- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784904816141
感想・レビュー・書評
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最近、『必要な依存』という言葉を知った。
本書は戦後詩を代表する詩人、田村隆一の妻であり、同時に詩の雑誌『荒地』の同人であった北村太郎の恋人でもあり、人を巻き込む名人でもある田村和子さんの晩年のスケッチ風エッセイ。
著者である橋口幸子さんは当初生活の為に田村家の二階に住み始める。すぐに和子さんに「巻き込」まれ「友人」「親愛」「絶交」と進む。でもそれが依存なのか依存されてるのか判然としないまま疲弊し、破綻していく。
恋愛の構造にも似ていて苦しい、解決しない。
でも生きるためにはやっぱり『必要な依存』だったのかも、、と思わされる一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生きていくことは、美しいことばかりではない。どんなに美しい言葉を紡ぐ人であっても、それは変わらない。
醜く、情けなく、頼りない、人間の生。
日常のなかで、それらは時に人の心を蝕み、思い悩ませるものとなる。あるいは、のちに後悔となって立ち表れることもある。
人の生を語ろうとするとき、思い浮かぶのは、案外そういったもののほうが多いのではないだろうか。
愛憎入り雑じった、しかし純度の高い感性がそのまま文章に込められていて、それがとても人を惹き付ける。 -
私は不勉強なので田村隆一さんも北村太郎さんも知らないし、ねじめ正一さんの「荒地の恋」も読んでいない。田村和子さんのことももちろん知らなかった。
知らなくても、この可愛らしくて、料理も掃除も完璧で、風変わりで、強く(じゃなかったら誰が誰かの7番目の妻になんてなれる?)、脆い和子さんと著者との友情にしてはかたくて奇妙な関係の物語は強く響いた。 -
blackbirdbooksでパラパラとみて、こりゃすごいわ……とレジに持って行ったら店主にこれすごいですよ、と言われて、そうですよね……となった。同じタイミングで買った、植本一子『こころはひとりぼっち』でこの本について言及されており、もちろん知らずに買ったので本に呼ばれていたのかと思ったりした。
不倫とかドロドロの三角関係とかそういった言葉で語ることもできるんやろうけど、個々の事象はそれぞれにとって必然の運びやったんやなと感じた。すれっからし。 -
なんか、すごく個人的な話ではあるけど、リアルで惹き込まれる。こんな生活にも憧れる。
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一別以来 いちべついらい って旧海軍用語なんだ。
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やっぱり、こういう昔話みたいなのが読みたい。
夏葉社の本は、本当に昔話みたいで、まぁ昔話なのだが(いや、そこまで昔ではないか)、本の世界の中に入り込んでいくのが楽しい。
カラッとしていて、自分に厳しく気骨のある(あー読んでる最中に思い浮かんでいた形容を忘れてしまった)、そしてたまに人間らしい和子さん、いい意味で昔の人って印象かな。
和子さんのあの感じ、なんとも可愛らしい。
2019.1.30.
なんだか不思議な小話。
そっと聴きたいお話。
ぜんぜん知らない方たちの人生を覗き見た感じ。
嫌なところも、いいところも。
2020.11.19. -
ご存命の時に「荒地の恋」は書かれていたのか。ひでえな。