場として通っていたエチオピアの田舎には精神病院がない。心が病んだ人も町の人たちとの関わりの中で普通に共存しているそう。その自然な人間同士の関係性の中で、精神的な病が回復に向かう村人もいるらしい。ところが日本を見ると、少し「普通でない」と感じた場合、それを我が事から隔離して、目を背け、関わりを断つことが容易にできてしまう。おそらくそこに性質の再構築の余地はなく、社会はますます固定的になっていってしまうのではないか、と感じた。

    面白かったのは、人・社会・世界の再構築に必要な「関係性」を取り戻す手段が「うしろめたさ」の感情なのだという独特な視点。物乞いにあったときに、恵まれた自分の立場にうしろめたさを感じる。そのうしろめたさから逃れるために、目を前の現実から目を背けて素通りしてしまいがちだが、もしもここでうしろめたさのままにお金を差し出したら...。それが必ずしも正しい選択なのかは置いておいたとしても、それは目の前の物乞いとの関係性を築く最初の手段になる。そうして始まった関係性から、社会の再構築が始まるのではないか。負の感情から逃げず、素直に従って行動してみる。実はそこには、関わりを断つことよりはよっぽど建設的な可能性があるのではないか。

    同じ何かを渡す行為でも、「交換」と「贈与」を対比して語っているところがとても興味深い。等価の「交換」は、その一回きりで関係を終えがちで、どちらに負い目もないから情緒面は切り捨てられがちになる。だけど「贈与」は、贈る側にも「相手は喜んでくれるだろうか」「受け手が気負わないだろうか」という正負様々な感情が芽生える行為。ここに他者への共感の余地が生まれる。「面倒な親密さ」という表現が絶妙だった。

    こういう「面倒」だったり「うしろめたさ」という一見負の感情にこそ、関係性を生み出す力があり、性質を再構築していく隙間がある。その視点に強く共感した。日々の仕事においても、対価をもらう場合にあってさえ、贈与の気持ちを忘れず、様々な迷いや葛藤と同居しながら、一つ一つの授受を大切にして社会を再構築していきたいと思った。去年一番影響を受けたクルミドコーヒー店主・影山知明さんの著書『ゆっくり、いそげ』とも通じる概念だと感じる。

  • モヤモヤする概念を明文化している本だと思う。
    こういう事を他の人にも考えて欲しいけど、それを他人に伝えることは私には難しいな…と勝手な感想を抱いた。

    恋人同士の呼び合う名前を変える時の話はたしかに!と思った。

  • 社会

  • 非常に読みやすく、日常生活や社会の当たり前について見直させられる内容。

  • 著者は岡山大学の文化人類学の先生。「構築人類学」なるものを提唱しているが、最初と最後に少し講釈があるだけで、中はほとんどエチオピア滞在記。それもフィールドワークと呼ぶにはあまりに緩く、なんだか連日フワフワと何やってるんだろって感じ。。正直言ってピンときませんでした。

  • 2018.03.17 「本って「いいね!」練馬 de 朝活」で紹介を受けた本

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著者プロフィール

松村圭一郎(まつむら・けいいちろう)
1975年、熊本生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。現在、岡山大学大学院社会文化科学研究科/岡山大学文学部准教授を務める。専門は文化人類学。
代表作に、2018年毎日出版文化賞受賞作にして、「キノベス!2018」第6位&「紀伊國屋じんぶん大賞2018」第3位となった『うしろめたさの人類学』。ほかの著書として『所有と分配の人類学』、『文化人類学 ブックガイドシリーズ基本の30冊』がある。

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