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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906547340

感想・レビュー・書評

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  • ・抄訳、意訳で挿絵も多く読みやすかった。
    ・罪人の行く「地獄」と、善人の行く「煉獄」との対比が素晴らしかった。共通点として、驚いたことに、どちらでも死者は罰を受け、罪を償っていた。死後のほほんとしている人はいないようだった。違うのは、地獄では罪人達が悪魔や怪物に苦しめられることで受動的に罪を償わせられているのに対し、煉獄では善人達が自らの手で能動的に罪を償っている。罪人の心は怒りで、善人の心は後悔で満ちている。「罪は全ての人が犯すもの。ただそれをきちんと罪と認識して反省できるかどうかが善人と悪人の差ですよ」と諭しているようだった。
    ・人の心にある3つの光は「希望を持つこと」「信じること」「愛すること」...素晴らしいですね
    ・装丁が綺麗。大判で三方金。これで5000円で大丈夫か心配になる。

  • 獄卒がいて、閻魔大王がいて・・・の仏教的地獄と、イタリア人でカトリック教徒でもあるこのダンテの「神曲」の地獄はとても似通っている。
    神曲では死者は「アケローン川」をわたり、地獄に行きつく。
    これは三途の川のようでもある。

    「神曲」における地獄は、9圏に区切られていて、7.8.9圏の地獄はさらに細かく分類されている。最も深い地獄コキュートスは、「裏切り」の罪を背負ったものであった事が興味深い。また、仏教の地獄にはない、「煉獄」が描かれていて、嫉妬の罪、怠惰の罪、自惚れの罪、などを背負った人が、その罪を償う姿も描かれている。

    煉獄を過ぎ、ダンテは天国へと進んでいく。

    この本では、ギュスターヴ・ドレという19世紀の画家が挿画をしていて、子供の絵本のように、絵と共に古典を楽しむことができる。

  • ■死後の世界など存在しない。天国も地獄も。
    悪人は罰されない。善人は報われない。
    最愛のひとは死んでもういない。偉大な詩人はとっくにいない。神などそもそも最初からいない。
    ■ないないづくしの現実の中、よくまぁこれだけの大ウソを並べられたものだ、この作者は。元ネタはあるもののそこに自分の価値観、個人的な知り合い、時事ネタなどを盛り込み、こね合わせてはより分けて、煮詰めてはまた膨らませて、壮大な夢想をこれでもかと築き上げた。
    ■それにしても圧倒されるのが、総数百何十点にもおよぶドレの挿し絵(木版画)だ。次のページをめくろうにもしばらくは手が止まって絵から目がもぎ離せない。これほどの仕事にかけた技量と労力と執念とはちょっと想像がつかない。まさに鬼気迫る驚愕の作品群だ。
    ■ダンテはヴィルギリウスに導かれて地獄→煉獄→天国を辿る。ぼくは読書でもって彼らの道行きに随行する。そんなことしてたらなんだか死後の世界がほんとにあるんじゃないかと思えてきた。で、それがあるとしたら……ぼくが死んだら確実に地獄行きだろうな……。

  • ダンテの世界をドレが描ききっている、名作と名作のコラボ!最高っす。

  •  人生という旅の途中で「本当の道」を踏み外してしまった、主人公ダンテが異界を巡り、人間の性に触れることで自らを解明していく物語である。
    幻想的な雰囲気を素晴らしい挿絵と共に体験できるのでぜひ読んでみてください。言葉では説明できない何かを感じられるでしょう。

  • 図版が綺麗。閻魔様の地獄と、ダンテの地獄が似た構造だったことにびっくり。全訳も読みたい。

  • 2010年1月2日

  • 挿絵が入っているものを選んで読んだ。旧約聖書に描かれる人物や詩人がふんだんに登場し、中でも地獄編が一番印象に残った。自分はキリスト教信者じゃないので、異教徒が裁かれる部分など時折宗教って怖いなあと感じてしまった。これだけの世界を想像から作り出し膨大な叙情詩に書き留める事がすごい。煉獄という観念も初めてだったので目から鱗だった。暗に意図している部分までは恐らく読み取れなかったので、また時間を置いて読んでみたい気もする。

  • 作者ダンテの人生観からなる物語は、ギュスターヴ・ドレのイラストにより、より美しくより神々しく描かれており、読んでよかったと思える一冊です。

    私は特に、地獄編のコキュートスがお気に入りです。
    どうしようもない強い悲しみにとらわれた人の人たる悲しみが切々と伝わってきて、すごく心に凍みます。

  • 「神曲」自体も好きですけど、
    ギュスターヴ・ドレの挿絵が秀逸!
    この本の装丁は表紙が豪華・煌びやかで…そこがまた良し。

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著者プロフィール

一二六五年、フィレンツェ生まれ。中世最大の詩人の一人であり、作家、政治家でもあった。一三二一年、ラヴェンナで没。著書に、『神曲』、『新生』、『俗語論』、『帝政論』(本書)などがある。 一九四五年、横浜市生まれ。東京大学法学部卒。東京大学助手、立教大学教授等を経て、立教大学名誉教授。専門は法哲学・法思想史。 著書に、『合理的選択と契約』(弘文堂)、『法哲学』(木鐸社)、訳書に、『王の二つの身体』(E・H・カントローヴィチ著、平凡社/ちくま学芸文庫)、『皇帝フリードリヒ二世』(同、中央公論新社)などがある。

「2018年 『帝政論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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