言視舎版 熊本県人

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  • 言視舎
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レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905369233

作品紹介・あらすじ

渡辺京二の幻の処女作 待望の復刊!
作家は処女作にむかって成熟すると言われるが、まさにその意味で渡辺京二の現在の豊かさを彷彿させ、出発点を告げる記念碑的作品。……「熊本県人気質」の歴史的な形成過程を丹念に掘り起こし、40年経った今なお多くの発見をもたらす力作。
★刊行後四〇年も経てば何だか他人が書いた本みたいで、ほう、なかなかやってるじゃないかという気がした。……重賢公をめぐる諸人物や、小楠・桜園、さらには維新後の諸人物を論じた部分には、まぎれもなく若き日の自分がいる。しかも今の自分も、そのときの自分とまったく変りばえがしていない。まぎれもなく自分の本なのである。……「言視舎版へのあとがき」より

感想・レビュー・書評

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  •  1972年に新人物往来社より書き下ろした『熊本県人』を「あとがき」を付して再編集したとある。小川哲也氏の仕業である。ありがたいことだ。著者は肥後人気質を南北朝時代の菊池氏より始めた。菊池氏の執拗な抵抗に対して疑問に思っていたが、「菊池の家風は、肥後人の反功利主義的な美意識と極端にかたむきやすい観念主義の、最初の発現」(p48)と説明されれば納得せざるを得ない。
     第三章乱世の二雄で加藤清正と小西行長を取り上げ、「清正の記憶が、細川氏の保護のせいもあって長く保たれたのにくらべると、小西行長は、意識的に肥後人の記憶から抹殺されてきた」(P71)と指摘したは心憎い。行長の領した宇土・下益城、八代・天草は海洋的性格を持っていたが、内陸的肥後を引き継いだ細川氏により小西氏の遺跡は破壊された。島原の乱でこの章も終わる。熊本県人性が一筋縄でいかないことが、明らかにされる。
     第四章では『阿部一族』に細川肥後藩の士風を見ることから話が始まり、なじみのない名前が多く出てくる。第5章は小楠が主役である。最後に第7章で神風連を出して閉めたのだが、熊本県人という括りではなく、肥後人で終わった。

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著者プロフィール

1930年、京都生まれ。大連一中、旧制第五高等学校文科を経て、法政大学社会学部卒業。評論家。河合文化教育研究所主任研究員。熊本市在住。主な著書に、『北一輝』(ちくま学芸文庫)、『黒船前夜』(洋泉社)、『幻影の明治』『父母の記』(いずれも平凡社)などがある。

「2018年 『幻影の明治 名もなき人びとの肖像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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