魔法の世紀

著者 :
  • PLANETS
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レビュー : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905325055

作品紹介・あらすじ

〈映像の世紀〉から〈魔法の世紀〉へ――。第二次世界大戦が促したコンピュータの発明から70年あまり。人々が画面の中の現実を共有することで繋がる「映像の世紀」は終わりを告げ、環境に溶け込んだメディアが偏在する「魔法の世紀」が訪れる。
若干28才にして国際的な注目を集める研究者でありメディアアーティストでもある落合陽一が、今現在、この世界で起こりつつある決定的な変化の本質を、テクノロジーとアートの両面から浮かび上がらせる。画面の外側の事物に干渉をはじめたコンピュータがもたらす「来るべき未来」の姿とは……?

感想・レビュー・書評

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  • 今のメディアアートやこれからの技術の未来を知ることができる。
    本書に登場する作品を深く掘り下げていけばより理解が深まると思う。
    ただ言葉遣いが独特で面白いんだけど分かりにくいところもあった。
    全体的には分かりやすくまとまっている。なにより読んでてワクワクする。

  • HCI年表として非常に役立つ

  • 研究者・メディアアーティストの落合さんの本。

    普段からいろいろ講演やテレビ出演されているが、「コンピューテーショナルフィールド」や「デジタルネイチャー」などについて、講演では話しきれないような深いところまで書かれているのでとても良かった。

    第1章ではコンピュータの歴史が、第2章ではメディアアートにおける文脈の変化がとてもよくまとまってて、ここだけでも読む価値がある。

    メディアの歴史を壁画・彫刻から辿るなど、すべての文章が過去の歴史を踏まえて書かれているのでとてもわかりやすくてとても参考になる。

    未来のテクノロジーに興味がある人にオススメで、特にコンピュータサイエンスに関わる大学生、大学院生にはぜひ読んで欲しい。

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    モリス・バーマン「世界の最魔術化」
    カームテクノロジー
    マクルーハン「グーテンベルクの銀河系」
    象徴的機械
    近場の見立てがあっという間に過去になる→ビジョンを定め長期的な活動を
    メディアアート作品の殆どが岩井さん達の90年代の域を出ていない
    八谷さん「メディアアートは溶けた」
    原理のゲーム。アルスでも増えてきた
    理系のアカデミアの役割:企業には扱えない超高額装置、企業では企画の通らないプロジェクト
    産業革命以前にはサイエンスとテクノロジーの明確な区別はなかった
    子供が書いた落書きの建築物がコンピュータの力で建つ
    「音が再生される光プロジェクター」「音が聞こえてくる触覚ディスプレイ」
    HapticTurk

  • 縦横のマトリクス状に配置された超音波スピーカーで音響場を操り、粒子状の物体を空中に保持して任意のグラフィックを表現する「Pixie Dust」等の作品で話題を呼んでいる若手メディアアーティスト/研究者の落合陽一。彼がコンピュータを中心にしたテクノロジーの進化を背景として、21世紀に来るべき世界観を、20世紀の「映像の世紀」と対比づける形で「魔法の世紀」と名付け、その社会的な意義、芸術的な意義について広範に語った一冊。

    かなり広範な問題系を扱っていることに加えて、多少ロジックが飛躍する傾向があり、前後の話題の論理的関係性が正直理解しにくいという難所はあれど、自分なりに「魔法の世紀」の特色をまとめるなら、情報を表現するメディアとその受け手である人間という二項対立的な関係性ではなく、それら全てが「場」の中に溶けていき、人間や自然さえもがプログラムで操作され、人間の新たな感覚が誕生するような時代、ということだろうか。歴史的に見ても、我々が自明のものと捉えている概念、例えば美意識でさえ、実は技術の進化によりアップデートされ、決して普遍的なものではないように、テクノロジーが支配する「場」を通じて、「魔法の世紀」の人々は新たな感覚を得ることができるとされる。

    本書が面白いのは、テクノロジー一辺倒の話ではなく(そうした話題なら、テック系の研究者やライターが既にその世界観を表現しており、目新しさはない)、メディアアーティストとしての顔も持つ著者が、古来からの美術史や20世紀のメディアアート史を参考にしつつ、「魔法の世紀」ならではの芸術論としても読める点である。特に、これまでの芸術様式(建築物を含む)を、環境自体に関するエーテルの動性と、その表現物自体が持つフレームレートの動性という2軸から整理したマトリクスはシンプルながら、論理的な説得力を持つ。

