ニッポンの風景をつくりなおせ―一次産業×デザイン=風景

著者 :
  • 羽鳥書店
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904702123

作品紹介・あらすじ

一次産業にデザインをかけ合わせて「あたらしい価値」をつくりだす、グラフィックデザイナー梅原真の仕事が初めて本になった。

ここにあるのはすべて「アカンヤンカ」から始まった仕事です―
土佐の一本釣り鰹漁船の風景を守った「漁師が釣って、漁師が焼いた」藁焼きたたき、地域の個性を逆手にとった「島じゃ常識・さざえカレー」、箱モノ行政まっ盛りのバブル時代にTシャツを砂浜にひらひらさせた「砂浜美術館」、森林率84%の高知から発信する「84(はちよん)プロジェクト」……梅原真のデザインワーク&コンセプトワーク47点。
デザインはどのようにして生まれるのか。
著者による依頼人紹介付き。

「ウメちゃんを信じなさい!」by 大橋歩(イラストレーター・アカンヤンカマン生みの親)

「本書がいい意味で、日本の尻を叩いてくれることを期待したい。」(原研哉「しらうおや尾頭付きが二万匹」より)

感想・レビュー・書評

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  • 発想というのは経験の蓄積、そこからの見方、そして人の衝突が織りなす出来事であると思う。

    問題意識を持つことが日常の視点に大きな転換をもたらすのは体感したところで、

    その時々の見方さえあれば、自然と発明は生まれうるのかなと。

    そういった意味では今現在自分は何を見、どこに問題点を置き立脚しているのか、その確認は怠ってはいけない。

    と、同時に、課題や問題を外から投げ与えてもらえる環境に常にいたいということも感じる。

    また、地域再生と言葉に違和感を抱くのは、

    「ないもの」を探す視点が、その言葉に孕むからである。

    必要なのは見方だ。転換だ。

    視点の転換を大衆に働きかけることが出来れば、

    驚くほど社会はうまく循環するんじゃないか。

  • 考えられておるわ^ ^

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/699526

  • 優しいな〜あったかいな〜

    そんな読み心地

    馬路村の柚子やサザエカレーなど知っているものもチラホラ。

    感性に響いて商品の良さを伝えるデザイン、素敵です。
    その後ろにある思い、美しいです。

    僕には今じゃなかった。
    でも、また時期が来たら読みたくなる一冊な気がした。

  • 日本の一次産業をデザインで新しい息を吹き込み、生き返らせる梅原真さんのあんな仕事やこんな仕事。
    梅原さんの言葉で書かれているので、楽しくて読みやすい。

    日本の風景を大切にするという根幹があっての梅原さんの仕事には、愛と人情がある。そしてなんといってもグラフィックデザインのセンスが抜群にいい。
    カッコいい。
    とにかく仕事の分厚さを感じる。

    何にかけても神の美味しさの馬路村のすし酢か好きすぎて、毎度送られてくるパンフのセンスもいいし、いったいどういう方が作ってるのか? というところからこの本に到着しました。
    あーやっぱすごい人だったー。
    知るのが遅すぎるわ。

  • Vol.146
    単品で年商30億!価値の方程式に目覚めろ!ニッポンの宝はどこにある?
    http://www.shirayu.com/letter/magazine.html

  • 邪払 みかん
    高知 砂浜美術館

  • 古新聞をハイデザインなバッグにして、
    世界に売り込んだのは、この方です。

    「情熱大陸」や「プロフェッショナル」で、その仕事術やお人柄の一面を拝見してから、学ばせていただいてます。

    第一次産業の仕事しか受けないのが、
    デザイナー梅原真さんのスタンス。

    わたしが「かっこいーす♡」と思ったのは、
    箱モノ行政まっ盛りのバブル時代に、
    Tシャツを砂浜にひらひらさせた「砂浜美術館」。

    それのキャッチコピーが「ひらひらします」

    「本書がいい意味で、日本の尻を叩いてくれることを期待したい。」
    と解説を書かれた原研哉さんの言葉を借りるなら、「土佐の浜から世界が見える、シャープなキュレーション」。

