作品紹介・あらすじ

開催を返上・中止せよ!

「アンダーコントロール」などという安倍首相による世界に向けた虚偽発言、
裏金不正疑惑、抵抗するアスリートの排除、
野宿者排除・人権蹂躙、だるま式に膨れ上がる開催費用/まやかしの経済効果、
環境汚染、置き去りにされる福島復興・原発対策……
様々な問題が山積・噴出しているにもかかわらず、なぜ東京でオリンピックを開かねばならないのか?
政府・東京都・広告業界、それらと一体と化したマスメディアが、
これらの問題に目を耳を口を閉ざして歓迎ムードを醸成、反対の声を抑圧するなか、
2020東京オリンピック開催に対して、
スポーツ、科学、思想、哲学、社会学などの研究者・活動家ら16人による根源的な異議申し立て。

感想・レビュー・書評

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  • さまざまな論考のオムニバスで、五輪の暗部、問題点が描かれる。五輪が暴力的な再開発の道具になってきたというのが主な主張。いままで観客として熱中してきた五輪だが、イベントとしては醜悪なものだと知ってしまったら、これから同じようには見れないだろう。五輪のためといって政策を推し進める論理はすでに日本でも現実化している(豊洲移転や共謀罪など)。

    タイトルから受ける印象と違って、論文集のように堅くて内容も多いので読みにくく、なかなか手にとられないだろうというのが残念。
    その中では「オリンピックと生活の闘い」と題した明治公園の路上生活者小川てつオによる立ち退きのルポが出色。当事者のルポでストーリーとしてもおもしろいし、実感も伝わってくるのでこれだけでも広く読まれてほしい。

    以下各論考ごとに

    巻頭言

    ・イメージとフレーム――五輪ファシズムを迎え撃つために (鵜飼 哲)


    第Ⅰ部 科学者/科学論

    ・災害資本主義の只中での忘却への圧力――非常事態政治と平常性バイアス (塚原東吾)

     復興のどさくさに紛れた新自由主義プログラムの進行の果てに東京五輪があるとするが、原発事故汚染に関して可能な限り広範囲の住民の撤収の方針を確定するという呆れた記述もあり極論はいただけない。

    第Ⅱ部 レガシー

    ・先取りされた未来の憂鬱――東京2020年オリンピックとレガシープラン (阿部 潔)

    「アクションアンドレガシープラン2016」 に未来に残すべきレガシーがあらかじめ入っている。そもそもレガシィの語源をあたるとローマ教皇特使、つまり権威と使命姫のもとに派遣された人物が出すべきミッション。スポーツの感動とはあらかじめ予測できない。やってみればわからないから魅力的であるのに、感動と記憶を語り継ぐなどと臆面もなく歌っている


    第Ⅲ部 運動の継承

    ・メガ・イヴェントはメディアの祝福をうけながら空転する (酒井隆史)

     ブラジル、イスタンブールでの抗議活動
     東京が選ばれたのは首相が原発の状況を完全にコントロールされていると言えるほど、メディア、労働組合、企業、知識人、都市住民、社会運動すべてが完全にコントロールされているから

    ・貧富の戦争がはじまる――オリンピックとジェントリフィケーションをめぐって (原口 剛)

    「釜ヶ崎は、もともと第五回内国勧業博覧会(1903)に伴う再開発で長町木賃宿街から移転させられてできた。天王寺博覧会、国際花と緑の博覧会、世界バラ会議、世界陸上のメガイベントは、大阪の各公園のブルーシートのテント村立ち退きの武器だった。民営化を手段として貧民が見えないようにした天王寺公園の有料化。
     ソウルからロンドンまでインナーシティの再開発により立ち退きと排除が行われてきた。ジェントリフィケーションとは地主階級ジェントリが後を囲い込んで農民を追い払ったことから。最初は小規模なリノベーションと家賃上昇による低所得者の退去をさしてたが近年、国、自治体が主導する大規模な再開発新規開発に広がってきた。
     オリンピックの開催地で開かれる浄化キャンペーンは警察の暴力につながった。日本では少年の襲撃あるいは空気によって日雇い労働者たちがおい払われるかも」

