神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Νύξ叢書)

制作 : 大河内泰樹  斎藤幸平  飯泉佑介  池松辰男  岡崎佑香  岡崎龍 
  • 堀之内出版
4.33
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 102
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784906708543

作品紹介・あらすじ

アメリカにおけるヘーゲル・ルネッサンスの賑わいと、フランスのメイヤスーに代表される思弁的実在論の新展開。本書は今ドイツでもっとも注目を浴びる若き天才が、ジジェクとともにドイツ観念論の古典再解釈を通じて、そうした現代思想の新潮流を敢然と批判する。しかし、その展開は批判だけに留まらず、「存在論」を再び哲学の中心に据えることで世界を新たな理解へと導く。ドイツでブームとなっているガブリエルの書籍『なぜ世界は存在しないのか』のダイジェスト版論文の翻訳も特別収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『不完全性を乗り越えることができないのは、それが規定性の可能性の条件であり、したがって――逆説的なことにおいて、究極のメタ理論は存在せず、言語の限界の外に位置する立場はないと述べたのだった』―『第一章 反省という神話的存在論』

    この本は研究者向けの論文を三本集めたものに、マルクス・ガブリエルの講演の記録を併せた本。「なぜ世界は存在しないのか」というタイトルの一般読者向けの本とは異なり、講演を書き起こした章以外は読者に哲学に関して一般教養以上の知識を要求するもの。元々、マルクス・ガブリエルの話に興味があって手にした本だが、彼の論文である一章を読み進めたところで読了を断念。スラボイ・ジジェクは「ラカンはこう読め」のすかっとした記憶があるものの少し齧ってみてこちらも主張の詳細を理解することを諦める。そんな中、翻訳者による解説を読み、マルクス・ガブリエルの言いたいことが少しだけより腑に落ちた気になって満足する。

    世界は存在しないという彼の主張は、存在(現象)ということの本質が物理的なもののみならず、思考や言明という実態の確認しにくいものも含まれているという前提ともいえる定義から出発し、存在は存在自体が出現(現象)する領域を必要とするという帰結、そこから必然的に生じる無限退行、あるいは自己言及による矛盾への落ち込みの事実から、「すべて」を含むような領域は存在しないと主張するもの。

    その上で、たとえそんなものが存在しないとしても無限退行の消尽点を見通し究極の地点に向かって諦めずに進むことこそ哲学的行為の(翻って人が生きる意味の)本質であると説いている、と門外漢ながらに理解する。岡目八目とはいうものの、究極的な岡目という立場はないということだろう。但し、そういう立場を想定して(つまりは現前することのない世界というものを、どこか一つの領域を与えて現象化させて)理解しようと試みることの意義は失われるものではないともマルクス・ガブリエルは主張しているようにも思う。何処か一つの領域を、たった一つの究極的な領域であると誤らない限りにおいては。

    自然科学に対する敵愾心とも呼べるような言及が節々に見られるが、彼の主張するところを自然科学の領域で(別な言葉で)捉え直すこともまた可能なのかなという思いも去来する。乱暴な意味の重ね合わせ、あるいはアナロジーであると留意しつつ、動的平衡という概念に辿り着きつつある自然科学もマルクス・ガブリエルの主張する消尽点に向かって歩み続けるという社会科学の向かって行く先と並走しているような気がするのだけれど、、、。

  • ​マルクス・ガブリエル 2018年6月来日!東京・京都にて講演予定
    https://www.horinouchi-shuppan.com/20183-500yen

    堀之内出版のPR(版元ドットコム)
    アメリカにおけるヘーゲル・ルネッサンスの賑わいと、フランスのメイヤスーに代表される思弁的実在論の新展開。本書は今ドイツでもっとも注目を浴びる若き天才が、ジジェクとともにドイツ観念論の古典再解釈を通じて、そうした現代思想の新潮流を敢然と批判する。しかし、その展開は批判だけに留まらず、「存在論」を再び哲学の中心に据えることで世界を新たな理解へと導く。ドイツでブームとなっているガブリエルの書籍『なぜ世界は存在しないのか』のダイジェスト版論文の翻訳も特別収録。
    http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784906708543

  • 『いま世界はの哲学者が考えていること』内で紹介されていた
    2016.12.17

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

マルクス・ガブリエル(Markus Gabriel)
1980年生まれ。哲学者。現在、ボン大学教授。後期シェリング研究をはじめ、古代哲学における懐疑主義からヴィトゲンシュタイン、ハイデガーに至る西洋哲学全般について、一般書も含めて多くの著作を執筆。「新しい実在論」を提唱して世界的に注目されている。主著Warum es die Welt nicht gibt. Ullstein(邦訳『なぜ世界は存在しないのか』)が日本語訳され、選書ながら数万部のベストセラーとなった。数度来日し東洋大学などで講演を行っており、新聞・テレビでも取り上げられ広く名が知られることになった。
ほか、An den Grenzen der Erkenntnistheorie (Karl Alber, 2008), Skeptizismus und Idealismus in der Antike (Suhrkamp, 2009), Die Erkenntnis der Welt (Karl Alber, 2012), Fields of Sense (Edinburgh University Press, 2015) など。スラヴォイ・ジジェクとの共著に、Mythology, Madness, and Laughter (Continuum, 2009)(日本語訳『神話・狂気・哄笑』、堀之内出版、2015年)がある。

マルクス・ガブリエルの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ミシェル ウエル...
エーリッヒ・フロ...
デヴィッド・グレ...
森田 真生
野矢 茂樹
スティーブン・ピ...
有効な右矢印 無効な右矢印

神話・狂気・哄笑――ドイツ観念論における主体性 (Νύξ叢書)を本棚に登録しているひと

ツイートする