はじめての編集 [単行本]

著者 :
  • アルテスパブリッシング
3.92
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本棚登録 : 829
レビュー : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903951485

作品紹介・あらすじ

第一線の編集者が豊富な経験と事例から編集の仕組みと魅力を解き明かす21世紀の編集入門書。

●目次
はじめに 人生を編集する時代を楽しむために
第1章 高速編集史
第2章 企画は企画を感じさせないこと
第3章 言葉は人びとを振り向かせる
第4章 イメージはアーカイヴから生まれる
第5章 デザインの形式こそがメッセージである
第6章 編集は拡大する
補講:ところで「美しい」とは何?
あとがき
参考文献

感想・レビュー・書評

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  • 本には、本当に出会うのにふさわしい時期があるなと思う。
    それは自分の勘を私は信じてよいと思っていて、
    ふさわしくない時期は、きっとその本を読んでも、
    その本が私に伝えてくれるマックスを私は受け止めきれない。

    この本については、いい時期に読めたと思う。
    これからどうしようかなとか、
    考えていた今の時期に読めてよかった。

    「人は自分が作品のようなもの」というところにとても「そうだな」と思った。
    何かを作っていく人は、もう肩書きなんかいらなくなる時代になり始めていると思う。
    その人は、その人で、名づけられないものを作っていく。

  • 僕らは毎日編集して生きています。

    編集の定義は、「企画を立て、人を集めて、モノを作ること」です。
    編集の基本となる3大要素は、「言葉、イメージ、デザイン」です。

    著者の言いたいことは、最後にどかっと主張されていました。

    人が生きるということ自体が編集行為そのもの。
    何を食べて、何を着て、何の仕事をして、誰と付き合い、どこで生きるか、には無限の選択肢があります。その無限の選択肢のなかから、自分で可能な範囲で選んでカスタマイズして人は生きている。言い換えれば、人は常に人生を編集している。

    より良い企画を立て、より良き人を集め、人生をより良く作品化していくことが、この大編集時代を楽しく生きる術。

  • idea inkシリーズの編集をされてるかたの本。

    編集という仕事を、むかしからかかわられて、雑誌や書籍の編集をされており、またWebやそれ以外にもお店などを編集することをテーマに書かれています。

    講義をベースにした書籍なので、初心者で編集者になりたい人もそうですが、コンテンツにかかわる人にオススメの一冊です。

  • 編集の方法論でありながら、人生の編集にまで範囲が及ぶ。

    紹介されている事例の数々は、編集の仕事が「企画のため、お金のため」であることを超えて、人生を楽しく色付けすることであると教えてくれる。

    PVを稼ぐブログの書き方や、セルフ・ブランディングの成功例では、「人生の編集」が眉唾っぽくてわかりづらいように感じていた。

    でも「はじめての編集」の手にかかると、『本当の「人生の編集」を試してみたいな』という、すっきりとした、そして前向きな嬉しさを感じる。

    これからのちょっと先の人生を「どうしようかな」と思ったら、もう一度この本を読むかもしれない。

    2012.05.16 14:49
    著者の菅付雅信氏からじきじきに「セルフ・ブランディングなんて、しないほうがいいですよ。 」とお言葉を頂きました。
    https://twitter.com/#!/MASAMEGURO/status/202636958193823745

    これは私の言葉足らずだったので、訂正してお詫びします。
    「はじめての編集」をいわゆるセルフ・ブランディングに利用するというつもりでなく、それよりこの本にあるような「人生の編集」をしていきたいなといつもりでした。



    ☆おまけ画像☆

    ちなみに「献血ルーム池袋い~すと」で見つけた。
    とても素敵に編集された場所でこの本に出会えて幸せ!
    twitpic.com/9li6gv

    本を置いてある場所には素敵な言葉が書いてありました。
    twitpic.com/9li6vd
    ”Never end with regret. but start with it! 後悔で終わっちゃダメだ。後悔からスタートするのさ。

