初代竹内洋岳に聞く

著者 :
  • アートオフィスプリズム
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904659014

感想・レビュー・書評

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  • まずは、竹内さんの14座達成おめでとうございます。

    分厚い本だったけど、スイスイ読めた。山の話はもちろん、道具の素材とかの話や、高酸素治療室の話などの部分も非常に興味深かった。

    ブログで竹内さんの事故後の顛末記を読んで彼に興味が湧いてこの本を読み始めたので、顛末記に出てきた加藤さんの死には少なからずショックを受けてしまった。

    この本では、たとえ死と隣り合わせでも山に登り続ける登山家の精神の一端が見えてきたけど、それでもやっぱり私にはなかなか全部はわからなかった。
    山の楽しさは、たぶんやってみて実感してみないとわからないのだろう。
    山に行ってみたくなった。

  • 以前に読んだ「下山の哲学」と重複する部分が多いですが、今回のは著者が竹内さんに話を聞いて、まとめるという形です。
    8000m12座(この時点では後2座残っている)登頂の記録と、雪崩に巻き込まれての大けがや、体調不良で死にかけた話や、かなりボリュームのある1冊です。多分竹内さんが理路整然と話されるので、よりリアリティーにあふれているのではないでしょうか。
    また生い立ちや、家庭環境などにも触れられていて、大変興味深いです。

    さらに8000m峰を登るときの装備、下着に始まり、重ねる衣服、寝袋やギヤ類、大変興味深いし、その一つ一つに対する竹内さんのこだわりにうなったり。

    なかなか読み応えのある一冊です。

  • 8000m峰全14座を無酸素で登頂した竹内洋岳さんの語りを聞き書きした本。登山の装備とか技術とか山の人間関係のしがらみなど知らない話が一杯。ガッシャブルムⅡの雪崩で生還した9章はリアルすぎて怖いが必読かと思います。寝る前に読んでいて眠れなくなりました。山スキーで冬山に行く人も是非。かなり厚い本ですが面白いです。  

  • 地球上には、8000メートルを超える山が全部で14座ある。(8000メートル峰の頂は、神々の座るところであるから、敬意を表して「座」で数える。)人類で一番最初に、そのすべての頂に立つことに成功したのは、偉大なる登山家ラインホルト・メスナーであり、1986年のことであった。それ以来、20人以上が14座の完全登頂を成し遂げたが、日本人ではまだ誰も成功していない。その14座完全登頂に一番近いところにいる日本人が、竹内洋岳氏である。今年の9月30日、13座目となるチョー・オユーの無酸素登頂に成功し、あとはダウラギリを残すのみとなった。

    私が持っているのは、貴重な竹内氏直筆のサイン本である。この本は540頁もあって実に分厚いのだが、竹内氏の語り口を彷彿とさせるような臨場感があって、意外に速く読める。本書は、「聞き書き」という不思議な形式によって書かれている。しかし、本書のように一人の人物を掘り下げて書く場合、果たしてこの形式がベストだったのかどうか。著者は聞き書きの名手らしいが、名もない漁師の言葉を書き留めるには適しているにしても、本書はむしろ冗長で散漫な印象を受ける。また、誤植が多いのが気になった(例:369頁、ムシャラク/ムシャラフ)。

    竹内氏は、ちょっと北アルプスにでも行くような感じで、あまり気負わずにヒマラヤに行ってしまうところが良い。無酸素で8000m峰に登ることは、身体には相当なダメージがあるはずだが、重厚長大な登山隊に属して極地法で攻めるよりは、アルパインスタイルでフラッと登った方が絶対に楽しいだろう。竹内氏はまた、登山用具についても造詣が深く、その開発にも携わっている。登山用具は近年飛躍的な進化を遂げていおり、登山の世界も1995年あたりとはだいぶ様変わりしているようだ。(まぁ、私が高校生の頃には、まだキスリングが現役だったわけだし。)とすれば、あと20年も経てば、私もエベレストの頂に立てるようになっているかもしれない・・・。

    日本とネパールの時差は3時間15分だとか、ヘルマン・ブールがナンガパルパットに初登頂したときは覚醒剤を打ちながら登ったとか、楽しいトリビアもたくさんちりばめられている。

  • 塩野さん独特の語り書きでテンション高い。ブログの本人の文章も好きだが、これもまた良い。一気に読みました。
    ちょうど、竹内さんが8000m峰13個目となる、チョー・オユーのサミットプッシュ中(竹内さんのブログで確認)に読みました。読了後にチョー・オユー登頂成功を確認し、安心しました。来年には日本人初の14サミッターとなっていることでしょう。
    応援しています。

  • 人類初の8,000mから始まったヒマラヤ黄金時代.。
    より困難を求めバリエーションルートで登るヒマラヤ鉄の時代。
    そして現在は少人数アルパインスタイルのヒマラヤジェラルミンの時代。
    日本人初の8,000m×14座まであと2座無事に完登して欲しい。

  • 厚い本ですが一気読みしてしまいました。Numberで読んで、興味を持ったのですが、不思議なような、でも、必然のような非常に興味深いお人柄ですね、竹内さんという人は。今年の登頂は残念ながら、天候のせいで断念したようですが、また来年頑張ってくださいっ。

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著者プロフィール

1947年秋田県角館町(現仙北市)生まれ。作家。東京理科大学理学部応用化学科卒業。アウトドア雑誌の編集に携わるかたわら執筆活動に入る。小説で芥川賞候補4回ノミネート。『木のいのち木のこころ』『失われた手仕事の思想』『手業に学べ』『大黒柱に刻まれた家族の百年』など、聞き書きによる著書を多く著す。2003年に絵本『なつのいけ』(絵・村上康成)で日本絵本賞大賞受賞。1950~60年頃の子どもたちの生活を描いた絵本『おじいちゃんの小さかったとき』(絵・松岡達英)がある。他に『正吉とやぎ』など。

「2022年 『少年時代 飛行機雲はるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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