TPPが民主主義を破壊する!

著者 :
  • サイゾー
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本棚登録 : 41
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904209295

作品紹介・あらすじ

こんなにひどい協定が秘密裏に決められている!日米国民の99%を不幸にするTPPの実態を暴く!

感想・レビュー・書評

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  • まえがき
    第1章 TPPで得をするのは誰なのか!?
    第2章 秘密条約TPPの中身を探る
    あとがき

  • 「TPP締結は民主主義の終焉を意味する」
    という章で、著者は書いています。
          
    「TPPとは、資本主義(正確には「金融資本主義」)対民主主義の戦いなのかもしれません。」
    「ごく一部の限られた人たちだけで政治を動かすシステムは、貴族政治とか官僚政治です。」
    「そうした貴族政治や官僚政治によって虐げられた庶民が立ち上がり、政治を一般市民の手に取り戻すことによって、現代の民主主義が誕生したのです。」
    「その歴史をなぜ何百年も前に巻き戻すようなことをするのでしょうか。」
    「私たちは、世界から民主主義がなくなる瞬間を目の当たりにする、歴史の生き証人になるかもしれません。」
         
     では、なぜTPPが民主主義を破壊するのか。
     私が本書から拙い引用をするより、皆様自身が読んで頂くのが話が早いと思います。
     そう分量も多くない小冊子なので、隙間時間を使ってでも読み切ることができると思います。
     例えば一つ挙げるならば、TPPは秘密条約で一部の人しか見ることができないという決まり自体が、民主主義に反していると言えるのではないでしょうか。
     つまりTPPは、一部の特権階級の一部の特権階級による一部の特権階級のための条約なのです。
            
     例えば、TPPの交渉項目に日本の「軽自動車」が入っています。
    「“軽自動車”というカテゴリーが非関税障壁だ」
    と言われて、軽自動車カテゴリーが撤廃される危険があるということです。
          
    「軽自動車のメーカーとして有名なスズキの鈴木修会長はTPPの項目に「軽自動車」が入っていることを知らずに「TPP賛成」を叫んでいたそうです。「軽自動車撤廃が入っていますけど、いいんですか」と言われて初めて知り、「TPPと軽は全然関係がなく、何が何だかわからない」と答えたといいます。笑い話のようですが、本当です。
     TPPで完全にターゲットにされている渦中の張本人ですらこの程度ですから、一般国民が知らないのも無理ないのかもしれませんが、それにしても知らなすぎます。
     トヨタの社員たちもおそらくこの程度の認識なのでしょう。自分たちが賛成しているものが自分たちにどんな悲劇がもたらすかを知らないのです。」
           
     ここでは、TPPに賛成している自動車業界の人の無知が批判されていますが、一事が万事、このようなものでしょう。
     例えば、農業を始めとして、医療業界も壊滅的な打撃を受けるでしょう。
           
     アメリカを支配する大企業の代表として、「モンサント」があります。遺伝子組み換え作物を使った農業を行っています。モンサントにとってTPPが実施されれば儲かるので、TPPを推進しています。
     というか、TPPの仕掛け人サイドの企業です。
     このモンサントと業務提携している日本の企業は「住友化学」で、その会長は米倉弘昌・経団連の会長です(本書発行当時のこと。現在は榊原定征のよう)。
     TPPでモンサントが儲かる→それと提携している住友化学が儲かる→経団連がTPPを推進する
     という図式なのですが、住友化学が儲かるために日本の食の安全を売り渡すという売国的行為ではないでしょうか。
           
     ちなみに、アメリカでモンサントの遺伝子組み換え作物を栽培している畑に近い学校の子ども達の健康被害率の高さが問題になっているようです。
          
    「モンサントの畑の近くだけ、子どもの健康被害率が異常に高いのです」
          
     原因については色々な説が出ているようですが、結論が出ないようです。
     TPPが発効したら日本でもモンサントの種子を使った農業が行われるようになるでしょう。
     そうなると、日本でも畑の近くで健康異常が発生するのでしょうか。
           
