あなたは英語で戦えますか: 国際英語とは自分英語である

著者 :
  • 冨山房インターナショナル
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本棚登録 : 39
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905194200

作品紹介・あらすじ

世界はみんなしたたか、ことばの力で生き抜くために「言力政治」「言語戦略」の必要性を訴える。

感想・レビュー・書評

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  •  著者は、イングリック(国際英語)のすすめを説いている。今までの英語は英米を向いたもので、英語は国際化して世界中の人が使用するいわば国際語となっている現状に合わせる必要があるとしてイングリックの4つの条件を挙げている。

    1. 英語の不規則な変化(動詞や名詞など)を無視する
    2. イディオム(慣用表現)は使わない
    3. やさしい動詞と前置詞の組合わせは使わない
    4. 早口は禁止する
    5. 日本人はなるべくyes,noを使わず、質問の動詞を肯定・否定で使う(yes,noは日本語の「はい」「いいえ」とは非常に違うので、誤解のもとになることが多い)

    となると早口なハリウッド俳優のクリス・タッカーは、映画に出る時はノンネイディブにも分かるように2倍速ならぬ2倍遅で話すことになる。3単元のSは要らないといわれているのはいいことだ。それにイディオムは使わない。フェイスブックなら「いいね」ボタンをクリックしたくなるような発言だ。知らないイディオムを使われるのはアンフェアなので、英語を母語としない人たちに合わせた英語を話しましょうというのがいい。英米のいわゆるネイディブ・スピーカーの数は英語を離す人の中でマイノリティーなのだから、民主主義の精神に則っていけば多数のニーズに合わせる必要があるのだから。

     本気で国際化したいならマゾ体質からサド体質へチェンジする必要があると著者は述べている。お願いですから聞いてくださいという低姿勢ではなく、「あたしの言うことをお聞き」などと、女王様になってムチとろうそくでビシビシいたぶるつもりで責めることも重要ということか。となると自虐史観でいつまでも金銭を伴う保証をするつもりも無いのに、へこへこと謝罪し続ける国内でしか通用しない「誠実な」やり方も改める必要がある。

     英語、英語とことさらに強調するとかえって英語ができなくなるばかりか、他の外国語に注意が行かなく恐れがあると述べている。そもそも英語はドイツ起源で、その上ノルマン征服でフランスがイギリスを支配した間、フランス語が上流階級の間で公用語として使われた歴史がある。その結果、ゲルマン系とラテン系が入り混じった複雑な言語となってしまったので、英語を知ろうと思ったら他のゲルマン系やラテン系言語と比較した方が分かりやすい。それに、現地の情報を仕入れようと思ったら、英語だけでは得られないことは出てくるので最終的には現地の言語を学ぶ必要が出てくる。

     世界中に日本語を理解できる人材を育成する必要を説いている。そうするには例えば、ODA(政府開発援助)を日本語教育、日本文化の普及に力を入れるために使うのも良いと思う。ただ札束をちらつかせてもろくに感謝されず、ひどい場合には現地の住民の恨みを買うこともあるのだから。

     以前モスクワにある日本大使館は、屋内プールつきの豪華な建物だと避難されていたことを思いだした。そんな金があるなら、イギリスのブリディッシュ・カウンシルのように自国の言語や文化を広める機関を創設して、日本のファンを創ったほうがどれだけためになるか。関係省庁には考えて欲しいものだ。

  • 如何に英語が重要であるか、とか、グローバル化社会の中でどうたらこうたらとか言う人は、なぜか英語で自分の考えを発信をしていない。英語の著作もないし、英語で書かれたブログやユーチューブ動画もない。あっても、発音の仕方や、簡単な会話や意見を言ったものだけ。ただ、英語が重要だ!と声高に叫ぶことに徹している。

    日本で、英語で食っている人は沢山いる。
    2.300万人はいるだろう。

    ①英語の先生(中高、大学非常勤、教授)
    ②受験英語の塾、予備校講師
    ③TOEIC英語・英会話の講師
    ④日本語で書かれた英語学習自己啓発本の著者
    ⑤日本人の英語コンプレックスを利用したユーチューバー

    日本人が英語を学ぶ理由は、
    彼らを食わすためである。
    もちろん彼らは、英語の重要性を叫ぶが、
    英語で発信することはしない。発信すると、自分の下手くそな英語力がバレてしまうからだ。それなのに、英語を教えているから不思議だ。

    もし、本当に日本人に英語が必要なら、
    書店に英語が並んでいるはずだし、
    図書館にも洋書が沢山ある。

    近くの地区最大の図書館、蔵書数60万冊で外国語・洋書は300冊、0.05%。99.95%は日本語である、これは1000人いたら、「本当に外国語を必要としている人は5人ぐらい」だと言っている。

    そういう状況なのに、今では小学生から英語を勉強させられている。本当に可哀想だと思う。大学受験に必要とされているからだろうが、小中高で読む、話す、聞く英語の量は、ペーパーバック一冊にも遥かに満たない。それなのに、やれ試験対策や受験対策で、つまらない勉強をさせられる。

