恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS)

  • ソフトライン 東京漫画社 (2008年1月17日発売)
3.97
  • (424)
  • (331)
  • (370)
  • (26)
  • (14)
本棚登録 : 3034
感想 : 184
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ
  • / ISBN・EAN: 9784904101056

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いろんな意味で衝撃的な短編集。
    ヤマシタトコモさんの作品を読むと、人間って素敵な生き物なんだなって、どうしてか思ってしまう。どうしようもないキャラとかも多いのになんで。
    話のアプローチの仕方が斬新で、ふつうの設定が一味も二味も違って見えます。


    『ベイビー,ハートに釘』
     ヤマシタさんはホモの中に女性を当て馬のポジション以外で入れるのが上手い。
     高校生同士の不安定さの描写がとても好きです。震えるほど一途ってキモイ!という部分が“ホモっぽい”てレッテルになってるんじゃ…と薄っすら思いました。

    『イッツ マイ チョコレート!』
     リアリティ…。そんな近場にゲイとゲイがいるのか…?とも思うのに、このリアリティ。きっと話題が“家族”に引っかかってくるからでしょうか。
     なんとなく、長男受けって確かにこうなりそう。甘えたいと思っていてもその環境にいたら簡単に甘えることはできなさそう。実くんがかわいいです。優しくていいお兄ちゃん。
     でもこの話でどこが一番萌えた?って聞かれたら、真っ先に学くんと真ちゃんの喧嘩だと答えます。次男と三女かわいすぎる。そう言えばヤマシタさんって近親相姦て描かないですよね。

    『悪党の歯』
     とても好きな話です。BLという枠に入れるのが申し訳ない。
     これが一番リアリティを感じます。ヤクザというアウトローな設定が背景にありますが、実際男が男に好意を寄せて、その行きつく先ってこういうかたちが一番有り得そう。“同じように思ってあげられないから悲しい”って、男に好かれた側の誠実なこたえだろうな、と。想うことも想われることも人と生活するのはむつかしい。
     そんな真面目な感想とは別に、ヤマシタさんの描かれるおじさんと少女ってほんとに萌える。

    『恋の心に黒い羽』
     いろいろ突き抜けている。個人的にヤマシタトモコ作品としか言いようがないほどヤマシタトモコが炸裂してる感じの話でした。
     今死ねクサレチ○ポって伏字なしで1頁目に載せるヤマシタさんが好きです。才能って強烈ですね。
     しかし何だかんだ理解しようとする中頭はカッコイイのだと思います。相手がどう捉えるにしろ、知ろうとすることが無駄になったら、とても哀しい世界になりそうだから。

    『その火をこえてこい』
     かわいい話でした。和む。一番BLっぽい。文学的要素が入ってるのに内容は(鹿目のキャラゆえに)結構ファンキーな感じがしました。
     鹿目と六条のやりとりがかわいくて仕方がない。テンポいい会話の応酬好きです。ヤマシタさんにしてはわりとストレートな話。

    『FOOL 4 U』
     わたしの中でゲイっぽいってイメージまんまのキャラがゲイでゲイらしい悩みを抱えてる話。レイプか…そうか…。
     ヤマシタさんの描かれる受けって、見た目は厳つくても中身はかわいい人が多いなと思います。波古って綺麗好きで几帳面そう。

    『フォトジェニク』
     描き下ろし。おったっちんって(爆笑)
     ハイセンスなギャグと台詞チョイスに毎回驚かされます。アクロバティックなやおい。

  • 最初の話の、お姉ちゃんと弟の関係が、なんだか素敵。
    片想いの相手の男の子も、思春期らしいというか、きっともう少し大人だったら、すんなりうまくいっていたのでは、と。

    大家族のお話が特に大好き。
    兄ちゃんファイト。

    最後のお話のおバカさんが愛らしくて素敵だ。

  • まず表紙が色っぽい~
    あと、「悪党の歯」のパピーの眼光とかまじ惚れそう。
    ヤマシタトモコさんの描くキャラはみんな色気があって素敵。
    物語も雰囲気も大好き。
    とにかく大好きなんだ。

  • これは…短編ばかりだけど全部いい!
    短編って、キャラや内容が魅力的でもっと読みたいという気持ちより、短いページ数にうまく収まり切れなくて読み手に物足りなさを残すものだ…と私は思ってた。

    でもヤマシタさんはウマい。
    短編がこんなに読後感良いなんて素晴らしい!
    あと書き下ろしで【こぼれネタ】的にチラ見せするのがスゴく満足度を上げる!!

