ブラック・ジャックは遠かった 阪大医学生ふらふら青春記

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784903993157

感想・レビュー・書評

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  • 医師が医療モノを書き上げる際、どうしても身内びいきというか「医師だって人間だもの」という部分が混じるのは 止む方なし、と私個人は思う。医師の世界は上下関係や年功序列も顕著であるし、何より医師の交友関係はほとんど医師で構成されているからである。医師叩きをすれば友人・上司ならびに自分自身にそれがかえってきてしまうからだ。

    しかし、久坂部氏は医師でありながら「医師批判」が手厳しい作家であると感じる。外科医、麻酔科医を経験し、医務官を勤め上げ、現在は大阪人間科学大学教授をしつつ、デイケア医療に携わっている久家氏(本名)であるが、「医療嫌い」な一面が諸処に感じられる。医師を追い込み、破滅させるアンハッピーエンドな展開の多さ。

    学生時代から氏の特質は変わらなかったようで、医師という仕事に疑問や葛藤を抱えながらも、デートや一人旅にいそしんだり、級友の助けで試験をギリギリパスし、青春を謳歌していた。

    巻末の大阪大学幹細胞病理学教授 仲野徹氏との対談を読む限りは同窓生は彼の活躍を生暖かく見守っているよう。皆、心が広いんだなぁ。

  • お医者さんの著者による青春回顧記。
    年代的に医学生だったのはゆとりよりだいぶ前のはずなのにものすごくゆとりのある、というのか勉学だけでなくいろいろなことを楽しんでいらっしゃったご様子で読んでいておもしろかった。
    お医者さんになるのは大変だ。

  • 読みやすかった。

  •  阪大出の医者のエッセイ集。自分より14,5歳先輩のお話で、当時の大阪の一部の様子が面白い。現在のぎすぎす?雰囲気ではない学生時代だったようで(筆者ならではかもしれない)、こういう医学生が今、いてもよいなあと感じた。死生感もとても共感できる。患者にどの程度向き合うのか?また向き合うというのはそもそもどういうことなのか?ということを考えることができる。
     ネタ切れと言うが、まだまだたっぷりあるだろうから、ぜひ続編を望みたい!

  • 2016.5.6.読了

  • -2015/11/03
    医師に聖人性を求めてはいけない。患者の目線と医師の目線の両方が求めらている。それが看護師の仕事かもしれない。

  • 筆者が阪大出身だとは、初めて知った。
    白い巨塔、あの大学。
    青春時代の話は微笑ましい。
    大学時代、教授の「行い」が学生の筆者には許し難く、でも、今ならわかる気もする、という辺りは、そうだろうなあ、とうなずける。
    「あの時代はよかった、、」ですませちゃいけないのだろうけど。
    カンニングだって、今は留年必須。

    最後の対談がまた味があって面白かった。

  • 図書館で借りた。

    医師で作家の著者が大阪大学生だった時期のことを中心に、大阪のフリーペーパーに連載していた記事をまとめたもの。

    驚くほど勉強せず、カンニングで学内の試験を乗り切っていたらしい。本当におおらかな時代だったのかもしれない。
    ただ、医学生のするような勉強をしていないだけで、読書や旅、人付き合い、恋愛など人生を楽しむことはしっかりしているようだった。

    当時の雰囲気でよいと思ったのは、勉強していない人を放っておくところ。その人が損をするだけだからと何もしない。
    こうすれば当人も甘えが出ずに好きなだけ勉強しないでおけるし、誰のせいでもなく自分のせいなのだから、一念発起することもあるんじゃないかと思った。

  • 医師兼作家の久坂部羊氏が書いた青春期です。
    昭和50年代に医学部学生時代をおくっています。
    学生時代にいろんな所へ貧乏旅行に行っています。
    時間があったので好きなことができ、すべてが緩やかな時代でした。
    講義は、どれだけさぼっても問題にならず、テストはカンニングであがることができました。
    いつの間にか世の中かわってしまいました。

    http://ameblo.jp/nancli/entry-11801008776.html

  • 914.6
    阪大医学生だった頃、研修医時代のあれこれ

  • なんだろ、ちょっと昭和の香りがした。なんでかというと筆者がいい年だからかなあ。
    発行年が二十年前でもおかしくないなー、と思う。
    技術を学ぶのと人の気持ちを推し量るのとを一緒にやるのは難しいんだろうな。
    ただいつまでも学ぶ姿勢を持った人間でありたいとは思う。

  • 久坂部さんのエッセイ風の自伝、ということで読んでみました。
    とにかく医者のウラ話は読んでいておもしろい。
    合理主義対ヒューマニズムのような、ちょっと理不尽だと思ってしまうようなことにも耐えなければならないのか…。
    久坂部さんの人柄が感じられて、なかなかおもしろいです。旅がめちゃくちゃ好きやねんなあと思った。
    あと、最後の仲野徹さんとの対談はかなりおもしろい。久坂部さん、天才肌なんじゃないかと思う。
    医者やからって、みんなまじめやとは限らないし、みんな患者のことを考えられるひとやとは限らない。医者の期待値を下げること、も大事だそうです。

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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