忘れる練習・記憶のコツ (役立つ初期仏教法話14)

  • サンガ
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905425458

感想・レビュー・書評

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  • とても易しい本語で優しく語る、
    仏教における記憶や感情の整理の仕方や、
    性格の直し方、本性の切り離し方、等々。
    スマナサーラ師の本は非常に解りやすく
    読みやすい所為か、
    本を閉じると中身を忘れてしまいがちに…。
    手元に置きたい一冊です。

  • 宗教としての仏教ではなく、生きる上でのあらゆる問題を明らかにした実践型の心理学者としてのブッダの叡智の一端を「記憶」というキーワードでまとめたのが本書である。
    勉強の出来不出来はアタマの良さというよりはそれに向かう態度や姿勢によるところが大きい。しかしながら、できない人はどこが悪いかを省みない。自分にも思い当たる言葉で耳が痛い。
    生きるには日々の勉強は欠かせないと解いているが本当にその通りである。最近、身体も疲れ気味な状態が続いたときに、図書館の予約本がなかなか戻ってこないためか本を読むペースが下がっていたのだが、前向きに考えられないなどの状況に陥ってしまっていた。やはり習慣にし、日々の教えを請うということは大事なのだと改めて思った。
    ブッダの叡智を知ることでより良く生きるための分かりやすい解説書であり、これからも何度か読んでいく。

  • 勉強は自分の人格の完成に近付くと思われることをしなさい。勉強してこんなに知識があるんだと威張ったりして、人格を下げるのは意味がない。人格の完成に有意義なものかどうか、ふるいにかけながら学びなさい。そして、復習すること、実行すること、真実を知りたいという意欲の灯を消さないこと。

  • スマナサーラ師の著作。スリランカ仏教の長老である彼と、日本の僧侶の著作を比べると、考え方の立脚点になにか違いを感じます。
    師は、あまり経典に拠りすぎておらず、自分の頭で考え、展開させているように思えるのです。
    仏教に根差した考え方が、現在の私たちに合うように展開され、師の言葉になって語られるため、わかりやすく、より身近なものとしてとらえることができます。

    日本の仏教は、どちらかというと形ありきの面が強いように感じますが、自由でとらわれない師の考えには、広がりや多様性が感じられます。
    それだけに、丁寧ながらも歯に衣着せぬ物言いには箇所箇所で驚かされます。

    「仏教」と「忘れること」。一見すると関係がなさそうな組み合わせに、興味が引かれます。
    「忘れること」は「覚えること」と表裏一体のため、記憶術の話も取り込まれています。

    宗教家でありながら「宗教というのは、神話物語であり、人が信仰しているのは作り話の神話」と言い切る師に驚きましたが、神話ではなくブッダの思想を信じるというポリシーを感じました。

    また「覚えたい」「学びたい」という人の心は、知識欲というよりも存在欲に根差すものだという意見は、斬新。
    人々は、生きていくためにものごとを憶えようとしているとのことです。
    その根拠は、真実だけを憶えていくわけではないから。

    記憶というのは、感情の上に築かれる知識であり、これが非常に不確かなものであるため、本当に知識を身につけるためには、感情と切り離すことが大切だと師は説きます。
    さらに、学校で学ぶ知識と経験で学ぶ智慧とは似て非なるものであり、人は知識ではなく智慧を身につけるべきだという話に展開します。
    そこに、真理を知ることの大切さが生じるというわけです。

    智慧を最も重んじるのは仏教だとする師。
    仏教は一方的に説かれる「神の言葉」ではなく、人と「対話」するもので、学んだものを自分のものとし、実践することで解脱の道が開けていくといいます。

    仏教から離れたところでは、師は日本に来て、人々が「知らない」ことを自慢する様子を見て驚いたそうです。
    日本人らしい協調性に思えますが、確かに、聞き方によっては開き直りにも見えてしまうこの風潮。
    日本人は無知自慢をせず「アホは嫌だ」「無知はみじめだ」というプライドを持つことが必要だと、語ります。

    脳はとてもわがままなので、楽しくなければ覚えないこと、記憶を感情込みで覚えているといつまでも公平な目はもたらされないため、感情と切り離して冷静に受け止めるべき、などの指摘が印象に残りました。

    なんといっても驚いたのは、師が「煩悩は1500ある」と言ったことです。
    108でも十分多いと思っていましたが、10倍以上あるとは。
    もうこれは、凡人には滅却しようがないなと思いました。

    悲しいこと、悔しいことの記憶は鮮烈で、長いことずっと忘れられず、心の傷になって残っているものですが、事実のみを淡々と抑えることで、感情の苦しみからは切り離せるのだという指摘は、まっとうで腑に落ちました。
    人は感情的な生き物で、感情は暴走しやすく、かんたんに理論を失わせるもの。
    その場の記憶を感情的なままで覚えているのは、自分自身つらいことですし、なるべく感情抜きにしていきたいものです。
    その時々における感情のコントロールは、修行を経た人でないと難しそうですが、せめて過去の記憶整理の辺りから、心を落ち着けるすべを身につけていきたいと思います。

  • 記憶は感情次第、記憶と感情を切り離す、なるほどね。

  • 忘れてしまう原因の1つに「軽視」がある。と書いてあり、少しドキッとしました。これから注意するようにします。

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著者プロフィール

アルボムッレ・スマナサーラ
Alubomulle Sumanasara

テーラワーダ仏教(上座仏教)長老。1945年4月、スリランカ生まれ。13歳で出家得度。国立ケラニヤ大学で仏教哲学の教鞭をとる。1980年に来日。駒澤大学大学院博士課程を経て、現在は(宗)日本テーラワーダ仏教協会で初期仏教の伝道と瞑想指導に従事している。朝日カルチャーセンター(東京)講師を務めるほか、NHK Eテレ「こころの時代」「スイッチインタビュー」などにも出演。著書に『サンユッタニカーヤ 女神との対話 第一巻』『スッタニパータ「犀の経典」を読む』『ダンマパダ法話全集 第八巻』『ヴィパッサナー瞑想 図解実践─自分を変える気づきの瞑想法【決定版】』(以上、サンガ新社)、『怒らないこと』(だいわ文庫)、『心は病気』(KAWADE夢新書)、『ブッダが教える心の仕組み』(誠文堂新光社)、『ブッダの教え一日一話』(PHP文庫)、『70歳から楽になる』(角川新書)、『Freedom from Anger』(米国WisdomPublications)など多数。

「2023年 『無常の見方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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