- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784904855935
作品紹介・あらすじ
100年間の名画に映し出される日本統治時代、民主化、南北分断、フェミニズム。
現存する最古の作品から『パラサイト 半地下の家族』まで、
韓国映画の歴史を辿る決定書!
韓国映画の代表作を取り上げた本書は、韓国随一の映画専門家67名による評論集であり、
自国を見つめる視点から切り込んだ深い洞察が記されています。
原書に掲載された101作品に加えて、日本語版では原書刊行後に製作された5作品(ポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』ほか)を新たに加えました。
映画はフィクションであると同時に、時代の記録でもあります。
例えば、『誤発弾』や『非武装地帯』『キルソドム』などに描かれる朝鮮戦争が庶民の生活に落とした影。ノンポリの大学生の恋愛を入口にした『馬鹿たちの行進』の背景に隠された軍事政権による検閲とのせめぎ合い。また、1970年代の『冬の女』、1980年代の『シバジ』、そして1990年代の『結婚物語』などには、女性の解放の歴史が映し出されています。そう、歴史を彩る映画の数々は、日韓関係や南北問題、民主化、フェミニズムなど、現代の韓国を紐解き、未来を考えてるための貴重な資料でもあるのです。
その時代に作られた映画は、時を経てもなおリアルな迫力と驚きを秘めています。「韓国
映画100選」をガイドブックとして、古の韓国にタイムスリップするのはいかがでしょう
か。
<本誌で紹介されている作品の一部>
・『青春の十字路』(1934年製作/現存する最古の韓国映画)
・『下女』(1960年)
・『馬鹿たちの行進』(1975年)
・『風吹く良き日』(1980年)
・『ペパーミント・キャンディー』(1999年)
・『JSA』(2000年)
・『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)
・『タクシー運転手~約束は海を越えて~』(2017年)
・『パラサイト 半地下の家族』(2019年/カンヌ国際映画祭パルムドール受賞)
感想・レビュー・書評
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韓国映画人が、2013年までの作品で後世に残しておくべき韓国映画100を選んだ。その邦訳版である(邦訳版はその後つくられた5作品を加えている)。ラインナップと写真を見るだけでも楽しい。
この日本語訳を読むと、100選の多くが韓国映像資料院ホームページで公開されていると書いているが、韓国語オンリーのホームページに登録しないと見れない。よって諦めた。90年代後半、2000年代以降の作品は(日本公開されてヒットしたので)7割ほど観ているが、それ以前は観たくても手に入らない。今回初めて、もしバッタモノDVDでも手に入れたら内容を確認できる可能性を得た。
バッタモノで今までなんとか観れた作品は二つ。
「下女」1960年、「ホワイトバッヂ」1992年である。
「下女」では、貧困階層を前提にしながらも、妊娠させてしまった下女の狂気に次第と一般家庭が翻弄されて堕ちていくという非常に怖い作品になっていた。
「ホワイトバッヂ」では、1970ベトナム戦争の加害責任を重層的に描き、それを1980光州事件の直前の情勢中で回想させることでさらに物語が重層的になった。
「下女」でアン・ソンギが端役で出ていて、「バッヂ」では主役。80-90年代の重要作品にはことごとくアン・ソンギが主役級で出ていた。彼は韓国映画の俳優でいえば神様みたいな存在かもしれない。
「貧困」、「アメリカ」が韓国名作映画でポイントになっている。戦前映画になれば「日本」がそうなるのかもしれないが、名画100選の中には日本はあまりない。その意味でも、日本は自意識過剰なのではないか?
因みに、私の映画館鑑賞済みの98年以降作品は「シュリ」「ペパーミントキャンディー」「JSA」「復讐者に憐れみを」「地球を守れ!」「殺人の追憶」「浮気な家族」「オールドボーイ」「うつせみ」「グムエム 漢江の怪物」「シークレット・サンシャイン」「母なる証明」「ポエトリー アグネスの詩」「嘆きのピエタ」「怪しい彼女」「国際市場で逢いましょう」「新感染ファイナル・エクスプレス」「タクシー運転手 約束は海を越えて」「パラサイト 半地下の家族」である。全て傑作か傑作に近い作品であり、選出者の眼の確かさを証明しているだろう。
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韓国映画100年間を1年1作品を選出して解説。韓国映画の世界的な到達点「パラサイト」までを収録。資料としての価値がある。
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ベストテン作品ほとんどが50年以上前の作品。