殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学)

  • クオン
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本棚登録 : 353
感想 : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904855645

作品紹介・あらすじ

田舎の獣医キム・ビョンスの裏の顔は、冷徹な殺人犯だった。現在は引退して古典や経典に親しみ詩を書きながら平穏な日々を送る彼には認知症の兆候が現れ始めている。そんな時、偶然出会った男が連続殺人犯だと直感し、次の狙いが愛娘のウニだと確信したビョンスは、混濁していく記憶力と格闘しながら人生最後の殺人を企てる―-。
虚と実のあわいをさまよう記憶に翻弄される人間を見事に描き、結末に向かって読み進める読者の記憶までをも翻弄する韓国長編ミステリー小説の傑作。

【映画化情報】
ソル・ギョング、キム・ナムギル、ソリョン(AOA)出演、映画『殺人者の記憶法』
2018年1月27日よりシネマート新宿ほか全国にて順次公開決定!

感想・レビュー・書評

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  • ひえー、ここまでのラストは想像してませんでした。
    人間の記憶、存在の危うさ…。

    何が正しいのか、間違っているのか、だけでなくて存在しているのかという疑問。
    これは人にすすめたい!

    最近韓国文学が熱い(私の中で)のでCHEKCCORIという専門店に行き、出会った一冊。このCUONのシリーズ全巻よみたい。

  • 韓国の作家、キム・ヨンハの異色クライム・サスペンス。映画化もされている。

    主人公の「俺」はかつての連続殺人犯。実の父親を始め、多くの人を手にかけてきたが、あるきっかけでしばらく殺人は犯していない。
    1人娘のウニは実は養女で、年は祖父と孫ほども離れている。
    「俺」はアルツハイマー病と診断されている。
    ある日、街に連続殺人事件が起こる。もしやその犯人は「俺」なのか?
    消えゆく記憶。ウニに迫る魔の手。「俺」はウニを守りきれるのか。

    物語の語り手はもちろん、殺人鬼の「俺」である。
    あやふやな記憶をたどる「信用ならない」語り手なのだが、彼のモノローグは淡々としつつ詩的ですらある。
    そもそも殺人を犯すきっかけとなった実父との関係。殺した人たちの思い出。綴ってきた詩のこと。こぼれ落ちてゆく記憶。
    何人もの人を殺してきた極悪人のはずの「俺」の語りは、どこか、生きることの哀しさをまとう。
    「俺」は殺人鬼を突き止める。大切な娘を守ろうと、手がかりを録音し、ノートに書き残す。だが娘はそれを信じない。
    もがくような「俺」の努力は徒労に終わる。

    終盤に、「俺」は怖ろしい事実を知る。それまでの自分の存在が崩れ落ちていく。
    その心許なさは、翻って読者にも突きつけられる。
    お前の信じているものはどれほど正しいのか。
    パズルのピースが1つ1つ抜け落ちていくように、世界が壊れていく。最後に白い虚無が残る。
    不思議な読み口である。

  • キム・ピョンスは獣医師だった。現在は引退して田舎で暮らしている。そして以前は連続殺人者だった。その彼が娘のウニを狙っている殺人者に気が付いた。ウニを殺させてはならない。その前に自分があいつをやらなければ。しかし、ピョンスは認知症にかかっている。最近のことから忘れて行ってしまう。あいつをやることを忘れてはいけないが…。読み進むうちに、虚と実の間で戸惑う。何が本当で、何が嘘なのか?

  • 最初は、詩や哲学的な表現、急な場面展開が多くて、話を理解できるか不安になったけど、読み進めるうちにそれが主人公の認知症の症状と重なって擬似体験のような気分になった本(初めての感覚〜!)認知症になっても感情はあるし、誰かを守ろうとする気持ちはあって、言葉にできなくても伝えたい想いはあるんだなと。認知症の人って話を聞いて頷くだけでも安心するから、どうせ分からないから…と思うんじゃなくて気持ちを受けとめていけばもっと優しい社会になると作品を読んで思ったり。(でも個人的に介護福祉士としてはラストはショックだったけど笑) 主人公が認知症で覚えてないからこその内容が分からない所が不気味で、読み応えあるミステリーでした。

  • 1/27から映画が公開されるので、それに合わせて原作を読んでおこうと思って。

    読了して。
    え、そんなハズが。。。という、ラスト。
    後書きにもあったが、狼狽えるラストだった。

    主人公のビョンスがアルツハイマーに苦しみ、必死に色々な事を忘れまいと日記に書いたり、録音したり何とか記憶をとどめようとしていたのに。
    たった1人の娘、ウニのためにー。
    けど、そのウニはー。。。

    ラストを読んでみると、今まで読んできた事の全てが妄想なのか!?と。もう一度、読み直そうかと思ったぐらい。

    なかなか面白い視点で書かれている小説だと思う。

  • こころがざわつく。
    まだどう納めたら良いのか、分からない。

    共感してはいけないと思っているのに、
    最初から最後まで、どこかわかると思ってしまう部分と
    それを自信で拒否したくなる部分を持つような、
    ざわつき、心の中の違和感、そしてそれらを綺麗に文章のなかに織り混ぜて、
    まとめあげて、最終的には予感していた結果へと、自然に導かれていく。

    心と思考、記憶に年を取ること、たくさんのフックがあって、どれかひとつでも
    気になることがあると、それはこの作品で引きずり出される気がする。

  • はー、面白かったー。
    帯に惹かれて買ったけど大正解やったな、、、
    言葉って、小説ってこんな魔法かけられるんやと驚嘆する。
    いわゆるどんでん返し的なことがあるんだけど、私が言いたいのはそういう魔法ではなくて、本当になんというか、この文字を書きつけている男の記憶を一緒に浮遊するような、なんかそういう不思議な体験をした、そんな気持ちのこと。

    映画にもなってるみたいで気になる。
    でもこれはきっと、この書かれた文字でしか体験できないものがある気がする。

    解説にもあった、同じ作者の自殺を助ける男の話というのも気になる。
    それだけ聞くと、日本でも記憶に新しいあの胸が悪くなる事件のようなものを連想するけど、この本を読んだ後だときっとそういう話じゃないんだって気がする。
    人の不思議というか、存在の不確かさというか、結局なんなんでしたっけ?的な体験が待ってそーと勝手に期待。
    韓国語は全くできないし、邦訳待ってる…!

  • 読み終えて不思議な感じがする。堂々巡りの問いかけをされているような感じ。とても印象に残る作品。

  • 70歳の連続殺人犯がアルツハイマーになり、記憶が曖昧な状態で話が進む。主人公の独白で曖昧な記憶と共に、物語も現在と過去を行ったり来たりするものだから、読んでいて物語が進んでいるのかいないのか判らなくなる。本当に主人公は連続殺人犯で最近起こっている新たな連続殺人犯に娘が狙われているために立ち向かおうとしているのか。何もかもが曖昧なのに終盤では狼狽えてしまった。何が真実で連続殺人犯は存在したのか。主人公の記憶と同じにはっきりとしない。

  • アルツハイマーを患っている元連続殺人犯が語り手として物語が進んでいく。淡々とした口調が印象的で、たまに混ざるブラックジョーク的な要素がおもしろい。サラッと読めるけど、読んだ後心地の悪さに包まれる感じ。後味は悪い。映画とはまた一味違う展開にすぐ引き込まれたし、特に最後の展開はびっくりした!

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