かわいい夫

  • 夏葉社
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感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904816189

作品紹介・あらすじ

日々の暮らし。父との死別。流産。ふたたびの妊娠。さまざまな出来事をとおして、浮かび上がってくる、あたらしい結婚の形。変化していく、作家のこころ。毎日、少しずつ読みたくなる、結婚エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 良かったです、期待以上に。
    新聞連載ということもあってかぴたっと字数制限に収まっている(だろう)文章が好ましい。
    短い文章の中の彼女の想いがきちんと入っていて、かつ起承転結もあり飽きない。
    芥川賞候補になった作家に失礼とは思うが、巧いなと思った。ちょっと優等生じみているところはあるけれども。

    ブクログのレビューは賛否両論分かれている。
    嫌な人はとことん嫌なようで。
    私は好きだ、このエッセイ集。
    テーマが夫というのもなんだか潔いし、タイトルを裏切らない可愛らしさ。
    実に正直に生真面目にナオコーラさんが書いているので一緒になってイラっとしたり、全然可愛くないじゃないか!などと憤慨しながら読んだ。
    でも全体的にはなんとも言えない幸福感に包まれている感覚。

    ナオコーラさんのような人、いるいる。
    おとなしくて人前では意見を言わないんだけれど、実はうちに秘めた想いを抱いてる人。
    外見とは裏腹に洞察力の深い人。
    私は、こういう人を見つけるとどうしても仲良くなりたくなってしまう。片思いのことも多いけれど。
    思ったことが先走ってしまう私にはちょっと羨ましい。
    おまけに作家だなんて!
    良いなぁ。

    今までデビュー作?しか読んだことがなかったけれど、今や興味津々。
    ナオコーラさんの本ぜひ読んでみたいです!

    • だいさん
      >可愛らしさ。

      男にとってこれはホメ言葉なの?
      オヤジにはよくわからん
      >可愛らしさ。

      男にとってこれはホメ言葉なの?
      オヤジにはよくわからん
      2016/07/19
    • vilureefさん
      こんにちは。

      だいさんのコメントに吹き出しそうになりました(!
      とりあえず、女子(おばさん含む)の間では可愛いは最高の褒め言葉です(...
      こんにちは。

      だいさんのコメントに吹き出しそうになりました(!
      とりあえず、女子(おばさん含む)の間では可愛いは最高の褒め言葉です(笑)。
      2016/07/28
  • 旦那さんのことだけでなく、親との向き方や、出産に対する考え方、容姿に対する作者さんの考え方が語られていました。はっきりとした自分の考え方や意見を持っていらっしゃるけど、かと言って他の意見を否定したりすることもなく、あくまでご自身の価値観を誤解なく丁寧に伝えようとしていて、尊敬できた。
    こんな風に、自分は自分という柔らかくて強い心を持ちながら、旦那を始めとした家族、社会と付き合っていければなと思う。

  • タイトルは「夫」だけど、作者と夫と実家の家族の話だった。
    淡々と綴られている言葉には熱い思いが感じられる。
    ところで、この作者の各エッセイで毎回思うのだけど、今回も「自分が大黒柱」「自分の容姿が優れないが気にしていないこと」「社会を信じている」が繰り返し出てきた。
    仮に、たとえ本当に宿題を忘れていなくても「忘れてないよ。本当だよ。本当に忘れてないんだ!」などと繰り返し言えば実際には忘れたのではないかと疑われる。
    同じようにこれだけ繰り返されれば、山崎ナオコーラという人はあの三点にものすごく引っかかっていて、常に頭を離れないほど囚われているのではないかと邪推してしまう。
    人間の脳は繰り返し語られることを記憶に残しがちなので、彼女のどのエッセイを読んでも、夫に関してあれだけ何度も自分の方が稼いでいると繰り返すのは、結局それがすごく嫌なんだなということばかりが印象に残ってしまった。

  • 「たまたま側にいる人を、自分がどこまで愛せるかだ。夫が世界一自分に合う人かどうかなんてどうでもいい。ただ、側にいてくれる人を愛し抜きたいだけだ。」
    「人間というのは本来ひとりきりで生きるものだ。たとえ親になっても、誰かと渾然一体となって、ひとつの親という存在になることはできない。親になっても、私はひとりだ。その覚悟を持つ必要がある。もちろん、夫もひとりで親になるのだ。」
    「結婚や出産は双六のマス目ではない。進んだ、だの、戻った、だのと捉えたくない。どのような状況でも幸せになれるし、どのような生活を送っても成長できる。人生を作っていくという風には気負わずに、ただ生きていきたいな、と思う。」