  •  1/29(日)にスタンダードブックストア@心斎橋であった講演会のテキストです。

     講演会の感想はこちら→はじめての編集@スタンダードブックストア心斎橋

     最近TL上で話題の津田大介さんの情報の呼吸法やソーシャルデザインのクリエイティブアートディレクター菅付雅信さんが著者です。
     講演会で行っていたけど編集三部作の最後らしいです。
     他の2作は東京の編集編集天国だそうです。)

    本書の目的

     本書は、池袋西武百貨店のコミュニティカレッジでの半年間にわたる講義録を元に大幅加筆修正したものだそうです。
     その由来から分かるように本書の目的は「編集の仕事を志す若い人たちに向けて、日常に溢れていながらもあまり語られることのなかった編集の世界とその手法の魅力を解き明かそうと意図したもの」です。

     著者は「企画を立て、人を集め、モノをつくる」の3つが揃っていればその行為はメディアを問わず編集なのだと述べています。それはどういうことなのか。
     本書は、その説明として編集の歴史から、企画の立て方、そのためのコツ、編集概念の拡張、さらには人生の作品化ということにまで筆が伸びています。

     豊富な図録と共に説明がなされているので若安く、かつ、読みやすい本でした。願わくばカラーの方が良かったのですが、それは値段を考えると贅沢というものですね。

     とまあ、僕が何やかや書くより目次を示した方が納得しやすいと思うので、目次を書きます。その後に、それぞれの感想について書こうと思います。

    目次

    まえがき 人生を編集する時代を楽しむために
    第1章 高速編集史~編集はこんあふうに進化してきた~
    第2章 企画は企画を感じさせないこと
    第3章 言葉は人々を振り向かせる
    第4章 イメージはアーカイヴから生まれる
    第5章 デザインの形式こそがメッセージである
    第6章 編集は拡大する
    補講 ところで「美しい」とは何?

    第1章 高速編集史~編集はこんあふうに進化してきた~
     ここはほぼ印刷物の歴史とも言い換えられます。以前読んだ本の歴史 (「知の再発見」双書)に書かれていたことや書店の近代―本が輝いていた時代 (平凡社新書)で書いていたこととほぼ同じです。
     最古の編集物や聖書、中世ヨーロッパにおける教会の意義、文芸春秋の誕生、インディーズ・マガジンの流行、インターネットなどについて。高速で紹介していきます。
     清少納言を「世界最古のブロガ―」。境界を「グーグル」と例えたのはさすが編集者だと思いました。
     
     この章の要点は最後の項目に尽きます。メディア進化の特徴を3次元的に捉えているのです。
     フロー/ストック、権威性/参加性、記録性/創作性の三つです。

     それぞれの代表格としてテレビ・ネット/本など紙メディア(フロー/ストック)、初期の本/ブログ等ネットメディア(権威性/参加性)、新聞など報道系メディア/ファッション雑誌などエンタメ系メディア(記録性/創作性)を挙げていのです。

     本当にざっくりまとめるとまじめ系/エンタメ系とでも分けられそうですが、それは強引ってなものですね。次に続きます。

    第2章~第5章 編集ハウツー

     第1章での編集概念の定義付けを受けて、第2章以降は編集の方法論について述べています。
     企画の立て方(第2章)、企画のブラッシュアップ(第3章~第5章)という形です。

    第2章 企画は企画を感じさせないこと

     この章は、まさに企画概念の説明ですね。
     企画を「能動的なもの/受動的なもの」と分けてみたり、「新しい」型、「提案」型、「独占」型、「挑発」型、「再提案」型と型によって分けてみたりして解説します。
     印象的だったのが「優れた企画は企画を感じさせず、世界観を感じさせる」です。

     前者「優れた企画は企画を感じさせず、世界観を感じさせる」についてですが、僕も普段から感じていることで、色々と読んだり観たり聴いたりしていると、優れた作品は多分凄い技術でもって作られている筈なのに、技術を感じさせずに素直にストーリーや世界観にのめり込ませてくれます。

     「め組の大吾」や「昴」などで有名な漫画家・曽田正人さんは「MOON 昴~ソリチュード~」において、作中で超一級のバレエダンサーであるプリシラ・ロバーツのダンスを観て感動した同じくバレエダンサーの登場人物にこういったようなことを喋らせています。
    (正確な台詞は覚えていないのですが、大体こういう要旨でした。正確に知りたければ読んでみて下さい。面白いですよ!)

