楽器たちの図書館 (新しい韓国の文学)

制作 : 波田野節子  吉原育子 
  • クオン
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本棚登録 : 37
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904855041

感想・レビュー・書評

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  • 韓国文学はキム・ジンギョン氏の「ねこの学校」しか読んだことがなく、これが2冊目。

    初めは物足りなさがあるものの、韓国のまっとうな(?)オタク作家と言われる著者はなかなかにしぶとく、捉えどころのなさが最終的には何とも言えぬ味わいとなる。

    この本の主人公の男子たちは、絶望するでもなく、希望を持ちすぎるでもなく、ただ好きなことをしてちんまりと暮らしている。ハードな社会に疲れきった疲労感はある。だが暗さはなく、何よりも主人公たちには必ず友人や仲間や家族といった「誰か」がいる。そこに「健全」を感じて安心する。著者のオタクぶりもどことなく品がよく感じるのはなぜだろうか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「キム・ジンギョン氏の「ねこの学校」しか」
      タイトルに惹かれてレヴューを拝見したら、、、もっと気になる本が(韓国の映画は観たコトありますが、...
      「キム・ジンギョン氏の「ねこの学校」しか」
      タイトルに惹かれてレヴューを拝見したら、、、もっと気になる本が(韓国の映画は観たコトありますが、文学や小説は全然なので、何か読んでみたい)!!!
      2013/09/20
    • けろ姫さん
      コメントありがとうございます!
      私もこれから韓国文学をもっと読もうと思ってます(^^)/
      コメントありがとうございます!
      私もこれから韓国文学をもっと読もうと思ってます(^^)/
      2013/09/24
  • どの短編も文句なくうまい内容も文体も重くならないよううまくコントロールされていて、それでも読んだ後に何かが残る。。(「自動ピアノ」「拍子っぱずれのD」あたりが好きです)。けれど何か、物足りなさも感じる。この感じ、自分にとっては、村上春樹を読んだ時に似ている。

  • なにその表現!初期の村上春樹(?)みたい!なセンテンスもあれば、え、なんでその会話の流れでそのフレーズ出した?ちょっと蛇足感(…)っていうセンテンスもあって、それが作者の持ち味なのか、訳者の意図した意訳なのか分かりかねるところもありました。
    (そういう疑問が浮かんで物語世界に没入してる時間がフッと途絶えてしまう点は、翻訳本の背負う課題ですね)

    さて、初めての韓国文学です。
    いつも英米文学・ヨーロッパその他文学の棚で足を止めがちなので、ちょっと足を伸ばして東洋文学を覗いてみたのがキッカケで、背表紙に呼ばれました。
    でもさ、場所もわかりにくいと思うんだ…。海外文学ってジャンルで分けてくれればまだしも出会いやすいのに、さも日本文学の続きみたいな位置に置かれると…すみません、一図書館ユーザーの意見ですハイ。

    韓国の近代文学といえば、(読んだことないくせに)植民地時代のこととか〜南北問題とか〜そういうテーマ重めな作品多いんじゃないですかね??
    日本人にはなかなか厳しめな目線多めなんじゃないですかね??

    っていう浅はかな先入観があったわけですが、今作の軽やかなタッチで描かれた韓国の青年像に見事に打ち崩して頂きました、先入観。ありがとうございますキム先生…キム先生って、なんか新鮮な響き…。

    今作は「音』にまつわる8編の短編が「録音」されています。
    物語の主人公達は、様々な出会いや出来事に人生を翻弄されつつ、時に試練や苦難を軽やかに乗り越え、時に屈します。
    物語のエバーアフターは必ずしも大団円ではないと想像させる作品も少なくないのに、読後感が総じて爽やかなのは、きっと作者の持ち味なんでしょう。このタッチなら、悲壮感漂う悲劇も爽やかに書けてしまうんじゃないかな、ちょっと読んでみたいな、と思ってしまいました。

