仙台ぐらし

著者 :
  • 荒蝦夷
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本棚登録 : 1600
レビュー : 286
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784904863183

感想・レビュー・書評

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  • エッセイも味わい深い。あの震災があり、仙台に暮らす者として、また作家として色々な思いがあったと思うけれど、伊坂さんにはやっぱり楽しい作品を書き続けてほしい。

  • 私の利用している県立図書館は、本を一冊しか買わない。何処かの県がしているように、人気図書は何冊も買って出版社から文句を言われるような真似はしない代わりに、人気作家の本は予約待ちで何年も待つというのはザラである。伊坂幸太郎はそのザラの中に入る。伊坂幸太郎で検索をかけた時も、すぐに借りれる本が見つかるとは思っていなかった。お気に入りの作家の近況を調べるような気持ちだった。だからこの本が「貸出可」になっているのを見た時には驚いた。別にアンソロジーの中に一短編紛れ込んでいるわけでもない、紛れも無く一冊の独立した著書なのである。地方出版社発行だったかもしれない。それにしても、忙しくて読み損なっていて二週間後に再貸出を頼んだ時も予約が入っていなかったことには、何かの問題がこの作品にはあるのかとさえ思った。

    読み始めて、またビックリした。小説にぜんぜん引けを取らない、何処を取っても伊坂印の見事なエンターテイメント作品に仕上げていた。

    最初の「タクシーが多すぎる」こそは、話が出来過ぎているなあ、と思っていたらやはり創作だったけど、あとはホントにエッセイになっている。しかし、出来るだけオチをつけようとしているし、根っから「楽しいことを書きたい」作家なのだ。

    このエッセイの貴重なのは、それでも何処にも発表しなかった震災直後の著者の気持ちが赤裸々に綴られている処である。

    「役に立たない人間ほど、よく泣く。そういう諺があってもいいように感じる」

    高橋克彦も「小説の無力」を嘆いていたが、伊坂幸太郎もやはり震災直後にそういう気分に陥ったらしい。気持ちを切り替えるのが早かったのは、伊坂が若かったせいか。

    最後に震災ボランティアに従事している人たちをモデルにした未発表の小説もついている。

    なかなかの一冊である。
    2013年5月16日読了

  • 泣かせるように作られた本ではないけど
    泣きながら読んでしまった。

    「Keep going, and keep doing what you're doing.......keep dancing.」

    わたしは、人を笑顔にしたい。

  • ブログが一時すごく流行った時、実は自分の人生には大きな事件が少ないということに気づいた人は多いのではないだろうか。
    規則正しい生活を送る伊坂さんにももちろん、大きな事件は起こらない。たまに話しかけられたり、猫がやってきたり、映画化されたり、心配しすぎたり…。多すぎるということは、自分が考えていた日常よりも多く感じることだ。(もちろん途中で多すぎる、しばりに筆者自分が辟易したけど)

    それでも震災という大きな事件が起こってしまった。被害は少ないもののその場にいた人間として、日常が遠くなり、アイデンティティを見失い、電気にも困る生活にどのように慣れていくのか、そしてまた同じように楽しい小説を書くことができるのか。そんな思いが、ぽつりぽつりと原稿になっていく。
    そして最後…、そんな思いを集大成した短編小説で幕を閉じる。職業作家じゃない、人生作家であることを示した仙台を中心とした伊坂的徒然草。読みやすく、そして考えさせらた。まだ11日の募金は僕もつついでいる。今月で3年6ヶ月。これはもう僕の生活の一部だ。

  • 肩肘張らずにさくっと読めてふふっと笑えるエッセイ。
    震災後のエッセイはあの頃の仙台の空気、震災が人の心に与えたものを感じさせる。

  • 伊坂幸太郎のエッセイ集。
    あれだけ面白い作品を書く伊坂さんも
    私生活では案外フツーの人間なんですね

  • 伊坂さんのエッセイと書き下ろし短編が収録されています。
    前半は、地域誌『仙台学』の連載エッセイを改稿したもの。
    後半は、震災後のエッセイと、書き下ろし短編になっています。

    前半のエッセイは、伊坂さんの人となりが垣間見れます。
    かなりな(?)心配性で、ちょっとヘタレな感じもあって、
    小説に出てくる主人公も被ってきて微笑ましかったです。

    後半の震災後からのエッセイは、胸がつまります。
    目に見えぬ痛手に疲弊しながら、最後には「楽しい話を書きたい」と、
    書いてくれたことが本当に嬉しかったです。
    もっともっと伊坂さんの作品を読みたくなりました。

    ラストの短編は、震災後の宮城県沿岸を舞台にした移動図書館のボランティアを主人公にしています。
    彼らがそれぞれ、ひねった背景を持っていて面白いです。
    映画監督が視察に来た際、映像にしか興味のない彼に向かって、
    「人の心を見に来いよ」と言う場面にはクラッときました。

    『夜の国のクーパー』、この短編にヒントがあったのかも…!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「と言う場面にはクラッときました。」
      判ってるつもりでも、つい口にしちゃう映画監督の気持ちも判らないでもないのですが、本当のところは経験をし...
      「と言う場面にはクラッときました。」
      判ってるつもりでも、つい口にしちゃう映画監督の気持ちも判らないでもないのですが、本当のところは経験をした人間でないと無理でしょうね、、、
      この本は図書館で借り、一読して気に入ったので購入しました。
      2013/04/02
    • シェラさん
      そうですね。
      伊坂さんの葛藤がすごく伝わってくる一冊ですね。
      そうですね。
      伊坂さんの葛藤がすごく伝わってくる一冊ですね。
      2013/04/04
  • 前半の何気ない日常の感想的、生活を楽しんでいるエッセイはもちろん、後半の短編「ブックモビール」まで堪能しました。
    Keep going, and keep doing what you're doing…keep dancing

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「前半の何気ない日常」
      そう何気ないコトを書かれているんですよね、、、
      何だか伊坂幸太郎が近しい人に思えて、とっても良かったです!
      「前半の何気ない日常」
      そう何気ないコトを書かれているんですよね、、、
      何だか伊坂幸太郎が近しい人に思えて、とっても良かったです!
      2013/04/30
  • 伊坂さんの仙台での暮らしを綴ったエッセイ。
    震災の前からその後にかけて、仙台での何気ない日常が綴られています。


    伊坂さんの素朴で率直な人柄が心地よく伝わってくる文章でした。
    「~が多すぎる」シリーズは小説を読んでる感覚で読めて面白かったです。
    逆に、ショートストーリーが収録されてることを知らずに読んだので、『ブックモビール』は最初エッセイかと勘違いして途中まで読んでしまいました。

    震災後の「楽しい話を書きたい」という言葉には胸が熱くなりました。伊坂さんの楽しい話、これからも楽しみにしています。

  • 伊坂先生、ありがとう。読み終えた今は言いたい。
    「役に立たない人間ほどよく泣く」
    まさしくそういう気持ちをよくぞ文章にしてくださいました。
    震災前ののどかな暮らしが一変してしまってその後の話はダレもが
    数限りなく書いてくれて、日々の新聞にも溢れていますが、
    そんな中で何もできない人間の一人だった私は泣く事しかできなかった。
    それでもいいんだよって言ってもらえた気がします。
    そして「Keep going keep doing 」なんですね。
    エッセイがどうの、ではなく伊坂先生の文章は肩の力を抜いていいんだよってことで励まされます。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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