     「本当はすごいことやってるのに、私、そんなこと気にしないでストーリーに熱中していたの」

     優れた作品というものは、超絶技術を駆使しながらもそれを意識させないようなものかもしれませんね。

    第3章~第5章 編集の基本3原則 

     第2章で「企画とは何ぞや?」について答えた後で、それを受けて、ではその企画を成立させる「編集とは何なのか?」をより技術的な面からあらためて定義づけていきます。

     著者によると編集とは「言葉、イメージ、デザイン」の基本3原則によって成り立っているそうです。
     そこで、第3章で「言葉」を、第4章で「イメージ」を。第5章で「デザイン」について解説していきます。
     長くなるのでざっくりまとめますが、「言葉」はタイトル付けの重要性について。「イメージ」は元ネタを知ること=良く読み聴き観ることの重要性。「デザイン」はきまりによって作られること。きまりを以下にして作り、メンバーに浸透させるか。
     といった内容でした。

     具体例も多く、いちいち頷くことの多い内容でしたが、やはり「タイトル付け」と「デザインはきまりをつくること」というのは目から鱗でした。
     タイトル付けに編集者がどれだけ苦心しているか。デザイン=形式。デザインについては最近勉強しようと思っているので、新しい解釈を知れて良かったのです。

    第6章 編集は拡大する

     第6章は、現在とこれからの編集についてです。
     編集というものは、紙媒体に限ったことではなくweb、展覧会、デパート、ブランド、ショップなどなど既に現在でも色々なメディアでコミュニケーションをプロヂュースする方法として編集は用いられていると。

     レディー・ガガ。知っていますよね。彼女はそのパフォーマンスで一躍有名になりましたが、実はライブやテレビ出演だけではなく人生そのものを作品化していると著者は言うのです。
     その証拠に彼女のフェイスブックページやツイッターでの活動を観ろと。ライブ情報。物販。何でも揃っている。彼女は行動を公開している。それら全ての振る舞いの評価が現在での彼女の立場を築いていると。
     本書では「ロッキング・オン」2010年6月号での記事を引用しています。

    肝心なのは、みんなが思っている”私が隠しているもの”を見せるとしたら、私は何も隠していないと言うこと。

     今までは「クリエイター<作品」だったのが、情報の氾濫によって徐々に「クリエイター>作品」になってきていると。

     そうやって例を出した後に、著者は言います。

     ツイッターやブログなどの普及によってネット活動をしている者たちは意識するしないに関わらず、自分の人生が評価されるようになってしまっている。
     それなら人生を楽しむためにはいっそのこと「人生の作品化」をした方が良いのじゃないか。
    (本文の要約です。)
     
     これには僕も同意です。作品化とまでは言いませんが、好むと好まざるとに関わらず現在は相互監視社会になって来ています。そんな中で、もし個人として生きていこうと思うのならば、自分を良く見せること。あくまでウソはつかない範囲でですが。そして、少なくとも悪く見せないこと。
     こういったことは、今後の社会を楽しく生きていく上で必要不可欠な技術になってくるのではないでしょうか。

     このことに関してはホリエモン他色々な人たちが「これからは個人の時代」と言っていたりとか「自分ブランド」(この言葉は嫌いですが)とか、そういったことと共通しているのだと思います。