    これからも彼の作品に注目したい。

  • デザイナーの視点で、コンピューターが引き起こす、世紀の変わり目を見つめた書。コンピュータ屋とはまた違ったアートからの視点が斬新だった。


  • 20世紀は「映像の世紀」であった。「映像」を通して時間と空間人間同士のコミュニケーション、イメージの伝達方法、コンピュータのインターフェース、虚構と現実の関係などを考えていた。

    落合陽一が「研究者」と「メディアアーティスト」の両方であることに、「魔法の世紀」の観点からの説明がなされる。「文脈のアートをやめる」というトピックが非常に分かりやすかった。

    マーク・ワイザーが「カーム・テクノロジー」という言葉で提唱したように、コンピュータの進化の先は、原理が意識されれない、人間の環境との一致であり、この無意識性こそが<魔法>の特徴である。

    アイバン・サザランドは、デジタル論理回路の基礎となる論文で有名なシャノンの弟子。現代の「情報」という概念を作り上げた人物から指導を受けている。このサザランドは人間の価値観をアップデートしうる技術がコンピュータによって可能になることを示した最初の人物である。しかし75年にこの研究領域から離れてしまった。サザランドが指導したユタ大学の弟子には、ジェームズ・クラーク、アラン・ケイ、ジョン・ワーノック、エド・キャットムルがいる。まさにトキワ壮。

     −ジェームズ・クラーク シリコングラフィックス、ネットスケープコミュニケーションズ起業。
     −アラン・ケイ コンピュータの父。パロアルト研究所時代にGUIのコンピュータ(Alto)、オブジェクト指向言語(SmallTalk)、Dynabook構想。コンピュータがマルチメディア化するという構想がムーアの法則と結びついて、現代のように普及した
     −ジョン・ワーノック プリンタの印刷で使われるページ記述言語PostScript発明者、Adobe創業者。サザランドのもとで隠面処理のアルゴリズムを研究していた
     −エド・キャットムル ルーカスフィルムでコンピューターグラフィクスチームを立ち上げ、そのチームごと独立してPixarを創業

    この4人の業績が、コンピュータで絵を描いて映画にし世界中で視聴できるようにする、というシナリオの全てに関わっている。

    落合氏は「象徴的機会」の発想を脱する。新しいディスプレイの発明ではない。情報ハードウェアとしての「ディスプレイ」をその都度、動的に形成しうる環境の研究。”そのときどきに応じた視覚メディアを生成してくれるようなアーキテクチャを構築したい”(p55)
    この考え方を徹底すると、制御装置も情報の海から生成される存在になり具体的な形を持たなくなる。
    ここに向かって、テクノロジーによるインフラの集約が進み、物理環境を取り巻く情報機器がインターネットに接続されていく。これがIoTであり、インターネットが情報機器の中にある仮想世界にとどまらずに我々の生きる物理空間へと波及的に広がっていくことにその重要性がある。

    落合氏は象徴的機械のない、物理的に干渉し人間には認識されない情報環境を研究している。

    ディズニーの究極目標は、この世界に魔法を実現すること。映像をおさえたあとに、物象的世界をどう支配できるかを徹底的に考えている。プロジェクションマッピングのショー「ワンス・アポン・ア・タイム」は花火の下20%くらいでレーザーの点を使っている。コンピュータテクノロジーの最強のプレイヤーであり、グーグルやアップルよりも長いスパンで考えている。コンピュータが売れ終わりプラットフォームが成熟しきったら、コンテンツ産業が最も強くなる。

    アップルの「パソコンの思想」と、グーグルの「人口知能+プラットフォームの思想」は違う。ジョブズは人間の拡張を目指した。ジョブズの死後、テクノロジーによる人間のエンパワーメントを諦めてブランド戦略に向かったように見える。

    「魔法の世紀」のアートは本来の意味でのメディアアートに近づき、またシリアルアントレプレナーシップに似てくる。 p111

    イシュードリブンの時代。
    「問題を発見し、自ら解く」という流れはMITメディアラボ・伊藤署長が先導している。「Deploy Or Die」は、一回のデモで実証できたとされる従来の研究ではインパクトは無く、実際に世の中の問題解決手段としてワークするものになっていなければ価値がないという考え方を採用。

    デジタルネイチャーは、コンピュータと人間のどちらがどちらのサブセットなのかを考えてもきりがないので、両方の上にデジタルネイチャーというスーパーセットをつくるという発想。二分法に陥らずに、共生関係を考えるための現実的なフレームワーク。



