おやすみ神たち

制作 : AD:寄藤文平 
  • ナナロク社
4.15
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本棚登録 : 215
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904292532

感想・レビュー・書評

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  • 2014年刊。
    とても、豪華な装丁の写真・詩集です。
    詩はすべて1931年生まれの谷川俊太郎さんの書下ろし作品。
    写真は1980年生まれの川島小鳥さんによる台湾で3年間にわたり、撮影された撮り下ろし作品。
    写真の色合いが異国的できっぱりとして、とても美しいと思いました。
    主な被写体は、一人の台湾の少年。風景・街並み・動物・虫など。

    この詩集の谷川さんの詩は最初読んだときは、これはあまりに抽象的過ぎて、難しく、私にはわからないと思いましたが、何度も何度も読んでいると、次第におっしゃっていることが、みえてくるという、不思議な感慨にうたれました。
    確かにこの写真・詩集にはタイトルの通り神がやどり、休んでいるようにだんだんみえてきました。
    タマシヒや神様のことをうたっていますが、それは、イメージするのが難しいので、それをもっと身近なものや何かに置き換えて読むと、わかりやすいかもしれないと勝手に思いました。例えば、「空」という詩。「空」を別のものに置き換えてもよいのではないかと。邪道かもしれませんが。もちろん「空」は「空」でも全くいいのですが、例えば「海」例えば「友達」に変えても読むことができると思いました。

    「空」
    空という言葉を忘れて
    空を見られますか?
    生まれたての赤んぼのように

    初めて空を見たとき
    赤んぼは泣かなかった
    笑いもしなかった

    とてもとても真剣だった
    宇宙と顔つき合わせて
    それがタマシヒの顔

    空が欲しい
    言葉の空じゃなく
    写真の空でもなく
    本物の空を自分の心に


    「タマシヒ」「おやすみ神たち」「故郷」「アイ」「ひととき」「もどかしい」「さびしさよ」「diminuendo」「失題」なども、最初は意味がわからないと思ったのですが、多少の想像力を働かせて読んだら、谷川さんの詩に駄作はありませんが、あまりの静かなる感動で打ち震えるくらい奥深い詩集であるように感じられました。
    秀作ぞろいのとても静かな感動で満たされる、写真・詩集です。

    • まことさん
      mariさん。こんばんは!
      川島小鳥さんって有名な方だったんですね!
      私は実はこの作品集で初めて知りました(^^♪
      私は谷川俊太郎さん...
      mariさん。こんばんは!
      川島小鳥さんって有名な方だったんですね!
      私は実はこの作品集で初めて知りました(^^♪
      私は谷川俊太郎さんの大ファンですが、この詩集は特に素敵でした。奥深いというか。最初はよくわからないと思ったのですが、読んでいるうちにすごい作品ばっかりだ!!と感激しました。
      2019/05/23
  • 「タマシヒ」についての詩と、台湾のなにげない風景や人物(たまに猫)の写真。

    使われている紙がページによってつるつるしていたり、ザラザラだったり、透けていたり、手作りみたいな愛情を感じるとっても素敵な一冊だった。

    写真集と詩集が一緒になっていて、そういうのってなんて呼べばいいものか…詩写真集でいいのか。
    とにかくそういう本を久しぶりに読んで、谷川俊太郎さんの詩もさることながら、川島小鳥さんという方をはじめて知って、詩と写真のどちらも押しつけがましくなくて、読んでいてとてもリラックスできた。

    こういう本が手元にあって、疲れた夜とかに手にとって読むことができたらいいよなぁ。

  • 花や空や景色などの存在にフッと気付いた瞬間、
    心の波が突然凪状態になる。

    何もない、
    何もない、
    けど、あぁいい気持。

    二者の間に言葉は発生しない、と思っていた。

    いらないな、とも思った。

    でも詩人(谷川さん)は
    「ふふふ。それがね…。」
    と、見つけちゃうんだな。

    そよ風みたいに
    心の邪魔をしない言葉。

    透明で心地良いタマシイ達のヒソヒソ声が宿る詩集。

  • 大好き。

  • ココロに沁みた。

    詩というものは難しくてわからないけれどわからなくてわかってナミダが零れた。


    小鳥さんの写真言わずもがな素敵です。

  • 大好きな本。
    川島さんの写真と谷川さんの詩がすごくぴったりあう。

    タマシヒに守られて
    アイに近づく

    心がほろほろほどけてく。しんっと深く。
    癒されて、考えて、感じて、あたたかくてふしぎな気持ち。

  • 言葉という自由と束縛。ハッとするもの、しっくりくるもの、首をかしげるもの。
    うちひとつ、「私は王様」より
    「あそこにはここにあるものがないではないか」
    人はいつも、自分が持たないものを希求するが、それは今持っているものを手放すことでもあるかもしれない。
    詩も写真も、世界の一角を切り取ってみると、こんなにもおもしろい。

  • タマシヒはあるのだろうか。
    あるのであれば、どこにあり、どこに向かうのだろうか。

    タマシヒの存在は、あまり信じられないのだけれど。

    心を揺らすその言葉と写真を眺めていると、
    これがタマシヒの一欠片なのかもしれないと。

    そう思わされます。

  • 言葉を忘れて 言葉の冒険にでる。

    見えないものを見るように
    触れないものを探るように
    聞こえないものを聴くように

    あまねく拡散していく世界を感じながら
    わたしたちの内に宿るものを
    深く深く 確かめにいく。

    谷川俊太郎はそれを タマシヒ と言い
    わたしはそれを 詩 だと思う。

    ✴︎✴︎✴︎
    川島小鳥が写し撮った光と影・水と風が溢れる世界に、タマシヒが・言葉が・詩が・神が宿っていることをきっと感じる詩画集。

  • 谷川俊太郎さんの詩と川島小鳥さんの写真の親和性たるや。


    生きているな、と感じる。
    それが良いこととしてでも悪いこととしてでもなく、ただ生きているな、と感じる。
    胸の深いところにまで息を吸える気がする。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。詩人。1952年、21歳のときに詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以来、子どもの本、作詞、シナリオ、翻訳など幅広く活躍。主な著書に、『谷川俊太郎詩集』『みみをすます』『ことばあそびうた』「あかちゃんから絵本」シリーズ、訳書に『スイミー』等がある。

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