     まあ難しいこと言っていますが、結局のところ、「信頼を裏切らない」という当たり前のことが可視化されてきたと言うだけの様な気がしますが。

    補講についてとまとめ 人生の作品化。過去のことと外のことを知る

     ここまで本書の紹介をしてきました。「補講がまだだ」と仰られるかもしれませんが、まとめと同じことになると思いますので省略します。
     本書をまとめると、そりゃまあ「編集とは何か?その個人的答え」になるわけですが、実はそれだけに留まらず、著者は「編集」という方法が創作する上でのすべてだと思っていると思います。
     
     「design is everything」という有名デザイナーの言葉にひっかけて「編集はすべてだ!」と書いていますし。

     そして、「人生の作品化」が人背を楽しむコツだとも書いている。ということは、編集という方法を学び活かすことがそのまま人生を楽しむことにつながる。
     著者は補講として美しさについて書いていますが、「アートは新しいきまりをつくること」と書いています。
     とするならば、もし自分独自の生き方などというものがあるとすれば、それは新しいアートになるのではないか。それが人生の作品化ということではないか。

     しかし、新しいものを作るには勉強が必要です。そこで、著者は勉強についてこう定義しています。 勉強とは「過去のことと外のことを知る」ことなのだそうです。

     当然ですね。「今までやられたきたこと」と「他者について知ること」この二つがなしで「新しいもの、きまり」と言っても天才でない限り、それは「パクリ」か「独り善がり」になります。
     過去の名作から影響を受け、一部踏襲しながらも自分独自の解釈や技法、思想を付け加える。そして、そこに新たなきまりを作り、他者に訴えかける。

     きっとそれが「新しいもの、きまりを作る」ということなのでしょうね。

    感想

     色々と勉強になることの多かった本書ですが、僕が色々と読んだり観たり聴いたりしてきた中でなんとなく感じていることを、整理して言葉にしてくれたような本でした。
     だから、読んでよてもすっきりしたし、やらなきゃいけないことがハッキリしてきたように思います。
     もっと読んで観て聴いて、それを体系化し、アウトプットすること。できれば何かしら作品になる様なものが作れれば。。

     出版に興味がある人だけじゃなく、「何かを作りたい!」と漠然と考えている人全般にオススメできる本です!

  • 長年blogを書き、現在はそれと同時にSNSでの発信やZINEなどを作っているので、改めて編集とは何かということを知りたくて読んだ。どうしてもデザイン面が主となってしまうところはあるのだが、自分が何を知らせたいのか、見せたいのかということを意識して活動していくことが何よりも重要と読んでいて思った。

  • 【気になる参考文献】
    『グーテンベルクの銀河系』マーシャル・マクルーハン
    『メディアの法則』エリック・マクルーハン
    『21世紀の歴史』ジャック・アタリ
    『地平線の階段』細野晴臣
    『<不良>のための文章術』永江朗
    『糸井重里全仕事』広告批評編
    『秋山晶全仕事』広告批評編
    『ブランド「メディア」のつくりかた』嶋浩一郎
    『インタビューズ』ハンス・ウルリッヒ・オブリスト
    『歴史・祝祭・神話』山口昌男
    『創造者たち』ダニエル・J・ブアスティン
    『ポール・ランド、デザインの授業』マイケル・クローガー
    『かたち 自然が創り出す美しいパターン』
    『西洋絵画のひみつ』藤原えりみ

    ベネトン発行『COLORS No.79』特集「COLLECTOR」2010/2011年冬号
    『DAZED & CONFUSED』1998年12月号 障害者の写真(dazed and confused september 1998で画像検索すると一部見られる)


    【まえがき 人生を編集する時代を楽しむために】
    ▶︎「編集」とは「企画を立て、人を集め、モノをつくる」こと
    ▶︎編集の基本となる3大要素は「言葉、イメージ、デザイン」

    【第1章 高速編集史】
    ▶︎今、21世紀に、メディアはフローとストック、権威と参加、記録と創作といった3つの座標軸の中で三次元的に進化、発展している。では自分はなにを基軸において編集していくのか? これらの歴史的な視点に立ち返っていくと、自分がどうすべきか見えてくる。

