水の出会う場所

著者 :
  • 駒草出版
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本棚登録 : 61
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784905447351

作品紹介・あらすじ

寂しさは惨めだろうか-流れ去るしかない生命の煌めきと翳りを水の模様のように描いた物語。

感想・レビュー・書評

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  • 3編収録。どれも繊細だが大変読み応えのある話だった。静かに穏やかに染み入ってくる場面、激情のうねりに読み手の心まで引きずり飲み込もうとする場面、様々な側面を見せながら、どの話も川が流れるように流れていく。人の心の中って、透けたり澱んだり、流れの速いところゆっくりなところ、幅の狭いところ広いところ、と川そのものにいちいち例えられるものだ、と今更気づいた。そして同じ所にあって同じようでも決してそうではないということも。

  • 今の私の年にとても近くて、怖いような新鮮なような古いような楽しくはないかなあ。

  • わ、ゴーヤだ。静かで薄暗くて澄んでいて品がある。花の名前がたくさんでてくる。10年たったらもう一回読んでみたい。

  • 20年振りですって、、、

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    「 水が出会うように惹かれては別れ、また、留めては手放すように、いのちのきらめきとかげりを紡いだ3つの物語。
    家と墓を守り続けようとする母の思惑から逃れるように、子どもを産まないことを選んだ年上の女性と実家へ戻った息子。三者の視点から三者の思いを描いた「緑の擾乱」。
    夏・秋・冬・春と季節を巡らせ草花など自然の情景の中に「60代男性の明かされることのない恋心と心の病み」と「40代女性の喪失と再生」をすくい取れない水の模様のように描いた「水の出会う場所」。
    シューベルトの『歌曲集』にある同名タイトル「水の上で歌う」は、人が持つ陰と陽が少しずつ調和され、目指すべきものが完全なる調和ではなく、不完全でも自らが納得する安定だと感じた時、重い抑圧に押し潰されそうだった心が純粋な解放へと向かう清々しい作品。
    心に静かな余韻と瑞々しい読後感を残す著者20年ぶりの待望の書き下ろし作品集。

    呼吸をするように紡ぎ出される文章は、ひっそりと湖面に浮かぶ水のようでもあり、狂った激しさを見せる濁流を思わせるようでもある。
    その激しさも密やかさも生み出される瀞(とろ)で深く切なく甘い流れとなる。
    平等に訪れる死をひたひたと漂わせながら、弱くとも強く生き続ける人たちと水の流れを重ね合わせて描かれた三篇の作品集。
    芥川賞候補に三度名を連ねた著者の筆力は今なお健在。
    魚住ファンならば必ず手元に置いて繰り返し読んでほしい20年ぶりの心揺さぶる一冊。 」
    魚住陽子-芥川賞候補作家-101UY
    http://homepage1.nifty.com/naokiaward/akutagawa/kogun/kogun101UY.htm

  • 『緑の擾乱』『水の出会う場所』『水の上で歌う』の三作品
    『水の上で歌う』が好きだった

    どれも色にあふれてる
    それもきれいな淡い色ばかりで
    初老と老年期の人びとがとても魅力的とはお世辞にも言えないが
    「こんな年のとり方、あり様もいいかな」と思う
    寂しさとみじめさを引き受けて生きてゆきたい
    自分の家と庭で

  • 山奥の小さな湧水のような作品。
    ひっそりしていて
    誰も来ない
    誰にも見つからない
    閉塞感のような
    それを望んでいるような
    飾り気のない装丁が素敵。

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著者プロフィール

魚住 陽子(うおずみ ようこ)1951年、埼玉県生まれ。埼玉県立小川高校札業後、書店や出版社勤務を経て作家に。1989年「静かな家」で第101回芥川賞候補。1990年「奇術師の家」で第1回朝日新人文学賞受賞。1991年「別々の皿」で第105回芥川賞候補など。2000年頃から俳句を作り、『俳壇』などに作品を発表。2004年、腎臓移植後、2006年に個人誌『花眼』を発行。著書に『奇術師の家』(朝日新聞社)、『雪の絵』、『公園』、『動く箱』(新潮社)、『水の出会う場所』、『菜飯屋春秋』(ともに駒草出版)がある。2021年8月に腎不全のため死去。

「2022年 『夢の家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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