たとえる技術

著者 :
  • 文響社
3.24
  • (11)
  • (12)
  • (29)
  • (12)
  • (3)
本棚登録 : 400
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905073420

作品紹介・あらすじ

芥川賞作家・ピース又吉直樹や、直木賞作家・西加奈子らとの共著でも知られる文筆家、せきしろ。
エッセイが東海大の入試に使われるなど、確かな文章力に定評があり、また数々の芸人にコント脚本を提供するなど、圧倒的なユーモアを生み出すせきしろの、表現力の秘密は「たとえ」にあった――。



「オダギリジョーが本名と知ったときのように驚いた」
「『この犬、他の人になつくこと滅多にないのよ』と言われたときのように嬉しい」
「雨天中止を知らなかったような孤独」

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • たとえる、ということだけで1冊の本を書けるとは!
    自由律俳句できらりと光っていた著者のセンスが本書でも炸裂しています。
    スケールもニュアンスも自由自在。
    イメージのギャップに爆笑を誘われたり、詩的な情景にノスタルジーを感じたり。
    「AのようにB」という1つのパターンだけなのに、発想や着眼点を変えるだけでバリエーションはいくらでも広がっていくのです。

    何気ない会話の中で「おっ」と思う比喩を使っている人につい惹かれてしまう私には、なんともおいしい1冊でした。
    「優しさ」を「ランチパックを取り出すときのように」なんて例えられたら、一瞬で恋に落ちてしまいそうだ…。

  • ○○のように、と「たとえ」るだけで、“水で戻した乾燥ワカメのように”文章が拡がります。

    例えば
    「シャア専用のような赤いもみじ」
    「メロスはナマハゲのように激怒した」
    …「悪い子はいねがぁ」と入ってくるメロスにおびえて泣き出す邪知暴虐の王
    「メロスはこち亀の大原部長のように激怒した」
    …ラストのコマで「邪知暴虐の王はどこだ!」と乗り込んでくるメロス

    「たとえ」を使えば会話も広がり、互いの感情を共有することも容易になる。
    また、「たとえ」を考えることは連想を続けることで時間つぶしにもなるし、想像力の訓練にもなる。

    細かい技術論というよりも、エッセイ的にスラスラ読める、楽しい一冊。

  • 嬉しい、楽しい、美味しい...
    そんな日常を彩る感情を、
    せきしろさんらしいたとえで楽しむ本。

    たとえの幅を広げる連想ゲームで、
    イメージの対象から、徐々に外枠へと、
    考えを膨らませていくのは発見だった。

    アイドル → 女性 → 人間 → 動物 → 生物 → 地球
    事実 → 史実 → 昔話 → 神話

    この並びの展開に気付くだけで、
    ひと回りもふた回りもスケール大きくたとえられそう。

    また、時候の挨拶の作り方もおもしろい。
    季節をたとえた後、その季節を 今日この頃 に替え、
    いかがお過ごしでしょうか? を追加するだけだという。

    春 →
    パン祭りで盛り上がるような春 →
    パン祭りで盛り上がるような今日この頃、
    いかがお過ごしでしょうか?

    完成。
    こてこての定型文なんかより
    おもしろく、春らしさも良く伝わる。

    本書で登場した、くすりとするたとえをピックアップ。
    --------
    ・クララが立ち上がった時のように、
    盛り上がってますかー?

    ・御柱から振り落とされた人のように転がるおむすびを
    おじいさんがスペインのお祭りの牛のように追いかける

    ・君も能力者なんだろ と言われたように運命的

    ・どこからか高校野球中継の音が聞こえてきそうな暑さ

    ・みかんで満足してしまった
    わらしべ長者のようにつまらない
    --------
    しかし、このたとえる技術、
    いざ実践してみると、なかなか難しい。
    引き合いに出す知識や、多角的な連想が思い付かないと
    おもしろ味のない、退屈なたとえになってしまう。

    日頃から多くの知識を吸収したり、
    目に映る情景を文字に起こしてストックしたりなど、
    たとえの抽斗増やしも重要なのだろう。

    秀逸なたとえが瞬時に閃くようになりたい...。
    今まで以上に、想像力豊かに
    感情を伝えていこうと思った一冊。

  •  例えることにこんなに情熱を注いだ本は初めて読んだ。面白かった。

    『体育館の天井に挟まったバレーボールのようにどうすることもできない』p.82

    『手袋を外して本気を出した人がいたかのように手袋が落ちている』p.100

    『日射しからおばさんを守るサンバイザーのように大きい』p.112

    『テレビをつけたらちょうどバルスのところだったような偶然』p.131

    『本当に全米が号泣してしまうように悲しい』p.229

    『「怒らないから言ってごらん」という言葉のように信じられない』p.240

     (^○^)

  • よく頭をひねって考えられた作品だが、たとえが遠すぎて余計に伝わらないんじゃないかと思った。

  • 例えることは、表現の幅が広がっていい事だと思うのだが、ここの中にある表現はただ言葉を長くしたかっただけではないかと思うほど、無駄な表現の様に感じた。要は人それぞれということか。

  • 物事を伝える一つの手段として、たとえ、を推している本。とりあえず書いてある例の最後が全てウケ狙い?なのか、個人的なツボにクリーンヒットなのか、電車内でクスクス笑ってしまう…

    いろんな視点でものを見るきっかけとして、べつのたとえを考える、のはいいかも。
    ただ、全体的にやや突拍子も無い感じの例が多くて個人的にはあんまり…

  • 2018.2/10

    忘れかけていた気持ちをとりもどす
    簡単な言葉選びの中に生活の視点があって、それはその人それぞれのものだから個性が出ちゃうなと思う

  • 異常に例えるのがうまい人がいる。彼が例えると周囲に日が指したように明るくなる。そんな彼の思考回路はどうなっているんだろうと思い、参考になればと読んでみた。例えの技術は確かに学べるがそれ以上にその例えに入る前段の文章が志賀直哉のようにおもしろい。と、色々と例えたみたくなる本だった。

全37件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1970年北海道生まれ。
主な著書に、映像化された『去年ルノアールで』や、『不戦勝』(共にマガジンハウス)『逡巡』(新潮社)『海辺の週刊大衆』(双葉社)などがある。
また、又吉直樹氏との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』(幻冬舎)、西加奈子氏との共著『ダイオウイカは知らないでしょう』(マガジンハウス)では、それぞれ自由律俳句と短歌に挑んでいる。

「2016年 『たとえる技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

たとえる技術のその他の作品

たとえる技術 Kindle版 たとえる技術 せきしろ

せきしろの作品

たとえる技術を本棚に登録しているひと

ツイートする