    シリアス過ぎないお笑いが盛り込まれてる作風が大好きだ。
    久しぶりに、いま私がBLに求めているのは【笑い】だと思い出した(笑)

  • 表題作が好き。
    最初、「君に輪切りにされたい」のくだりを読んだ時に衝撃的でびっくりした。
    性癖=心に生えた黒い翼=純真さを隠す鎧 ていう比喩表現が面白いと思った。
    何回か読むと、深くてジワジワくる感じ。

    「イッツマイチョコレート!」「その火をこえてこい」も私的に好きだった。

  • 高校生えっろ^q^

    ヤマシタさんの漫画は、雰囲気とか言葉遊びを楽しむものだと思っている。あと関係性。
    BLでも長編かいて欲しかった。残念。

  • この方のお話を読む時はいつも気合いがいります。
    疲れた時に読むと大ダメージ。

    個人的オススメは「悪党の歯」。
    BLですが相手は出てきません。
    末期ガンの男の娘と、その男を30年好きな男のお話です。
    萌えという観点から見れば他のタイトルを選びますが、
    一番心をえぐられたのがこれだったので。

    ヤマシタさんの描く女の子が結構好きなんです。

  • 作者さんの「ホモどうこう以前に、男同士であることを気にしろホモ」というスタンスに惚れ込んでます。
    同性愛前提の漫画がほとんどの中で、斬新な視点で描かれてるので、もう最高。
    ホモがきもい、という世界が現実味があって中々良いです。
    収録の中では本のタイトルのものと、「イッツマイチョコレート!」が大好き

  • もともと女の子をよく出す作風(?)みたいだけど、とりわけ女の子が多くて嬉しい。
    さばさばしたカッコイイ女の子ばっかりなのです。


    表題作はいつまでも心の中で反芻したくなる。
    羽が先なのか、心が先なのか。

    中頭は二神が性癖を盾にして求愛してくるから、腹が立ってるわけですけど。これが「ホモでM」っていう特殊な性癖じゃなければ、そんな違和感もつわけもない。
    「あなたが異性だからじゃなくて、純粋に好きなんです」なんて言い方、中学生だってしないだろう。それじゃあ、そもそも恋愛感情なのかも分からないし(笑)

    …まとまらないので、後日また書き足します。

  • ・ベイビー、ハートに釘
    姉弟きょうだいの弟が同級生に恋して、それを知った姉ちゃんは。
    ヤマシタさんの家族の描き方とても好き。
    「心ない唇に 震える唇で」って表現すごい。端的明快。


    ・イッツマイチョコレート!
    6人きょうだいの長男の話。兄ちゃんがキレるとこ、うちは二人姉妹だけどでも長女だからすごくわかる。
    これが一番好き。


    ・悪党の歯
    組長の娘と、組長と一緒に組を興した娘の世話役。


    ・恋の心に黒い羽
    ケーキ屋で働くMとMに好かれる口の悪い男の話。
    これもそれほど。


    ・その火をこえてこい
    同級生。短すぎて最終的にどっちがどうなのかわかんなくなる。

    ・FOOL 4 U
    クサレ縁。受けは攻めのことが好きだけど、攻めが自覚なし的な。攻めの優しい恋人が不憫でならない。
    てか受け攻め逆だと思ってた!

全184件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1981年5月9日生まれ。 2005年のデビュー後、すぐに「ねこぜの夜明け前」で講談社「アフタヌーン」主催の四季賞、夏・四季賞を受賞。 19年には「違国日記」がマンガ大賞4位に入賞する。主な作品に『BUTTER !!! 』『ひばりの朝』『さんかく窓の外側は夜』(本書原作コミック)『花井沢町公民館便り』などがあり、幅広い層の支持を得ている。

「2020年 『さんかく窓の外側は夜  映画版ノベライズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ヤマシタ・トモコの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
中村 明日美子
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×