     本書の奥付けには、2013年7月19日発行、と記されています。
    「あとがき」によると、TPP反対の議員を少しでも多く当選させるため、緊急出版した、と書かれています。
     しかしその願いむなしく、その後現在までの3年間に実施された選挙では、TPP賛成・憲法改悪推進・独裁推進の極右勢力が勝ち続けて、とうとう衆参両院で3分の2以上の勢力を握ってしまいました。
     ただ一つの希望は、アメリカ大統領選でヒラリー・クリントンもドナルド・トランプもTPPに反対しているということです。
         
     ただ、条約については、国際的には、全権代表が調印した段階で、締結したものとみなされるようです。
     TPPも、甘利明が賄賂問題でリタイア中に高鳥修一副大臣が調印してしまいました。
         
     TPPに憲法改悪に。
     今後の日本は軍国主義独裁体制に向かって行くので、ろくなことないでしょう。
     匿名ブログにまで言論弾圧が始まれば私も筆を折るしかありません。
     このブログもいつまで続けていられるか。
     最後の瞬間まで小さな声を上げ続けるつもりですので、応援よろしくお願いします。
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160829/p1

  • 驚くことばかりだった。

    一番驚いたのは、TPPが秘密交渉だったこと。一部の企業と一部の政府関係者しか知らないようなもので、巷に溢れている情報はリークされたものだったというのは衝撃だった。国会議員でも条約の内容を知らない人がいるのに、一国民が知る由もないと思う。原案は一字一句変えることができないというが、追加項目自体は一般の人の目に触れることができるのだろうか?秘密交渉なら恐らく無理だろう。なのに、中身もよく分からないものに対して「賛成」と言い切れる人たちがいることに危機を覚える。中身を分かってて「賛成」と言う人はもっと怖い。

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著者プロフィール

認知科学者(計算言語学・認知心理学・機能脳科学・離散数理科学・分析哲学)。
カーネギーメロン大学博士( Ph.D)、同 CyLab フェロー、ジョージメイソン大学C4I&サイバー研究所研究教授、公益社団法人日本ジャーナリスト協会代表理事、日本外交政策学会会長、コグニティブリサーチラボ株式会社CEO 兼基礎研究所長。マサチューセッツ大学を経て上智大学外国語学部英語学科卒業後、三菱地所へ入社、財務担当者としてロックフェラーセンター買収等を経験、三菱地所在籍のままフルブライト全額給付特待生としてイェール大学大学院計算機科学博士課程に留学、人工知能の父と呼ばれるロジャー・シャンクに学ぶ。同認知科学研究所、同人工知能研究所を経て、コンピュータ科学と人工知能の世界最高峰カーネギーメロン大学大学院博士課程に転入。計算機科学部機械翻訳研究所(現 Language Technologies Institute)等に在籍し、人工知能、自然言語処理、ニューラルネットワーク等を研究、全米で4人目、日本人として初の計算言語学の博士号を取得。帰国後、徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、同ピッツバーグ研究所取締役、通商産業省情報処理振興審議会専門委員、早稲田大学研究院客員教授などを歴任。また、晩年のルー・タイスの右腕として活動、ルー・タイスの指示により米国認知科学の研究成果を盛り込んだ最新の能力開発プログラム「 TPIE」、「 PX2」、「 TICE」コーチングなどの開発を担当。その後、全世界での普及にルー・タイスと共に活動。現在もルー・タイスの遺言によりコーチング普及及び後継者として全世界で活動中。一般財団法人サヴォイア王家諸騎士団日本代表、聖マウリツィオ・ラザロ騎士団大十字騎士。近年では、サヴォイア王家によるジュニアナイト養成コーチングプログラムも開発。日本でも完全無償のボランティアプログラムとして「PX2」と並行して普及活動中。

「2023年 『新・夢が勝手にかなう手帳 2023年度版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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