    大学生になったら、これまたつまらないTOEICを勉強するように、「何となくなっている」ので、いつまでも、英語は本当に出来るようにならない。また日本には、英語を勉強しなくちゃいけないと思っている人が山のようにいる。英語で食っている人達は、あの手この手で、この英語コンプレックスを持っている人達に働きかける。

    働きかける人達も、元は英語コンプレックス者であった。コンプレックス者が、コンプレックス者を巻き込むことをハラスメントを生む。そこには搾取の構造が存在する。

    著者の鈴木孝夫氏は、この著書で、
    如何に日本の英語教育がデタラメかを指摘している。そして自身が生み出した概念を提唱している。確かに氏が言うように、ある一定の人しか、外国語は、そもそも必要としていない。鈴木孝夫氏のユーモアは一級である。どんなに発音がうまくて欧米人のように話せても、ユーモアと内容がないとダメだろう。

    外国語を長年やってきたからわかるが、
    外国語は、サッカーに似ている。
    まず、練習しなきゃうまくならない。
    そして、ある程度、練習して、それから上手くなるには、才能が必要になる。

    ただ語学はサッカーと違い、知識が非常に重要になるので、語彙が沢山あった方がいい。つまらない、知らない、わからない、できないという経験を何千回も繰り返す。必然的に膨大な時間がかかる。数千時間は余裕で使う。ただ、それ以上に抽象的な物事を理解する能力も必要になるので、これは努力しても、どうにもならない。

    サッカーと同じで、自身が「楽しく感じる基準」を作れば、どんなに下手くそでも、やるだけで、面白い。ボールを蹴っていれば、それだけで嬉しくなる感じだ。
    こういう状態が外国語にできれば、もう言うことはない。私は外国語は、下手くそだが、英語や中国語を読むのも、聞くのも大好きなので、続けている。書評もたまに、それらの外国語で書く。外国でも言葉で困ったのは、大学院に通っている時で、それは、クソ難しい論文を読まなきゃいけないからで、それは仕方ない。

    外国語が習慣として当たり前のように生活の一部となるのは、実感から、学習を始めて10年後ぐらいだと思う。毎日、数時間を練習しての結果だから最低3000時間は使う。この時間は、あくまで集中してトレーニングした結果の時間のことである。その意味で外国語学習は、筋トレにも似ている。

    残念なことは、今の日本の英語教育は、
    これと真逆なことを行っている。
    リーダーでクソつまらない文章を読まされ、全く話す機会が日常にないのに、
    会話やリスニングをやらされる。
    全ては、英語教師や、受験業界、
    TOEIC業界の人達を食わすためである。

    週に10時間カリキュラムがあったとして、
    年に500時間。予習復習を考慮して1000時間使い、それを6年間続けて6000時間。
    かなりの学習時間だ。それなにペーパーバックでさえも読めない人が学習者のほとんどだろうから、根本的日本の英語教育は間違っていると言わざるを得ない。

    外国語学習は、確かに楽しくなるまでに、
    時間と金がかかる。わからないことばかりだし、書籍も高い。ただ、外国語を読む、聴く、書く、話す習慣が当たり前のように日常化すれば、日本が今絶望的に酷い状況でも、楽しく毎日を過ごせる。なぜか、それは外国語の習得を通じて、学習の本質がわかるからだと思う。つまり、自分を知るための手段として学習というものが存在し、そういう見方があるのなら、どのような環境も、優れた学習の機会になるという理屈だ。

    コスパ的には外国語学習は、一番悪いと思う。数千から何万時間投資して経済的恩恵はあまりない。これに投資するなら、会計士の資格でも取得した方が遥かにいい。ただ、外国語の学習は、自分を豊かにしてくれるので、コスパとかどうでもいい。

    日本のテレビやニュースを見る必要もないし、ユーチューブも日本人がやっている程度の低いものを見る必要がなくなる。情報に関しては、30倍ぐらい英語や中国語の方が日本語より発信されている(インターネット使用言語から)。玉石混交だが、玉を探した時の喜びは、たまらない。外国語の学習は、数少ないより良く生きるための手段だ。テストとか受験とか、キャリアのためではなく、自分がより良く生きるためである。
    review image

  • 34頁:コロンブス、それからピサロ、コステロという人たちが先だって、新大陸をどんどん侵略してスペインの領土にした。
    ・コステロ。未詳。エルナン・コルテス?

  • 国際的な場でちゃんとした英語の発音でなくても話を聞いてもらえる条件。うんとお金をもっているか、人間的な魅力があるか、何か特別な知識や技術をもっているか、つまりは「この人の話を聞かなかったら自分の損になる」と相手に思わせることができるかにかかっている。

    なるほど。

  • 自分が手に取らない本を知れて良かった。

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著者プロフィール

1943年岩手県生まれ。三菱系エレベーター会社を経て1967年に独立創業し、鈴木エレベーター工業(現在のSECエレベーター)を1970年に設立。独立系エレベーター保守会社という新しい業態を日本に誕生させる。エレベーターの構造を知り尽くす「技術屋」で、ビジネスの面でもエレベーター業界の風雲児として活躍する。

「2017年 『技術屋が語るユーザーとオーナーのためのエレベーター読本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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