- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784906605781
感想・レビュー・書評
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ネタバレじゃなく、まとまりのないレビューです。読んですぐ書いているからかもしれないし、全部理解できたか微妙、ということもあるからかな…
タイトルにある「言葉を紡ぐ」という箇所に魅かれて読んだ。そしてもうひとつの理由に、結論ありきで物事を見ず、現場を取材していく中で分かってきた事実と自分がどう向き合うか?という視点で書かれていた、秋葉原事件への作者の見方が気になったという点もある。
自分の内面を言葉にすることも難しいが、自分のフィルターを介さずに眼の前で起きていることを的確な言葉にすることはもっと難しいのではないだろうか?。ましてや自分のような研究者でもないものに、自分への疑いを常に意識するのはなかなかハードルが高い(オレだけですかね笑)
とは言え、自分の身の周りにある繋がりに落とし込んで、その関係性を見直すヒントになるのでは?そうする中でどう自分に問いかけていくのか?向き合うのか?
まさに読んで感じたこと少ししか言葉に紡げてないですが、生々しい言葉が刺さってくる本だった!といってもこの本は反省を促す本ではないので…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
秋葉原の加藤の事件、そして3.11。いま、批評に、思想に、なにより言葉に何ができるのか、何を伝え得るのかを真摯に語り合い、向き合う対話編。一つは完全に忘れ去られ、もう一つからは二年経とうとしているいま、読んでよかった。
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現実のいろいろなあらわれを、わかりやすく物語ることで消費してしまうのでなく、丁寧に現実と向き合い、そこから見えてくるものから言葉を紡いでいこうとする姿勢。
流れの中で自分の立ち位置をきちんと見据えることの大切さを教えられる。 -
著者である中島岳志さんが近年取り組んだ「秋葉原事件」を巡る考察を基調とした4つの対談が収められている一冊です。
世間では小手先の論理だけで何の糧にもならない言説が氾濫している。
そのようなある種の反射神経がものをいう言説が大勢を占める中、本当に大切な問いは棄却されていく。
今こそ「届く言葉」が必要だ
…冒頭で中島さんはこのように語ります。
この本は広く一般に☆5と評価されうる本ではないであろうことは断っておきます。ある人にとっては、BOOKOFFの105円棚に置かれた啓蒙本ほどの価値もないかもしれません。しかしながら、それでも、「自己の固有性」、「透明な共同体」への妄執、「言葉の限界」に対する絶望…加藤智大(※秋葉原事件の犯人)が抱えた問題を、まさに今―程度こそあれ―自己の切実な問題として同様に内抱している人は少なくないはずです。
そういった人に対談の一言一言は表層を透過して心の芯にまで「届く」と思う。加藤の絶望を超えて以降自分の言葉を紡いでいくための気づき、勇気が得られると思う。…少なくとも私はそうでした。
今、読むからこそ意味がある一冊だと感じています。『世界が決壊するまえに言葉を紡ぐ』という表題は中島さんの世相に対する切迫感とそれに向き合うにあたっての強い決意のあらわれであると私は捉えました。
著者プロフィール
中島岳志の作品