  • 一次産業×デザイン、梅原真さんのデザインワーク集。
    薄っぺらな格好良さだけでない、こういうのを本当のデザインと言うんだろう。
    どれもパワーがあり、見てるだけで楽しく、ストーリーを読んでやる気がでる。

  • 彼のデザインとは、素材に光をあてるにとどまらず仕組みも含めて成立させるすべての営み。
    彼のモノサシに時代がすり寄ってきたのが今。
    世界の中からみれば、日本もローカルの王道を歩む国であり、これからを考えるヒントがいっぱい埋蔵されている本の氣がする。

  • 梅原真さん曰く、一次産業×デザイン=風景。ついついお絵描き的なことにデザインを終始させてしまうけれど、それぞれの現場で出逢うものたちにしかと向き合いながら、欲する側に風景としてそれを喚起させるコミュニケーション。まんま、がある高知は素敵や。

  • 彼は日本の地域の物産や観光をテーマにしたデザインワークの第一人者と言われ、いわゆる都会のオシャレなアートディレクターやデザイナーとは一線を画す。
    ローカルにとことんこだわり、何度も現場に足を運んで漁師や農家の方々とコミュニケーションを重ねながら仕事を進める、というスタイルを貫く。
    その姿勢はカッコ良い。
    自身も高知出身で地域愛が強いことも大きいんだろう。

    「土佐一本釣り・藁焼きたたき」の仕事のエピソードが好き。「一次産業の現場にデザインが入りすぎると、何か違うものになる。漁師がデザイナーと組んで何やり始めたんだろう?という変な違和感が生まれる。デザインを極力少なめにセットすること。」との考え方にも大いに納得。

    どの案件も、デザインを作るまでの過程に、依頼主との「絆」を感じた。こういう考え方の人が増えたら、デザインにもっと重きを置く文化が根付き、世の中に良いデザインが増えるのにな、と思い、梅原さんの活動を応援したくなった。

  • 農業にデザインを活かしたいろいろな事例集。
    デザインというのは、パッケージなどだけではなく、コピーライティングも含んでいる。

  • 日本の一次産業の風景を残すためにデザイン産業に掛け合わせて世の中に送り出す。そこして新たな付加価値をうみ、産業自体を存続させる。こんな感じのコンセプトに基づいて今まで梅原氏が手掛けてきた商品と産業の物語を写真付きで紹介する本。

    消費者からすれば、芸術も食も、良し悪しの判断について、理論的に理由を述べられる人はまれだとおもう。だから、デザイン(芸術)も食も人間の感性に訴えるようなところが多いものという点で相性がいいのはわかる。
    じゃあ、とにかくパッケージを(商品のたどってきたストーリーが感じられるような)洗練されたデザインにして、直販すれば一次産業は新しい付加価値を生み出し、発展していくのかというとそんな単純な話なのか?と疑問になる。
    これもストーリーマーケティングの一種だとすると、ストーリーマーケティングは何を売っているのか。たとえば石巻のカキ漁師の通販サイトなんか、被災当時のこと・調理法・家族のこぼれ話・石巻の地理的な利点など、おおよそ安心とは結び付きにくい情報も多い。安心につながることがすべてではないとすると、そのほかにそのストーリーから消費者は何を買っているのか。もやもやしてきたので、次はストーリーマーケティングの本を少し勉強してみよう!

    ソーシャル時代のストーリー・マーケティング【前編】
    http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1304/10/news016.html

    ストーリーマーケティング
    http://www.themarketing.tv/wp-content/uploads/2012/08/201208.pdf

  • 私が好きな里の暮らしと山々が織りなす風景。伊那谷の宝。一次産業とその人たちの暮らしが守らなければ、それらも残らないのだけれど、風景の中で暮らしていると、宝がなかなか見えてこない。この本、梅原さんの手がけた高知のおもしろい取り組みと同時に、地元の強い熱意が感じられます。(R)

  • デザインってこう言う面白い事なんだ。
    大学をデザイン科を出ていながら目から鱗が落ちる気分。
    紙の上の事だけど、そうじゃない事のなんて多い事。
    人との繋がり、情熱、全力で楽しむ。
    その中で生まれるんだ。
    色々なモノを動かす力になるんだ。
    面白いなぁデザインするって。
    いいなぁ。

