n次創作観光 アニメ聖地巡礼/コンテンツツーリズム/観光社会学の可能性
- NPO法人北海道冒険芸術出版 (2013年2月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
- / ISBN・EAN: 9784905385042
感想・レビュー・書評
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<閲覧スタッフより>
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所在記号:689||オカ
資料番号:10219577
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2014 2/27パワー・ブラウジング。
1年前には買っていたのに転居時に荷物に紛れてしまっていた本。やっと発掘しだして読めた!
北大の機関リポジトリ、HUSCAPで一時アクセス数トップランキングを占め続け、今なお上位常連の聖地巡礼/コンテンツツーリズム関連研究群。その中で気鋭の若手として活躍され続け、大学院修了後はさっそく教員として日々ゼミ生との楽しい研究風景をTweetされている岡本健さんが書いた、コンテンツツーリズム/アニメ聖地巡礼を中心に扱う観光社会学の本。
コラム等以外は各トピックが見開きに収まる、というコンパクトな作りになっていて、門外漢でも手に取りやすいし読みやすい本。
しかもしょっぱながいきなり大きな物語の不在、不可能性、他者の喪失等の話題から入っていて、(いやどうもコラム等を読む限り岡本さん好きだから聖地巡礼研究してたんでしょって感じはあるんだけども)、なぜ聖地巡礼等が真面目な研究トピックになりうるのかも伝わりやすいように思った。
・・・コラム等で台無しかもだけれども。ゾンビ研究をどういう方向に落ち着かせようかはまだ見つけてないんですけどって書いちゃった時点であとでどんなストーリー作っても動機がバレバレでは?!
あと、岡本さんたちしか観光学分野の研究者知らなかったので、あれくらいの生産速度が普通なのか・・・と思って慄いていたんだけど、皆さんのコメントであれはやっぱ飛び抜けているということが確認できて少し安心した。 -
アニメの聖地巡礼という、旅行者が主体的な想像を働かせて楽しむ観光のスタイルが、「他者性をもった他者(自分と趣味などの接点もなく、本来会うはずのなかった他者)」とのコミュニケーションを創出することに着目し、それが、自分と他人、自分と社会の間につながりを感じにくい現代社会の閉塞感を打ち破るきっかけとなっていくことを確信し、聖地巡礼のフィールドワークを通して探っていく著者の情熱にあふれた一冊。コミュニケーション不全を考えるのになぜ「観光社会学」なのか、と思っていたが、会うはずもなかったような他者と実際に出会うには、自分の体を旅行という手段で移動しないことには始まらないってわけだった。近年のアニメが実在の町などを舞台にすることが増えているのは、架空の町をすみずみまで設定することが現状のアニメの制作ペースに追いつかなくなったからというのが理由とは。それがなければn次作を作るように旅行を作ろうなどという現象は起きなかったかも知れないというのも不思議なものだ。
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某作品の企画展のお仕事をするにあたり、勉強になればと思い読んだ。元々聖地巡礼は個人的にしていたが、結局作品への愛と楽しませようという気持ちで挑まないとファンはついてこないよね。一概に観光といっても時代によって違うニーズであったり、関係性があったりするのね。勉強になりました。
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「なぜ、アニメ聖地巡礼をするのか?」に、一定のヒントがもらえたような気がします。
本書はアニメ聖地巡礼とはは何なのか? を研究した学術書です。
学術書といいつつも、アニメっぽい表紙にポップなフォント、手頃なページ数とお値段で、学術書のイメージとはだいぶ違う柔らかさです。
とはいえ、聖地巡礼ガイド本ではないので(一部紹介してるけど)、そういうのを期待してはいけません。
私は何となく漠然と『宇宙家族カールビンソン』の聖地巡礼していた(というか、最初は聖地だとも気付いてなかった)ので、本書を読んで「なぜ自分がその地に向かうのか?」「なぜその地に特別な感情がわくのか?」かが、ちょっと分かったような気がします。
特に著者インタビュー内にある、「ための」観光がつまらなく、「自分事」の観光が楽しいという指摘には、大いに納得できました。