    【第2章 企画は企画を感じさせないこと】
    ▶︎編集は、「だれかに、なにかを、魅力的に伝える」という目的を持った行為。だから、企画にも必ず目的がある。この企画は誰を相手にしていて、何を伝えようとしているのか。それが企画の原点であり、この点に立ち返れば解決の糸口が見えてくるはず。立ち返っても出口が見えないときは、原点から見直したほうがよい。
    ▶︎企画を考える上で一番大事なのはターゲット。ターゲットがどういう人かによって、題材や表現手法、使うメディアが決まっていく。
    ▶︎企画には「しばり」がある。時間、予算、スタッフ、クライアント、ディストリビューション(流通)、ターゲット。
    ▶︎報道の基本は「真実の伝達」であり、客観性が求められる。編集は「情報による触発」であり、主観性が求められる。
    ▶︎ベーシックな企画の立て方。「新しい」「提案型」「独占」「挑発」「再提案」
    ▶︎企画は掛け算。新しいものx古いもの、海外x日本、おしゃれなものxダサいもの、高尚x低俗など、組み合わせて掛け算すると新しいものが生まれる。
    ▶︎編集という言葉は「編む」と「集める」からできている。「編んで集める」だけで企画になるし、なんでもコンテンツになる。
    ▶︎企画を感じさせず、世界観を感じさせてくれるものが優れた企画だと思う。

    【第3章 言葉は人びとを振り向かせる】
    ▶︎メディアの言葉は、飛ばし見されることが前提。skimmingされるもの。「無関心な人々を振り向かせるフックとしての言葉」が必要。広告コピーは、言葉のフックの宝庫(糸井重里、中畑貴志、秋山晶など)。
    ▶︎村上春樹が敬愛するスコット・フィッツジェラルド曰く「人と違うことを語りたかったら、人と違う言葉を使え」(柴田元幸『翻訳教室』中の村上春樹の発言より)。フィッツジェラルドも村上春樹も最初は悪文だと思われてた。
    ▶︎中畑貴志が『秋山晶全仕事』に寄稿した秋山晶論。タイトル弾丸は速く飛ぶ。「彼の表現を見ればわかるが、すべてが直截である。不純物を含まない。速く飛ぶ。速くコミュニケートする。情報が伝達するスピードを上げる。そのために、不要な雑物は、極力取り除かれている。だから、きれいだ。(中略)文章は飾れば飾るほど汚れるものだから。(中略)形容詞は甘く触れてくるが、その分腐るのが早い。」
    ▶︎ベストセラーを生むタイトルの4ポイント(by.柿内芳文@『ブランド「メディア」のつくりかた』)
    ①身近度。タイトルにとって使われている表現が自分にとって身近な表現かどうか
    ②中身度。タイトルが本の中身を表現しているかどうか
    ③対話度。タイトルを通して読者と対話が出来ているか。賛否両論問わず意見がもらえるか
    ④衝撃度。店頭でスルーされないようなインパクトを求めるということ
    これら4つのバランスを意識して、その本に対して最も良いタイトルを徹底的に考える。
    ▶︎バルガス=リョサ曰く「ある文体が正確であるかどうかというのは、実のところどうでもいいこと。大切なことは文体がその任務にふさわしい機能を果たしているかどうか」(『若い小説家に宛てた手紙』)