    何でインナーシティの開発が必要なんだろう。開発で地価を上げることを前提に開発費を捻出することができるからか。容積率の意見と同じ発想か


    ・オリンピックと生活の闘い (小川てつオ)

    明治神宮公園に住む当事者の素晴らしい寄稿。公園に住む人々をどうやって立ち退かせ、最後は暴力的に排除するかを、排除される側からの視点で見たルポルタージュ。隣接する霞ヶ丘アパートの立ち退きの経緯のルポルタージュも。影響力のある町会長をはじめとした町会役員を、まず公明党が懐柔する手口などが描かれる。

    河原など、所有が曖昧な空間だからこそ自律空間が形成されるという。しかし、こういう公共地がどんどん公共団体の私有地になろうとしているという論を展開する。
    上から与えられた空間が閑散としていて、予想もしないような場所が勝手に賑わっている例は近くでも見るだけにうなづける。ものすごく説得力があるこのような文章を書けるような方が路上に生活されていることが全く信じられない。

    ・反オリンピック (ジュールズ・ボイコフ)

    バンクーバーオリンピックの抗議活動について。
    イベント連合、アートセンターに設けられたイブニングニュースというフォーラムでの1日おきの討論など多様な戦術が用いられた。

    ・祝賀資本主義に対抗する市民の力 (鈴木直文)

    ・ありがとう、でももう結構――オリンピック協約の贈与と負債 (フィル・コーエン)

    ・トラックの裏側――オリンピックの生政治とレガシー・ビジネス、そして効果研究 (友常 勉)


    第Ⅳ部 アスリート

    ・競技場に闘技が入場するとき (小泉義之)

     スポーツイベントが、アートイベント、学術イベントと同じだという視点は面白いが。

    ・アスリートたちの反オリンピック (山本敦久)

    モハメドアリなど何人かのトップ選手が五輪にノーを言っているという。特に、スノーボードは新しい文化で、反競争的であり、五輪と相容れないものであった。五輪採用のためFISが介入したため、ルールが固定化するなどし、ハーフパイプは10年間進歩がないという。これは次の選手インタビューでも語られる

    ・なぜ僕がいまだにオリンピックを憎んでいるのか (テリエ・ハーコンセン)

    ・反東京オリンピック宣言――あとがきにかえて (小笠原博毅)

    反五輪陣営には、オルタネイティブ派、どうせやるなら派などがでてきて、どっちにしろやることは前提の言説が積みあがるばかりと嘆く。アスリートにいたっては言葉も出せないという。

  • 社会

  • ずっと思っていた
    なぜ、私は「オリムピック」が嫌いなのだろう

    四年に一度
    全く関心、興味のない
    TVは全く観ない
    雑誌も全く読まない
    少しだけ新聞は読む
    もちろんスポーツ欄は一切見ない
    そんな
    私のようなものにまで
    強権的に垂れ流されてくる報道に
    辟易していました

    この本を出してくれた
    航思社さんに敬意を持ちます
    そして
    執筆された
    それぞれの方に拍手を送ります

    2017年10月22日の暗い夜に読み終えました

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784906738205

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著者プロフィール

1968年生。神戸大学大学院国際文化学研究科教授。ロンドン大学ゴールドスミス校社会学部博士課程修了。社会学Ph.D。スポーツやメディアにおける人種差別を主な研究テーマに据え、カルチュラル・スタディーズの視座から近代思想や現代文化を論じている。近年は、東京オリンピックや大阪万博の開催に一貫して異議を申し立て、批判を展開している。
著書に『セルティック・ファンダム』(せりか書房)、共著に『やっぱりいらない東京オリンピック』(岩波ブックレット)。編著に『黒い大西洋と知識人の現在』(松籟社)、共編著に『反東京オリンピック宣言』(航思社)および『サッカーの詩学と政治学』(人文書院)。

「2019年 『真実を語れ、そのまったき複雑性において』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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