村上春樹にご用心

著者 :
  • アルテスパブリッシング
3.61
  • (35)
  • (64)
  • (94)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 550
感想 : 74
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903951003

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  筆者がメディアやブログの日記で「村上春樹」について書いたものを、まとめて1冊にした本。そういう意味で、一つ一つのエピソードは納得させられるものがあるものの、全体としてのまとまりにはやや欠けたしまった感もある。また、村上氏の作品のいくつかをピックアップして、謎解きや解説をしたものではない。

     いきなり読み始めるのではなく、あとがきで全体像をつかんでから、最初に戻った方がいいのかも知れない。

     目からウロコの指摘がいっぱいある。例えば、p.58「近いところでは村上春樹の作品はほぼすべてが「幽霊」話である。」なるほど。そう思って見ると、不可思議な言動をする登場人物の正体が、少しだけ分かったような気がする。

     p.65「私たちの世界にはときどき「猫の手を万力で潰すような邪悪なもの」が入り込んできて、愛する人たちを拉致してゆくことがある。だから、愛する人たちがその「超越的に邪悪なもの」に損なわれないように、境界線を見守る「センチネル(歩哨)」が存在しなければならない…というのが村上春樹の長編の変わることのない構図である(ご存じなかったですか?)。」なども、私はハッとさせられた。

     この本は、基本的に村上作品を肯定的に扱っているので当たり前かもしれないが、読み終わったあと、よ~し、もう一度村上作品を読んでみよう、と思わされる力がある。私も、このブログに読んだ本の感想を書くとき、その本を肯定するにしても否定するにしても、その本を読みたくなるような、そんな感想を書かなければいけないなあと、改めて考えさせられた。

  • お蕎麦屋さんに置いてあった本。「ご自由にお持ち帰り下さい」とあったので、弟がもらってきた本を弟より先に読了。この方は、本当によく村上春樹を読まれてるなという印象。共感できるところも多々あった。今日はちょうど、ノーベル文学賞の発表日。村上春樹さんが授賞されたら私もうれしいし、(授賞するにせよ、しないにせよ関係ないかもしれないが)また彼の小説を読みたくなるだろう。

  • もしかしてこの本に書かれているように、村上春樹さんの作品が「誰も気付かないけど世界的に共通して失われたものをテーマに書かれている」ために読者が増えている…のかもしれないな。「文化的雪かき仕事」とは「小説」であり「バー」であり「音楽」や「映画」でもあるのかな

  • 「100パーセントの女の子とウェーバー的直感について」という最後のめちゃくちゃなエッセイが好きですね。

  • もういちど~の方に合わせて書きます

  • 村上春樹は評論家に評判悪いと初めて知った。理由はなんとなくわかるけれど、評論家に受けがよかったり悪かったりすることで、小説の面白さが変わるわけでもないし、どっちでもいいや。小説とか音楽とかを、好き嫌いで語ることができないというのは因果な商売だなあと思う。
    まあそう言い出すと、村上春樹を読み解く試みも無意味ということになるんだけど。まあ、無意味だなあ。

  • インド人も他のどの国の人も村上春樹の作品に共感し得るのは雪かき仕事が人間にとってとても大切な仕事だと皆知っているから。内田先生の本を読むと家事を楽しくやれるような気がします。

  • なるほど。うなぎを交えた三者面談が小説には必要なのか。なるほど。

  • 村上春樹の苦手感を克服するために手に取った。

  • 春樹の本を最初から順番に読み直したくなった。

全74件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内田樹の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
村上 春樹
フランツ・カフカ
レイモンド・チャ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×