    【第4章 イメージはアーカイヴから生まれる】
    ▶︎まずしっかりとターゲットを見ること。さらに、そこで自分が使うメディアの性質をちゃんと把握すること。するとイメージが漠然とでも見えてくる。
    ▶︎ありきたりのイメージを面白く魅力的なものにするには、元になるテーマから遠くにぶっ飛んだ、振り子の幅が反対側に振り切れたようなイメージを考えることが有効。ベーシックな伝達効率の高いイメージと、そこからかけ離れた、情報の伝達性は弱いかもしれないけど、その分強く印象に残る魅力的なイメージ、どちらも重要。
    ▶︎イメージの編集の主な目的は、イメージによって一瞬で物事を説明すること、そして、イメージの力で相手を触発することにある。
    ▶︎Nick Knightの作品で『DAZED&CONFUSED』1998年12月掲載、すべて身障者をモデルにしたファッション写真。アレキサンダー・マックィーンとのコラボ。鮮烈な印象を与え、人間の美しさを改めて問い質すような力がある。
    ▶︎過去の作品へのオマージュが陳腐にならないようにするには、①高いクオリティ ②時代に即してアップデートした要素を加える ③元ネタへのリスペクト が重要。
    ▶︎イメージになるべく砂糖(代表的なのは、笑顔、子供、動物)をいれない。無理やり甘くするのでなく、もとの素材が持っている旨味を引き出したい。砂糖入りイメージは、誰がどのメディアで発表しても、ある程度好感度を得ることができる素材だが、そこに独創性はない。
    ▶︎編集で大事なのは、伝えることよりも、触発すること。そして触発するにはいいイメージが必要。

    【第5章 デザインの形式こそがメッセージである】
    ▶︎デザインとは「モノの見方を具体的に示すこと」。
    ▶︎編集におけるデザイン=言葉とイメージをまとめて世界観を作り上げること。編集はデザインを持って初めて完成する。立派な言葉やイメージを並べていても、デザインのクオリティが低いものには説得力がない。言葉だけの力で見ず知らずの人を振り向かせ、しっかり伝達し、触発するのは大変難しいこと。人々が何かをちらりと見て、「あっ、これは自分に関係ありそう」「自分が好きな何かがある」と思える、その1秒にも満たない瞬間の判断を決定づけている大きな要素がデザイン。
    ▶︎マクルーハンをもじって「編集の形式(=コンテンツのスタイル)こそが内容であり、編集の形式こそがメッセージである」。どのような形式がコミュニケーションを促すのかまで考えることがデザイン。
    ▶︎文化人類学者の山口昌男曰く「人間が周辺に追いやっていたもの、つまり”中心”と対比するために、片隅に追いやっていた諸事物が、一つのまとまりを持って”中心”を脅かしはじめる。なんらかの形をこの”周辺的”な事物に与えて、この事物の持つ活力をこの世界(中心)に導入しなければならない」(『歴史・祝祭・神話』より)
    ▶︎美しいデザインには、「きまりをつくる」ことが大事。何もない空間に言葉やイメージを配置するにふさわしい秩序を与えること。既存のきまりを壊して新しいきまりを作ることもあるが、破壊的なデザインにもそれなりのきまりが必要。
    ▶︎雑誌のエディトリアル・デザインにおける美しいきまり。タイポグラフィーで誌面にきまりをつくる、スペース(空白)にきまりをつける、色できまりをつくる、線できまりをつくる、グリッド・システムで多い要素をシンプルに見せる、写真の撮り方など。
    ▶︎台割(だいわり)
    ▶︎モンタージュというイメージとイメージの掛け算。エディトリアル・デザインでもウェブのデザインでも、時間経過、場面展開を持つすべてのメディアに、モンタージュ理論はひとつの有効な考え方を提示している。イメージとイメージを組み合わせることで、どれだけ元のイメージから飛躍した面白さを出せるか考える。
    ▶︎ウェブの特性は双方向性と更新性。だから完成形が定まらず独立した作品として語りにくいため、完結したデザインというよりも常にコンテンツが入れ替わるフォーマットとして語ったほうがよい。編集的視点から面白いサイト。
    ・日本のカルチャー系ウェブマガジン「ハニカム」
    ・イギリスの「showstudio」Nick Knightが主催
    ・フランスラジオ局ラジオノヴァのサイト「novaplanet」
    ▶︎オバマ大統領を生み出したデザイン。『デザイニング・オバマ』(スコット・トーマス)という大統領選キャンペーンのデザインを題材にした本。スコット曰く「今の世の中は、デザイン過剰です。もっと削減すべき(中略)デザインするものには目的があります。デザイナーは装飾家ではなく、問題解決の手法です。シンプルであること、ミニマルであること」(玉利康延ブログ「tamalog」のデザイニング・オバマ」講義録より)

