- Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
- / ISBN・EAN: 9784905821298
作品紹介・あらすじ
ひとりひとりの人生を飲み込んできたソ連という国家の崩壊のあとに、寄る辺なき社会へ放り出された人たち。自らの死を選ばざるをえなかった無名の人たちの肖像だけをじっと見つめ、社会主義国家という歴史から消えた巨大な亡霊といま一度向き合うインタビュー集。
感想・レビュー・書評
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経済的困窮、理想の崩壊、無理解と侮辱、など死に至る理由はいろいろあるように思うのだが、本当の心の動きはわからない。
逆に言えば、人はなぜ生きようとするのか、どのように生きたいのかを考えさせられた。
イデオロギーや社会制度の話ではなく、もっと根源的な、生きることへの思いを強く考えさせられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2015年
ノーベル文学賞受賞作家の作品集。
すべてソ連という体制崩壊の犠牲者の話だ。
理想が潰えたのではなく、理想を追わなくなった悲劇とでも言えようか。
個々人に罪はないのに、生きる縁(よすが)が失われてしまった。
なんとも暗い話ばかりであったがこれも現在の世界の諸相なのだろう。 -
信仰には人を犠牲者にも加害者にもする力がある。
スターリン信仰は大日本帝国の天皇への信仰に似ている。そういえば第二次世界大戦終戦後に、皇居前で自殺する人が続出したとか聞いたことがあるような。あれは何を動機とした自殺だったんだろう。
共産主義の全体主義社会より、資本主義の民主主義社会のほうがはるかに良い。
究極のところ、どちらにしろ人間は人間に過ぎない。
どうしてそこで生きているだけで深刻なトラウマを負うような社会システムを作ってしまったんだ? -
読みながら、フランス革命でルイ16世の処刑にショックを受けて自殺した人が一定数いた、という話を思い出している。
ひとりの話だけを読んだら「ふ-ん?」で終わりそうだけれど、17人分積み重なると重い。
宗教が必要になる。 -
ソ連が崩壊し、価値観の一変した思想の境界で、自殺に向かう人たちの記録・証言。実際に亡くなってしまった人は近親者が、失敗した人は本人が心情や状況を吐露している。それほど昔ではない時代においての貧困や内戦、あまりにも隔たりのあるジェネレーションギャップ。ただ要因のひとつにおいて、現在の日本と通じるんじゃないかと思うところもあり、どこか他人事ではないような気持ちになりました。