ユージン・スミス写真集

制作 : レベッカ センフ  青柳 正規  アイリーン 美緒子 スミス  ケヴィン ユージン スミス  野町 和嘉 
  • クレヴィス
4.00
  • (5)
  • (10)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 96
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904845950

作品紹介・あらすじ

生きている動き、 生きている世界、 その面白さ、 その悲劇を追求して―あるがままの人生をとらえた写真家ユージン・スミス。
『ライフ』誌のフォト・エッセイ「カントリー・ドクター」「スペインの村」「助産師モード」「慈悲の人」をはじめ、日本を取材した「太平洋戦争」「日立」、世界に公害の恐怖を知らしめた「水俣」ほか作品約150点収録。20世紀を代表する写真界の巨匠の生誕100年を記念した本書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ユージン・スミスは、1970年代のはじめに水俣に住み込み、水俣病を取材し、写真集「水俣」を発行した。また、それ以前、1961年には日立製作所の依頼を受け、日立の写真を撮り、それらも写真集として発行されている。
    1918年、アメリカ合衆国カンザス州で生まれたユージン・スミスは、水俣の写真集発行から、さほど間を置かず、1978年、49歳で亡くなっている。本書は、ユージン・スミス生誕100年を記念した写真展用に作成された写真集である。
    彼の写真家としての活動時期を13に分けて、それぞれの時期の作品を掲載している。初期の作品は1930年代、最後の作品時期は水俣での活動時期と区分されている。合計で148枚の作品が掲載されているが、1つの時代区分あたりに、平均すると10枚程度の写真しか掲載出来ていないので、ユージン・スミスの生涯における作品を紹介するには、少し物足りないものとなっているはずである。ただ、生涯の仕事を紹介する写真展向けの書籍としてつくられたものなので、仕方がないのだろう。
    写真について何事かを語れるほどのものは、私にはないが、水俣病を取材した本書に掲載されている水俣の写真をみれば、水俣病がどのように悲惨なものであったのかを、視覚で感じることが出来る。言葉を尽くしても理解させることが難しいものを、1枚の写真が雄弁に語る。ユージン・スミスが、そのような写真を撮ることが出来る写真家であったことが、この本を読めば分かる。

  • ユージン・スミス生誕100年記念写真集。「太平洋戦争」「カントリー・ドクター」「イギリス」「スペインの村」「助産師モード」「化学の君臨」「慈悲の人」「ピッツバーグ」など150作品を収録。

    生々しい記録写真ではありますが同時に映画のクライマックス場面を切り取ったかのような絵になる劇的なものばかりで、見るのに体力削られました。とくに「水俣」は圧巻。これは石牟礼道子さんの『苦界浄土』とセットで見るべき写真だと思いました。水銀に汚染された海に泳ぐ魚を食べるしかないという悲劇。リアルです。

    1枚しかありませんがセロニアス・モンクがピアノを弾いている場面にも感動。あの手指を不自然なまでにおっぴろげてベタ弾きしている様子がしっかりと写っています。ちゃんとタバコ吸いながらスウィングしているのが分かります! また日立の大型車両が写り込んでいる写真も好きです。東北電力が原発でもつくるのか? 重材料を運ぶ専用の車両を背景に畑に鍬を入れるお婆さまが美しい。

    そして表紙はあたしだって知っている『楽園への歩み』ですね。NHKの番組で見た覚えがあります。たしか戦争を追う人生に絶望していたユージン・スミスの転機となる写真だと紹介していたような。精神と肉体のリハビリ中に息子ちゃんと娘ちゃんを撮ったもの。「奇跡の1枚」だなんて簡単に言ってはいけない写真ですね。こんな写真をいつか以下自粛……。

  • 楽園への歩み

  • どの写真にも力がありその世界感に惹き込まれてしまう。被写体が医師や助産師の写真は、ユージンスミスだったから自然体の写真が撮れたのだろうと、お互いの信頼感が伝わる。水俣以外の写真はこれまでしっかりと見たことが無かったため、こんなに多くの写真を見れたのは良かった。

  • 水俣のあの写真がないことに価値がある。

  • 生誕100年を記念した一冊。キャリアを概観できる。

  • ジョニーデップの「MINAMATA」を見て、ユージンスミスの写真をちゃんと見たくなった。
    残念ながら、著作権の関係で、智子さんとお母さんの写真は掲載されていなかった。全体に物足りない感じがした。
    手元に、水俣東京展の図録があるが、そちらの方が見応えがある。
    とはいえ、初期作品から、ユージンスミスの全ての写真集のエッセンスを見ることができる。
    写真がただの切り取った瞬間でなく、その人のドラマと、ユージンスミスのそこに居合わせた感動の両方を、見ているものに伝えるといういうユージンの凄さを感じた。
    フォトエッセイとは、こういうものなんだな。

  • 東2法経図・6F開架:748A/Sm5y//K

  •  2017年に新しく編集された写真集です。ユージン・スミスが亡くなって50年近い歳月が流れたのですが、作品は生きていました。
     文字通り「ヴィヴィッド」に、ぼくも心にやって来ました。これは、どいうことなのでしょう。考え始めるときりがない感じがしてくるのですが、写真を見ることで動き始める自分と、きちんと向き合いたいと思いました。
     ブログにも感想を書きました。読んでいただければ幸いです。
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202008170000/
    2021年10月12日
    ジョニー・デップがユージン・スミスを演じる「Manamata」という映画を観ました。見終えて、「写真」を見ることが、「映画」を作ること促したんじゃないかと思って、感動しました。
     映画の感想をブログに書きました。よろしければ覗いていただけると嬉しいです。
      https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202110080000/

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

W・ユージン・スミス
W・ユージン・スミス
1918年米国生まれ。1944年「ライフ」の取材でサイパン、硫黄島などへ向かう。「チャップリン」「慈悲の人シュバイツァー」「東洋の巨人」等を発表。写真集『MINAMATA』英語版。ロバー ト・キャパ賞受賞。

「2007年 『水俣を見た7人の写真家たち 写真集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ユージン・スミスの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×