    【第6章 編集は拡大する】
    ▶︎記者が現場に行って書いたファーストハンドの情報(一次情報)、他のサイトから転載しているセカンドハンドの情報(二次情報)。今、ネット含めメディアの世界では、ファーストハンドの情報が相対的に減りつつあるため、逆にその重要性が増している。ツイッターやブログで人気ある書き手の多くは、その人なりの現場感あふれるファーストハンドな情報や意見を書いている人たち。篠山紀信曰く「時代の中で起こっている面白いことや、モノ、人を一番いいタイミングで一番いい場所に行ってバシッと撮ってしまうのがいい写真家」(筆者長『編集天国』)。いかにファーストハンドで時代を握ることができるかは、メディアに関わるすべての人間にとって重要なこと。
    ▶︎人生がダダ漏れする時代。人生のほうが作品よりもはるかに情報化されて、伝わっている。高く評価されるクリエイターになるには、評価される人生を送るしかない(ex.レディーガガ)。クリエイターの評価は、生き方そのものの評価になっている。「人生の作品化」
    ▶︎人は常に「人生を編集している」。無限の選択肢から、自分で可能な範囲で選んでカスタマイズして人は生きている。

    【補講:ところで「美しい」とは何?】
    ▶︎「新しくて魅力的な表現」をつくるためには、「過去のことと外のこと」を知ることが必要。文化は歴史的であり文脈的なものだから。だから、勉強とは、新しく魅力的な「きまり」を創れるようになるためにするもの。そして編集は、物事がより魅力的に見えるように、絶え間なく新しいきまりをつくり続けていく行為。
    ▶︎より高いレベルの自由を獲得するために。古いきまりを壊し、新しいきまりをつくる。またその新しいきまりが、人々の知覚の領域を拡げ、より新たな自由な感覚を与える、それこそが最も理想的な創造=クリエイション。

  • ・イメージはアーカイブから生まれる
    ・デザインとは決まりがあること
    ・美しさとは決まりがあること

    なるほどと思った。

    人生まるごと編集。
    自分も自分のルールで
    自分なりの人生を編集していきたい。

    そして、それが
    少しでも美しいものであってくれたら嬉しい。

  • 図書館で見つけて流し読み。

    これは!デザインをやるわたしにとって必携の本かもしれない。
    「人生を編集する時代を楽しむために」
    「ところで美しいとは何?」
    とか気になるポイント多し。

    また絶対に読む。

  • 菅付雅計氏の編集に関する本質書。編集とは本を作ることだけではなく、企画を立て、人を集め、形にすることと定義する。そして、言葉、イメージ、デザインの3つの要素で編集物は形づくられ、それぞれについて解説事例で本質的なことを教えてくれている。事例は海外の事例が多く少し難しかったが、本質気的なことは学べたような気がする。どんな仕事でも一流の人の作品に触れることが改めて大切なのだと思う。

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著者プロフィール

1964年生まれ。編集者。Gutenberg Orchestra Co.,Ltd. 代表。
『月刊カドカワ』『カット』『エスクァイア日本版』編集部を経て独立し、『コンポジット』『インビテーション』『エココロ』『リバティーンズ』の編集長を歴任。出版からウェブ、広告、展覧会までを編集する。書籍では、朝日出版社「アイデアインク」シリーズ、電通の「電通デザイントーク」シリーズなどの編集を手がけた。
自身の代表作に、『はじめての編集』『中身化する社会』『物欲なき世界』などがある。マーク・ボスウィック写真集『Synthetic Voices』でNYADC賞銀賞受賞。

菅付雅信の作品

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