  • なじ■

    一次産業にデザインをかけ合わせて「あたらしい価値」をつくりつづける、
    グラフィックデザイナー梅原真が、デザイン誕生の現場を自ら書き下ろし、
    依頼人も写真付きで解説。
    (内容説明より)


    高知県民なら恐らく一度は目や耳にしたことがあるであろう、
    あれやこれやの商品やイベントなどがこの梅原さんによるものだったと知って驚き!
    自分達の町に無いものを求めるのではなく、
    自分達の町にあるものを愛し活かしていく、という考え方が本当に素晴らしいと思います。

    高知生まれでよかった、と改めて実感。

  • 久しぶりに、やる気湧く一冊。ためになって、面白い。この本、①抜群な商業デザイナーが、②一次産業で汗する人の魂を、ひょうひょうと、だが単刀直入にズバリ表現する凄さで、③デザイン化した前後でまるで違う世界を提示。さすがに全ページ洗練されている。

     扉に「一次産業にDesiginをかけあわせると…▼新しい価値が生まれる ▼新しい価値は経済となる ▼経済がうまくいけばその一次産業は生きのびる ▼そして風景が残る。」と記し、「一次産業×Desigin=風景」の方程式でニッポンの風景を残そう、とある。繰り返しになるが、梅原真氏のデザインは、シンプルにして先鋭的、かつ庶民的という、およそ矛盾のはずを軽々と乗り越えてしまう。味があって無駄が無いから強い。

  • 梅原さんのデザインと考え方から元気をもらえる。

    地方の可能性、個々の可能性、
    すべて解き放ってくれる気がする本。

    風景を変えて行こうではないか。

  • これは元気が出る一冊。デザイナー梅原さんのモットーは1次産業がその土地の風景を決めるということ。そしてのこ1次産業にdesignを掛け合わせると新しい価値が生まれ、それが経済となり、これがうまくいけば1次産業が生き残り、結果として風景は生き延びることになるのです。

    「1次産業×design=風景」
    この方程式で日本の風景を残そうとしている梅原さんがこれまで携わってきた事例が多く掲載されています。

    最初のきっかけは梅原さんが後押ししたのかもしれないけど、そのあとそれを持続させるにはどうしても地元の人の力が必要になる。ここに出てくるのはそういう気概を持った、地元愛にあふれた人々である。

    デザイナーでない私はやはりこういう仕事をするなら、ファシリテーターみたいな仕事になるのかなと考える今日この頃。

  • 梅原さんが手掛けられた馬路村の柚子セット。
    知人に頂いてから何人かの方に贈っている。詰め合わせの箱ひとつとっても、計算書の裏の文章をよんでも、村の人が真心と丹精を込めて生産している姿が目に浮かぶ。
    お試し経験のある人であれば、梅原さんがデザインした他のものも試してみたくなるのは、自分だけではないはずだ。
    それら商品を支える人をこの本で垣間見ることができるのもまた楽しい。

  • 高知県グラフィックデザイナーの梅原真さん。
    同業者さんとお話するとき、ほぼ必ずと言って良いほど梅原さんのお話が出てきます。
    この本を読めば、影響力には納得せざるを得ません。
    商品の良さを素直にシンプルに伝えるデザインと、それ以前の考え方や切り口、視点や行動力がとても魅力的で憧れます。
    まだお会いしたことはありませんが、今後必ずお会いすることになると思う梅原さんの、飾り気の無い言葉で綴られた梅原解説書。

  • 良く知ってるものやこんなものまで梅原さんの作品やとは思わなかった

  • 梅原 真さんは高地在住のデザイナー。
    長年高知でデザインの仕事に携わり多くの商品やプロジェクトを成功に導いてきた方で、
    高知県黒潮町の砂浜で行なわれた「砂浜美術館」は有名です。

    梅原さんの広告デザインは単に「綺麗」だとか「美しい」というものではなく、
    商品に込められた想いや生産者からのメッセージといったものが、
    力強くこちらに向かってくるような迫力があります。

