理念経営のすすめ-成功する会社の経営理念と戦略-

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  • 株式会社コスモ教育出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904026212

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  • ◎会社の課題本として。 



     この本の要旨は「我々は今一度自社の経営のあり方を見つめ直し、さらに理念を深めて革新をしていかなければ
    なりません。そうでなければ顧客の真の要望に応えられなくなってしまいます。存在価値を高め、顧客にとってなくてはならない企業にしていくためにも、再度自社の使命や理念の再確認をしなければならないのです。」の一文にまとめられているのではないだろうか。それではなぜ、経営のあり方を見つめ直さなければならないのか。理念を深めて革新をしていかなければならないのか。丁寧に著者の見解を要約したい。
     「切に念うことは必ず遂ぐる也」という道元禅師の言葉が引用されており、著者は道元禅師のこの言葉について「明確な意図があれば方法は無限大に生まれてくるものなのです」、「何よりもまず明確な「理念」があることが大切である」と述べている。企業の経営理念とは「自分の会社をこういうふうにしたい」という強い念いが必要であり、会社の繁栄、衰退は経営者の心の有り様によって決まると言っても過言ではないのである。 その心を鍛えるためにも、経営者は「四耐」に耐え忍び、人間性を深め精神性を高める必要があるというのが著者の見解である。そうやって鍛えられた経営者の哲学・思想は経営理念に色濃く反映されるため非常に重要な要件なのだ。
     しかし、経営者自らの体験をもとに形成された明確な「理念」だけでは会社を動かすことができないため次に「戦略・演出・実務」が重要な要素として挙がってくる。「理念」と時流を見据えて対応された「戦略」をもってしてやっと会社は円滑に動き出すものなのである。経営者の「こんな自分になりたい」「こんな会社にしていきたい」という強い念いから理念が生まれ、それを具現化する戦略が生まれることが重要な流れなのだ。さらにいえば、企業が永続していくためにも経営の理念は「顧客の満足」を見越したものでないといけないうえに、戦略もそれに則ったものにならなくてはならない。でないと、顧客の創造はもちろん顧客を維持することはできないのである。顧客の維持は企業の永続には欠かせない要素のため、経営の「理念」というものは顧客の満足、顧客への貢献を果たすものでなければならない。「顧客の満足」を作ることは企業の永続のためには重要なポイントなのだ。
     それでは、「顧客の満足」はいかにして作るのか。それはマーケティングとマインド・イノベーションであると述べられている。顧客のニーズをキャッチし、「世の中の進歩に従って出てくる新しい考え方や技術や仕組み」を追求し、変革をしていかなければ「顧客の満足」を作ることはできない。では、変革を行うためにはどうすれば良いのだろうか。この疑問に対して著者は「イノベーションを生むためには、マインドを変えなければなりません」と述べており、マインドというのは考え方とか意識のことであるため、意識を革新することがが重要だとしている。それは物の見方をや考え方、知見を広げるなど方法は様々あるだろう。意識の革新なくしては新しい商品を生み出すことができないため、「顧客の満足」も創出できない。「理念」と「戦略」、マーケティングとイノベーションについて、改めてもう一度見つめ直すことがとても重要である。
     「理念」と「顧客の満足」を見据えた「戦略」ができてもそれを動かす資産がないといけない。企業の重要な資産としてあげられるのは、まさしく「人財」だろう。非常に明確な理念を持っていると、具体的な戦略を指し示すことができるので社員に対して具体的な行動を促すことができる。これが、理念と戦略が一致しているということだと著者は述べている。これは企業の繁栄にとって必要不可欠な要素だ。
     さらにいうと、明確な経営理念には社員一人ひとりの努力のベクトルが揃ううえに挑戦意欲、チャレンジ精神を引き上げさらには革新、イノベーションを加速させる力があるのだ。明確な経営理念は、企業の羅針盤になると言っもて過言ではない。

     しかし、反対に考えると、経営理念は社員の行動規範とならなければならないため、事あらばすぐに社員が行動に移すことができるようにように浸透させておかなければ意味がない。経営理念が形骸化しないためにも経営者が経営理念を直接喋るのではなく、社員に問いかけて、答えさせるとなお浸透が早い。
     「経営理念とは、生きるとは何か、死とは何かを自分に問い、この一度しかない人生をいかに生きるのかという、経営者の厳しい人生観からしか生まれない」とあるように、経営者がどのような人生観を持っているかどうかで、そこで働く幹部や社員の能力は決定されてしまうため、経営理念を考える前に経営者の自己の人間観の確立がもっとも重要なテーマになってくる。企業経営は、その企業経営者が何を志しているか以上には発展しない。確固たる経営理念を作り、戦略を打ち立てていくことが大切だ。

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