    何だよ爽やかな悲劇って←←


    【内容まとめ:作者の文体に倣って、平易簡潔を心がけてみた】

    ◉自動ピアノ…一人の演奏家を追ったドキュメンタリーを見なければ、僕は今頃偉大なピアニストになっていたかもしれない。将来を嘱望された若きピアニストと、リサイタルを頑なに拒み続ける老ピアニストとの一瞬の邂逅。

    ◉マニュアルジェネレーション…よい製品には、よいマニュアルが付き物である。そんな信念のもと、マニュアル制作会社を経営する僕に、クライアントから奇妙な提案が持ちかけられる。「マニュアル専門誌、つくってみません?」

    ◉ビニール狂時代…「私の所蔵LPを差し上げましょう。選べる期限は今日1日。どうしますか?」
    レコード店で出会った奇妙な男に、うまい話を持ちかけられた僕。目利のきく男の誘いに、一抹の不安を覚えつつ乗った僕は、密室と化した倉庫で1人、選定を始めるが…。

    ◉楽器たちの図書館…交通事故で死にかけた僕は、会社を辞め、毎晩浴びるように酒を飲む日々が続いていた。そんなある日、恋人の誘いで立ち寄った楽器店にひょんなことから勤めることになり、楽器の分類・音の収集に偏執的に取り組むようになるが。

    ◉ガラスの盾…就職面接に落ち続けること数十回。そんな僕とMのちょっとした好奇心から起こしたイタズラが意外な反響を呼び、人生に意外な転換点が訪れる。

    ◉僕とB…エレキギターと太陽アレルギー。

    ◉無方向バス…母が失踪した。かつて掛売りの帳簿であり、次に僕の日記帳となった「デカ帳」を連れて。

    ◉拍子っぱずれのD…音痴でも運動音痴でもないのに、皆と合わせて何かをやろうとすると、途端に拍子を外してしまうD。20年ぶりに出会ったかつての同級生「拍子っぱずれのD」と、人気上昇中のアーティストのコンサートを手がけることになった僕は、20年前のある事件を思い出す。

  • [江戸川区図書館]

  • たまたま図書館の新刊書コーナーで見つけました。

    まずは、タイトル<strong>「楽器たちの図書館」</strong>
    音楽好きなら自然と目がいきます。

    手に取ってみるとシンプルでセンスの良い装丁。
    表紙のバイオリン?の絵のバランスもよい感じです。
    それから、今、訳者 吉原育子さんのブログで知ったのですが、本の上の部分がふぞろいな、アンカット、という作りになっています。いい感じです。

    <strong>「この短編集は僕からみなさんへ送る録音テープです」</strong>という言葉ではじまる「みなさんへ」と題する前書き。
    見開きの右のページにはカセットテープのイラスト。

    ぱらぱらとめくって拾い読みしてみると、心にすーっと響くような文章。

    さらに、奥付をみると訳者の、<strong>波田野節子</strong>さんと<strong>吉原育子</strong>さん、お二人とも新潟県の出身。

    と、いうことで借りてきました。
    ロシアの作家の短編集も気になっていたのですが…

    でも、これは、ビンゴ!素晴らしい作品です。
    われながら自分の眼力にほれぼれします(うそうそ)。

    久しぶり一気に読んじゃいました。

    音楽、音、リズムにまつわる8編の作品が収められた短編集。
    良い意味で韓国文学のイメージ、私が勝手に思い描いていた韓国文学のイメージを払拭してくれます。

    訳もこなれていて、翻訳調というのが全くなく、日本の作家の作品を読んでいるようでした。
    いつか体験したような味わいなのですが、いつのことなのか、誰の文章の風合いと似ているのか思いだせません。

    読み終えて8篇のうちどれが一番か、と考えるのですが、どれもが味わいのある、それぞれ鳴り響く音がちがう小説で、すべてまとめて良さがわかるような、どれも慈しめる短編集です。

    音楽好きな方はもちろん、みなさんにおすすめの一冊です。

    ---
    キム・ジュンヒョク「楽器たちの図書館」 | 御経塚通信 http://okyouduka.com/201206/books/3464.html

  • 「音楽」を軸とした短篇集。読んでいる間にも文と文が発する音が耳から流れ込み、グルーヴに身を任せることができる良書。

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