    時には手書きの文字だけだったり生産者の顔写真が入っていたりと、
    単なるデザインではなく強いメッセージを感じるものが多いような気がします。

    この本は梅原さんが手がけた広告やイベントの案内に、
    依頼の経緯や依頼主の写真、依頼主の人柄などが書きそえられていて、
    読んで行くうちに広告やマーケティング戦略を知ることが出来る内容です。

    しかし、読んで知識を得るというよりも、
    眺めて、ペラペラっと読み進めて、「感じる」一冊だと思います。

    写真をふんだんに使った写真集のような一冊で、
    お値段も写真集並みとなっていますが、
    手元に置いて気が向いた時に眺めたい一冊何ですよ。

  • 梅原さんは、その人の印象を一言ずつ書いてて、あー人と接して仕事をしているんだなぁと感じた。現在ある商品のルーツを見れて、デザインと携わる人の熱意に圧巻!!

  • ご存知、梅原真は、デザインの力で一次産業を再生し、地方の原風景を残そうと、高知で仕事をつづけているグラフィックデザイナー。本書は、そんな著者の全国での作品、提案集。「作品集」というところが、少し気にかかるけれど。それはそうと、クリエイティブ分野にいる多くの人が、梅原のような仕事がしたいと思っているに違いない。僕もその1人。梅原のような仕事をするには、高度経済成長的産業構造の外に出なければならない。望むと望まざるとに関わらず、やがては多くの人がそうしなければならなくなるだろう。だから、仕事は働き方、暮らし方を含む方法の問題だ。ところで、「風景をつくりなお」すのは、本来ならば都市計画家、ランドスケープデザイナー、土木設計家、建築家の仕事。そうした分野に身を置く人は、まずは、本書を読んで、腹の底から情けないと地団駄を踏む必要がある。そこからしか、これからの方法論も職能も、多くの無名の取り組みも、きっと生まれない。著者1人には、任せていられない。ところで、著者の文章は、ライフスタイルプロデューサーの浜野安宏の文章に似ている。たぶん、立ち位置も似ている。

  • デザインの力で地域活性を行う梅原さん。地元のよさを見つけてパッケージングして送りだし、農業や漁業が復活していくさまは、ドラマのよう。感動

  • デザインの力って本当にすごいと最近しみじみ思うなあ。本当にすばらしい本。

  • 土佐の反骨デザイナー 梅原真さんのポートフォリオのような一冊です。最初に梅原さんを知ったのはNHKのプロフェッショナル仕事の流儀でした。それで「梅原真」でネット検索したら本書に辿り着きました。
    個人的には篠原匡さんの「おまんのモノサシ持ちや!」と併せて読むと情報が多面的になり面白いと思います。

    梅原さんは一次産業にデザインをかけ合わせ「新しい風景」をつくる「アカンヤンカ」マンです。日本の現状に常に怒り、地方の埋もれた産業をデザインの力で掘り起こします。
    例えば、カツオ一本釣り漁。廃業寸前のところを
    「漁師が釣って、漁師が焼いた」のパッケージデザインで
    年商20億円の産業に成長させました。

    しいて注文をつけるとすれば、もっと作品が見たかったです。

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著者プロフィール

高知市生まれ。高知県在住。「土地の力を引き出すデザイン」をテーマに「そこにあるもの」をデザインする。柚子しかない村の「ぽん酢しょうゆ・ゆずの村」。かつおを藁で焼く「一本釣り・藁焼きたたき」。荒れ果てた栗の山から「しまんと地栗」。4㎞の砂浜を巨大ミュージアムに見立てる「砂浜美術館」。四万十の鮎を原稿料に『水』の本。高知の森林率84%を自慢する「84プロジェクト」。秋田美人をモチーフにした「あきたびじょん」。島根県隠岐郡海士町のアイデンティティ「ないものはない」のプロデュースなど。農林水産省の支援を受け、一本の川全体の生き方をブランディングする「しまんと流域農業organic」進行中。MBA(Master of Bunkou Administration)が取得できる、実技と座学の学校「しまんと分校」を建設中。2016年、毎日デザイン賞特別賞受賞。武蔵野美術大学客員教授。

「2023年 『わらうデ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梅原真の作品

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