張り込み日記

制作 : AD:祖父江 慎 
  • ナナロク社
3.87
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本棚登録 : 114
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904292525

作品紹介・あらすじ

昭和三十三年、茨城県水戸市千波湖畔-。子供たちが発見したのは切り取られた体の一部だった。このバラバラ殺人事件は、更に怪奇な事件へと変貌する。犯人の手掛かりを追って、舞台は、東京へ。ベテランと若手、二人の刑事が真相に迫る。「実際の捜査」を二十日間にわたって密着撮影した、140点以上の実録写真集!

感想・レビュー・書評

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  • 若竹七海「錆びた滑車」巻末おまけ「冨山店長のミステリ紹介」のお勧め。昭和33年に茨城県で発生したバラバラ事件の捜査をする茨城県警と警視庁の刑事2人組に同行、彼らを撮影したカメラマン渡部雄吉の密着写真集。現代では絶対不可能な企画。

    「ー滑車」読了日に試しに借りてみる。ひと目見てのめり込んだ。こんなのドキュメンタリーでも、もうあり得ない。本物のベテラン刑事(警視庁の方)が、ホントに小説に出てくるままに聞き込みの時はにこやかに、推理するときには苦虫を潰して歩いている。煙草でもうもうとした会議室。狭い部屋に20名が、いかつい顔を突き合わせて、ああでもない、こうでもないとメモに書きとる。丸こい湯飲み。二本の黒電話。電話がかかってくる(表紙の写真)。急いで咥えタバコでコートをはおる。ハンチング帽を被って外に出れば、都市化直前の幅広い道路にまばらな車の東京だ。下町を足で稼いで聞き込み捜査。店は未だ配給所の面影を残している。ヌカ一杯15円、小麦60円。飯場の立ち食い屋、一食10円均一。そこで出されているのは、雑炊とかスイトンとか。下町のうなぎ丼、天丼、餃子丼全部150円。笑顔のベテラン刑事。新米の茨城県警刑事は厳ついままだ。歩いて聴いてゆくのは、ドヤ街や旅館などの下町ばかりだ。路地で遊ぶ子供たち。女将さんがそのまま30年代の小さな旅館の女将さんみたいだ。演技じゃないんだ。捜査は水戸へ、または岐阜県へ。旅館で聞き出した容疑者の住所が岐阜県だったのである。しかし1ヶ月の聞き込みの結果、住所は偽りだという結論に至る。手がかりは遂に途絶えた。

    ここまでが、写真集の約半分である。もう一度いう。これはまるでドキュメンタリー以上だ。刑事の頭を抱える苦悩も、本物だ。もう2度と撮れない。そしてまるで一冊の推理小説である。よってこれからの展開は、もう書かない。文章は乙一。2014年再刊の時に、ドラマチックに構成し直している。

    「ー滑車」では、元刑事だった祖父へのクリスマス・プレゼントにと、古書店のお客が買った。ぴったりだ。きっと喜んだことだろうと思う。

  • ずっと見たかった写真集、後発のナナロク社発行の普及版。昭和33年に起きたバラバラ殺人の犯人を追うベテラン刑事と若手刑事の二人組を取材した実録写真集。ひたすら足で地味に聞き込みをしている二人を追っているモノクロ写真集だが、地味さは無く、驚くほど劇的な写真だ。よく言われているように、まるで映画のスチルのよう。昭和30年代の街並みや人々の服装も興味深く、眺めていて飽きない。刑事ふたりのあまりにも刑事然とした服装がまた良い。万年筆、黒電話、定食屋、マッチ……そして人々の喫煙率の高さ!昭和を感じる。

    写真の構図がスタイリッシュなものが多いので、ページに施されたデザイン(写真アプリのレトロフレームのようなやつ)が煩く感じられてしまうのが惜しい。

  • ほら、この本を見てご覧!良いでしょう!