  • 流産の喪失感は何事でも埋められないというのに共感。父を亡くしたこと、子供を流産で亡くし、翌年に最後授かった時期の日常が淡々と、だが強い思いで描かれる。

  • こんなイメージの結婚ならいいなぁ

  • 結婚というのは、
    自分にぴったりの、
    世界で唯一の人を探し出してするものではなく、
    たまたま側にいる人をどこまで愛せるか、だ、

    というような記述に
    ドキッとした。

    いや、側にいることさえが、
    難しくなるから、別れるのですけど。

  • 表紙のみつはしちかこさんのイラストがものすごく可愛いし、ご主人との結婚生活のノロケ話が満載だろうから読みたくない、とこの本を避けている人と出会ったなら、教えてあげたい、それでも読む価値はきっと大きいよ、と。

    著者はご自分の容姿の悪さとご主人の収入の低さにより「自慢話」と読まれることはまずないので安心して読んでいただきたいと冒頭で述べてくれる。。。のだが、やはり、独身で容姿も悪い私には羨ましいお話が満載の本。

    しかし、読んで良かった。

    それはこんな私でも結婚への希望が持てるとかそういう意味では全くない。おそらく他の読者もこの本によってそういう思いにはならないだろう。

    「自分を肯定」し、また「他人の多様性」を認める上で、背中を押してくれる、そんな本だ。オススメ。

    「自己肯定感」と「たまたま側にいる人」というエッセイだけでも読んでほしい。

  • かわいい夫はかわいくて、吉祥寺のあの本屋さんの名物店員さんかなと思って検索してみたけど、何もでてこなかったので、邪推しないでただ楽しめばいいんだろう。

    夫が「墓標には「生きた」と彫りたい。と言っていたのがよかった。
    なんでもない日常に生と死が滲んでて、そのなかで「どう生きるか」「どう社会と関わるか」をずっと模索、確認していて、優しくてまじめな人だなと思う。

    にしても、自分の容姿が悪いことと、夫の収入が低いことをことあるごとに繰り返すので、それがなければな。本人の意に反して、そんなに気にすることないのになーと思ってしまった。

  • やっぱりノロケは読んでて面白くない笑
    読んでて「私の夫は!」って自慢話返ししたくなる。
    シラケるのは分かっていても。

  • *お父さんが仮退院した日。病院から家までタクシーで移動した。窓から「あれは梅かな、桜かな」とあちこち指を指すと、「まあ、梅だろうね」とお父さんが言った。
    p27
    数日後、
    「良かったねえ、あの日は晴れて」
    と雨に降りこめられた部屋の中で言うと、
    「梅が見えたからね」
    と父が言うので、ああ、良かった、と思った。
    この世に、梅と桜という気があって、それが少し時期をずらして咲いてくれるおかげで、この科白を言い合うことが可能になっている。良かった。

  • とても共感するところもあり、新たな視点が得られるところもあり。なにより結婚したくなった。

  • 初めて山崎ナオコーラさんの本を読んだけど、考え方に芯があって、素敵だなと思った。夫婦の形も色々あって、このように発信してくれることでもっと色々な人が生きやすい社会になっていけばいいなと共感できた。自分の考えはしっかりあるけど、押し付けがなく、もっと作品を読みたいなと感じた。

  • どんな夫婦のかたちも素晴らしいと思わせてくれるエッセイ。ナオコーラさんのことをもっと知りたくなったし、憧れの夫婦だと思った。

  • 私は長女なので、ナオコーラさんの実家の家族(特に父)との関係が、妙に共感できた。

  • やわらかな文体の中に生きる姿勢や覚悟が垣間見れるエッセイ集。
    生きづらさや社会を否定するでなく受け入れ、心地よい生き方、捉え方を模索されている姿に胸が熱くなりました。

  •  

  • 旦那さんとの生活

  • 山崎ナオコーラさんの心やさしい結婚相手、流産したときの感情、お父さんとの死別、容姿に対する価値観や男女の扱いへの想い、お金と作家として思うこと、二度目の妊娠。

    時間は進んでいく。エッセイのなかに時の流れを感じた。身近なひとが死んでしまうこともあるし、結婚相手の勤務体制が変わることもある。その時その時に思う、様々なことを掬い上げて面白い文章にするってすごいことだ。
    自分の本があんまり売れない、と何度も書かれていたけど、こんなに面白いのになぜみんな読まないんだろう。不思議だ。見つけられていないだけかな。