    【目次】
    1.魔法をひもとくコンピューター
     魔術かする世界
     コンピュータを“メディア化”したアラン・ケイ
     早すぎた魔法使いと世界を変えた4人の弟子
     ユビキタスコンピューティングへの回帰
    2.心を動かす計算機
     なぜ僕は「文脈のアート」を作るのをやめたのか
     メディアアートの歴史を考える
     アートがテクノロジーと融合する
     コンテンポラリーアートの背景にある「映像の世紀」
     「原理のゲーム」としての芸術
    3.イシュードリブンの時代
     プラットフォーム共有圧への抵抗
     新しいことをするために
     なぜイシュードリブンの時代なのか
    4.新しい表層/深層
     デザインの重要性
     デザイナーの誕生 −バウハウスの産声
     表層と深層を繋ぐもの
     表層と深層の再接続がもたらすもの
    5.コンピューテーショナル・フィールド
     メディアの歴史
     「魔法の世紀」における「動」の記述
     コンピューテーショナル・フィールド
    6.デジタルネイチャー
     「人間中心主義」を超えたメディア
     コード化する自然:デジタルネイチャー
     場によって記述されるモノ
     エーテルから生成されるモノ
     魔法の世紀へ

    落合陽一 メディアアート作品紹介 2009〜2015

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  • 著者である落合陽一氏の事を知ったのが2018年のIT企業のイベントという、ちと出遅れ感ありでしたが、若いのにその語り口は、柔らかで、課題設定の鋭さに感銘を受け、この本を手にとりました。
    この本は、落合氏のビジョンを下支えする背景について、IT業界を作り上げてきた巨人たちの紹介のほか、氏の芸術作品が簡単に紹介されています。
    IT企業に勤めている人であれば、この本の内容は懐かしい部分が満載と言ったところですし、芸術との融合を志向した落合氏のセンスにある意味嫉妬する事でしょう。
    なんと言っても、氏は作品として形に残しているが故に、研究者というより、実践家として認識されるでしょうし、見方によっては、将来のレイ・カーツァイルと言えなくもない?(個人的にレイ・カーツァイル本人の志向は、いまいち好きになれないけど。)
    本は、プロの構成者が入っていない雰囲気が古典の引用や紹介などで感じる箇所もあったが、本筋からしたら些細な事でもあり、この書き方によって無駄な講釈を省いて味が出ているとも取れる。

    この本は、通過点の一つという感じを強く受けたし、なにか大きな事をやってくれそうな期待感を持って読了。

  • 普段メディアで話すときは情報量の多さと早口で脳の理解が追い付かないから、テクストで説明してくれたほうがわかる。

     これが動と静の「静」のよさだよな。ゆっくり読めて、理解しながら咀嚼しながら情報を摂取したほうが、染み渡る…。

     とはいえ、テクストでも論理が飛び飛びだったりするから読めない人はいるだろうな。自分もおっさんになったら無理かも。天才特有のスキップ言説。

     デジタルネイチャー、テクノロジーがもっともっと自然に人間生活にあって、共生している世の中。そこに人間とがデジタルを使役するという関係は無意味になる。人間がデジタルにコントロールされるのも当然の世の中。それスゴイ惹かれる。

     そのために大事なのはメディアの携帯性の進化。石板から紙、液晶からその先へ…。記録媒体の質が変われば、価値観の転換や表現の拡張性も上がる。これから、VRが発展して、そして攻殻機動隊のような人体にメディアを埋め込むような時代になってくるだろう。
     人はコンピュータで何がしたいのか、コンピュータに何をされたいのか、もっと考えたほうが良い。人形使いがせっかくアドバイスしてくれてるんだから。 

     とりあえず、2020年代には人の労働を奪い去ってほしいところだね。

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著者プロフィール

落合陽一(おちあい よういち)
メディアアーティスト、研究者。2015年より筑波大学図書館情報メディア系助教、デジタルネイチャー研究室主宰。2015年Pixie Dust Technologies.incのCEO。2017年から筑波大学学長補佐、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学客員教授を兼務。2017年12月からは、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社による筑波大学デジタルネイチャー推進戦略研究基盤 基盤長 及び 准教授を兼務。
代表作に、最初の著書『魔法の世紀』、『日本再興戦略』『デジタルネイチャー』など。ほかにも様々な作品と著作に関わる。

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