    弟が誕生日に買ってくれたよ。(ヤッター!)
    今年も「何か欲しい本は無いか?」と聞いてくれたので
    お願いしちゃった!ありがたや~

    昭和三十三年、茨城県で発生した
    ある殺人事件を追った二人の刑事に密着して撮影されたもの。

    この写真集の存在を知ったのは、
    ツイッターでフォローしている古本屋さんが
    「こう言う面白い写真集が…」と書いているのを見て、
    その瞬間から、「すごい、すごい、欲しい、欲しい!!」となった、
    けれどその時は絶版で、探したけれど、まあ、ちょっと、高かった!

    そしてそして、とうとう新たに発売された!
    (本の神様ってやっぱりおられるのですね)

    今回新たに発売されたこの本は
    今まで出た2冊の本を踏まえて上手い具合に(?)構成し直したものだそう。

    この構成を請け負ってくれた
    乙一さんと言う御仁、わたくしの中で面識が無かったもので
    一抹の不安を覚えましたが、

    パラパラと見ていたらあのブックデザイナーの祖父江さんも一緒に…と
    書いてあったのでどっと安心~。心配無用だったみたい。

    駅、雑踏、ダサいけれど仕立てのよさそうな服、
    食べ物屋さんの人いきれ、刑事さんの今では見なくなった歯の治療の感じ、
    パツパツの前髪の子供、街のおかみさん、同僚、
    また煙草の煙モクモクの会議などなど…

    見ても見ても見ても、飽きない!

    この写真集がお家に来てくれて、私は本当に嬉しい。

    どうも有難う!

  • ⑧「血の轍」の表紙に使われているそうな。緊迫感が凄い。S33年の事件ということでその頃の世情も垣間見れる。乙一さんのまとめ方も素晴らしい。

  • 緊迫感のある本物の刑事と昭和の町と猟奇的殺人と。すべてにゾクゾクした。ここまで撮らせた側とここまで撮った側の関係性が密と言うより、互いに一体化しているように感じる。撮った側の気配は感じさせず、刑事たちが圧倒的な存在感で見る者に迫ってくる。

  • すごい。ドラマ以上にドラマみたい。昭和30年代。どうやって殺人事件を追う刑事に密着したんだろう。事件が事件だけに鳥肌がたった。白黒のコントラストがすごみをましているよう。
    30年代なんてつい先日のことのようだけど、街の様子がものすごく昔のようでショックを受けた。ちょうど両親が東京で学生生活を送っていたのはこんな街中だったんだなぁ。思わず知った顔がないか探してみたりして。なんだかテレビ映像で見るよりもリアルな情景にどぎまぎした。このおしゃれなしあがりがまたにくい。

  •  昭和三十三年。茨城の千波湖のほとりで、バラバラの遺体が見つかった。念入りに酸で焼かれていた。
     東京の警視庁捜査一課と茨城県警で合同捜査本部が立ち上がる。
     警視庁捜査一課のベテラン向田刑事と県警の若手の緑川刑事は二人一組で捜査にあたるのだった。
     被害者と行動を共にしていた男を探すが、完全に行方をくらましていた。
     時間をかけても見つからない男。しかし、あきらめていたその時、思わぬ方向から犯人へとつながる糸口がやってくるのだった。


    __実際にあったバラバラ殺人事件の捜査を撮り続けてる写真集。戦争が終わり、日本が成長しはじめた時代。白黒の写真で織り成す内容に、当時の町の佇みや人々の雰囲気が醸し出される。
     また【張り込み】の名の通り、刑事が張り込むときの眼光の鋭さが写真から見て取れる。絶対に逃げられないと思うほどの迫力を感じた。
     また、あくまでも写真集なので文章は添える程度になっている。
     百聞は一見にしかず、を体現できる本。おすすめ。

    PS 文章は作家の乙一さんがされている。その作者紹介で、山白朝子、中田永一、と同一人物だと知る。知らなかったw。いまさら、と言われるかも。でも驚いた。

  • 都築響一さんのトークショーに行った際見せてもらった。
    昭和の刑事の捜査の様子を、カメラマンが追って撮っていったもの。
    まるで映画。
    当日購入したかったが別にも色々買ってしまい躊躇し未入手。
    まだ買えるのだろうか。

  • 臨場感がスゴイな。まるでドラマを見てる様だった

  • 村井社長、いい本作ったね〜

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