    流産とお父さんとの死別が重なり、以前とは違う自分になったことについての文章が非常に素晴らしかった。

    ”誰かによって空けられた穴が、他の誰かによって埋められることはない。どの家族だって減ったり増えたりするが、減った人の代わりを誰かが務めることはできない。新しい人が増えるだけだ。穴は永遠に空いたままだ。この穴を大事に抱えていこう。”(P128より引用)

    喪失を乗り越えるのではなくて、大事に抱えていくっていうところがいいなあと思う。

  • とても読みやすい
    クスッと笑えるところもあった
    タイトルに惹かれ購入

  • 明確な理由は分からないけど、不思議とずっと読みたかった本。
    柔らかくてほのぼのしてて、でも芯がある生活を送っていて読んでいて気持ちよかった。

    読み終えてタイトルが、より素晴らしいと感じた。色んな夫婦があっていいと思う。
    こんな関係性の夫婦になれたらいいな。

  • 2019.06.22読了。
    今年18冊目。

    山崎ナオコーラさん、とてもおおらかで素敵な人だなと思った。
    夫をばかだと普通に書いていて少し苦手だなと思う部分もあったけど、筋が一本通っていて、ブレない感じが良かった。
    そして旦那さんにはクスッと笑わされる部分がたくさん。
    2人ともほんわかしていて、寛容で。
    私ももっと気楽にいこうw

  • 前に『母ではなくて、親になる』を読んだので、こちらも。
    新聞の連載をまとめたもの。
    ありきたりな考え方に流されないように意識しながら書く文章。
    人にあまり理解されないであろうことを、
    誤解されないように説明するって難しい。

  • この本を読むことは、自分の中の無意識の刷り込みを落としていくような作業だった。

    周りからどう思われようと自分がしあわせって思えることを大事にしていきたいなと。そして欲を言うならば、周りの色んな人(考え方)も肯定して生きていけるようになりたい。簡単じゃないけど。

  • カタカナが入っている名前の著者の本は後回しにする癖があります。なんとなく胡散臭い感じを勝手に受けているんだと思います。食わず嫌いは人生損しますよね。自分の中で山崎ナオコーラって名前が手に取る気を削いだのは確かです。
    さて、この本が初読みになったのですが、淡々とした文章がとても好印象でした。自己主張が弱いわけでは無くて、どちらかというと議論をしてきそうな文章なんだけれども、口調が静かで、確かな力でくいっとこちらの視線の方向を決める強さがあります。気がつくと頷いている言葉が色々ありました。
    配偶者が根源的に好きなのは幸せですよね。僕には分かる。

  • ナオコーラさんのエッセイを読むのは初めてかも?

    とても微笑ましく読みやすく癒される時間でした。
    旦那さんとの関係性や考え方も素敵でした。

    特にお葬式はしないのお話のあたりは共感できすぎて握手しに行きたいくらいでした。

    お子様が産まれた後のエッセイも読もう。

  • タイトルどおりナオコーラの夫に関するエッセイ。結婚についてのエッセイ。みつはしちかこさんのイラストもかわいい。夏葉社刊。

  • 2016.5月読了。
    筋が1本通ってる。なんというかやんわりはっとさせられる言葉が多かった。山崎さんの考え方や言葉から、きちんと自分の頭で考えて毎日生きてるか、流されて適当にしていないか、誤魔化している自分の中のズルい部分に喝を入れられたような気がする。自分で考えて、軸を持ってきちんと生きなさいと叱咤されて、背筋が伸びたような感じ。内容は山崎さんの日常のエッセイ。でもビシっと鋭いメッセージをいただきました。ああ凛々しい。

  • 題名の通り、かわいい旦那さんだなと思った。でものろけを聞かされている気はしない。山崎さん曰くのほほんとしていて競争の世界を作らず、自分の仕事に誇りを持っている人らしく、硬い瓶の蓋を嬉しそうに開けるなど想像するだけでかわいいなあとほっこりしてしまった。これはエッセイ書きたくなっちゃうなと。
    夫婦のバランスが良いというか、お互いを尊敬して暮らせるのは素敵だ。

  • 山崎ナオコーラさんご自身が、作品の登場人物のよう。自分とは違う考えを彼女が語っていても、不快にならないのは押しつけがましくないからだろうな。
    ドーンとした作品を残す希望はあるかもしれないけど、今のままでも読者はここにいますよ、楽しみにしてます、と伝えたくなった。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山崎ナオコーラの作品

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