針突―琉球の記憶

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  • Amazon.co.jp ・本 (113ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905192220

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  • 昔々、俺が小学生のころ、自治会の掲示板に「子どもの手と、大人の手と、ハジチがほどこされた老婆の手が中央に差し出された構図」のポスターが貼られていた。何のポスターかは忘れた。多分、年金か何かのやつ。

    その時分からハジチに惹かれるというか、ハジチに対して畏敬の念というべき感情を抱いていた。

    ……かと言ってハジチのことを詳しく調べたりしたわけではない。昔、沖縄の女性が結婚のしるしとして手の甲に刻んだ入れ墨、くらいの認識だった(←この認識も正確ではなかった。ハジチはローティーンくらいから彫り始め、結婚までに完成させるというのが一般的だったみたい)。

    国際社会で非難轟々の、アフリカで行われる女子の通過儀礼「割礼」ともまた違う。本書の短い解説によると、当時、ハジチは一定の年齢に達した女子の憧れであったと。みんな痛みに耐えて進んで施術を受けたそうだ。ここにも俺の誤解があった(“既婚女=キズモノ”の刻印みたいなものかと思っていた)。

    写真に映る老婆たちは、みんな泰然としていて、ハジチが施された手を誇らしげにカメラに差し出している。干からびたしわくちゃの皮膚に、薄れることなく残るハジチが、それぞれの歩んできた歴史の重みを物語るようで神々しい。とにかく写真がいい。

    1990年代初頭には、ハジチを施した老婆は見られなくなったという。滅びた文化だからこそ惹かれるのかもしれない。
    ハジチ文化を復古したいと思うわけでもない。けど、ハジチを野蛮なものと決めつけ、有無を言わさず絶滅させてしまった明治政府の強権的な“同化政策”と、“日本人”になるべく自ら進んでハジチを排除していった当時の沖縄県民の精神構造には留意しておく必要がある。

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